ポケットにミステリを

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な行の小説

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なぎなた

 先日アップした倉知淳氏の短編集(『こめぐら』)の片割れがこれ。結局両者を読んでもタイトルには意味を見出すことはできず、言われている通りに意味のないものらしい。

 あくまでも印象というだけだが、『こめぐら』よりこの『なぎなた』のほうが倉知氏らしい本格テイストを感じられた。『見られていたもの』『闇ニ笑フ』あたりがお気に入り。それにしてもこの作家さん、ほんっと猫好きね。

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 東川篤哉氏の最新作。いかにもシリーズになりますと言いたげな「お嬢様と執事」もの。

 刑事・宝生麗子は、中堅自動車メーカー“風祭モータース”の御曹司である独身貴族の上司・風祭に悩まされていた。この程度の肩書やルックスでは麗子は何の魅力も感じない。彼女自身が大財閥・宝生グループ総帥の一人娘なのだから。身分を隠し地道に仕事に励む麗子が内心疎ましく、それでいて頼りにしてしまう存在が執事兼運転手・影山だ。彼は麗子が話す事件の概要を聞いて、たちどころに真相を看破する。「率直に思うところを述べさせていただきます。失礼ながらお嬢様、この程度の真相がおわかりにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか」

 ざっくり言うとテレ朝の金曜深夜枠ドラマっぽい感じ。その心は「二枚目路線の役者さんが新境地開拓とばかりにややくどいギャグを連発しつつ、終わってみればちゃんとミステリ」。お嬢様は柴崎コウさんをイメージしてみたのだけれど、執事は誰かなぁ。30代、痩せ型長身イケメンでちょっとイヤミな雰囲気が出て欲しい。玉○宏さんでは良い人過ぎるような気がするし、オ○ギ○ジョ○さんでは上品さに欠ける気がするし、松山○○イチさんではあか抜けない気がする。そうだな、さいきんの若干ヤサグレた雰囲気の出てきた小○旬くんだといいかも。みなさまどう思います?

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粘膜兄弟

 遅ればせながら飴村行氏の注目シリーズ第3作。『〜人間』よりこっちかなと思ったので。

 『〜蜥蜴』と同じ「銃後生活→戦場→帰還後の生活」のスタイルながら、それなりに違う主題を扱っている工夫をまず褒めたい。今回の作品で言えば「地獄をみた人間の変容」と言って良かろうか。双生児としてほぼ似通った半生を生きてきた兄弟が、どこかを分岐点に少しずつ軌道を違えてしまったことで生じる悲劇を描いている。戦場の描写は前作よりあっさりして、現地の状況より軍隊内の戒律を語ることに重点を置いているし、現地の特殊な状況(爬虫人に関する解説)も読み手が知っていることを前提としているかのようだ。

 「変容の方向性の違い」に始まって、ゆず子が磨太吉に惹かれた理由とか、矢太吉を襲う黒い影の正体とか、総てのことが信仰心で説明づけられてしまうのには若干の反発を感じる。もしかしたら吉太郎信仰と前作で登場する爬虫人の世界での不思議体験とのリンクなどが今後語られていくのだろうか。いずれにしても、宗教にスポットが当たると俄然興味の薄れる私としては先行きの不安材料でもある。

 今回の作品でいちばん賞賛したくなったのはヘモやんの叫び。「最高 最高」なんて肯定してくれる配偶者なんて得難いじゃない?

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粘膜蜥蜴  ☆

 しら菊姐さん、時代は粘膜デスネ!

 読んだことない作家さんにチャレンジしよう企画第3弾は国内編。「今年最強の新人作家」(帯より)飴村行氏の大出世作である。2010年版『このミス』では6位に入っていたそうなのだが『本ミス』しか買っていなかったから見逃していたのか、と今さらながら思い当たる。日本推理作家協会賞を獲ったとあっては「ホラー苦手」なんてばかりも言っていられず読んでみた。

 ・・・・なるほど。これは話題騒然になるわけだ。

 傲岸不遜・傍若無人な少年の非道ぶりの外側に戦時下の軍隊の狂気を置き、更に外側に人間の常識を超えたジャングルの生態を置くことで「暴力には果てがない」ことを辛辣に表現した構造。各レベルへの登場人物の配置がまさに過不足ないところに著者の構想の入念さを感じる(相当温めた企画なんじゃないか、これは)。その中にあって雪麻呂少年が不思議なほどに爬虫人・富蔵と心を通わせていることがふたりの会話部分に滲み(「根性で爆撃機を撃墜」云々のくだりとか、「航空兵になりたい」云々のくだりは最高。「フレフレぼっちゃん」ばかりに注目するなかれ)ミントのような清涼効果をあげている。

 デビュー作『粘膜人間』は本書より難があるとする意見が多いようだけれども、このレベルの作品を書く著者とあれば読んで損はないのかも。とりあえずWaiting List入り。

 

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難民探偵

 西尾維新氏のノンシリーズ新刊。珍しくハードカバーで出版されたのは講談社創業100周年記念“かきおろし100冊”企画の一環だからのよう。ちなみに、講談社は1月創業で、学習雑誌などが中心だった小学館が4月創業だ・・・なんて話を聞いたけどそれはどうでもいいか。

 レールの上を進むように順調な人生を送ってきたはずの証子は悩んでいた。社会に続いていると信じていたレールは中途で途切れていて、就職ができなかったのである。親を頼ることにも支障を生じた証子が祖母に相談すると、祖母は一族のはみ出しものである叔父・京樹のもとに住みこめと勧める。京樹は常識外れの稼ぎのある超人気作家だった。彼の雑用をこなすうち、証子は京樹の友人“難民探偵”根深の助手を務める羽目になる。

 「総部数5000万部という売り上げを誇るミステリ作家」と「辞表を受理されず書類上は職を継続中の警視庁警視、現在は家を出てネットカフェ住まい」という男ふたり。リアリティがあるとは間違っても言えない、格差があるんだかないんだかも一概には言えないようなふたりの関係性を一般的な言い方に当てはめれば、安楽椅子探偵と捜査官と言っても当たらずとも遠からずである。

 間をつなぐ助手役に設定されている証子が必要だったのかどうかが私には若干疑問。空前とも言われる不況のあおりで就職しそこなった彼女の事情が冒頭に延々とつづられている時点でクドく感じてしまったので、京樹や根深の奇矯さを証子目線で説明しなくても地の文で十分伝わるだろうと反論したくなった。もちろん、彼ら自身の生き方とか、事件関係者の話だとかにふれた証子が「働くってなんなんでしょう」「私は社会において労働に従事するということがどういうことなのか、もっと知っておくべきことのような気もする」と自問する部分が物語の眼目のひとつであることは解る。読み手が中高生(いやもしかするとそれ以上の学生さんでも?)であれば、説教ではなしに労働=就職へのモチベーションを高める効果が期待できるだろう。「現代社会というもの」に未だ無知である証子の視点で事件を検討することで、同じように無知な年少の読者が事件の奥行きを理解できるというメリットもあるだろう。ただそういうサーヴィスのおかげで、ある意味メインの探偵役ふたりの奇矯さは目立たなくなってしまったかもしれない。現に、直接対決で丁々発止とやりあう部分が減ってしまうわけだから。

 中学校図書館への推薦図書にでもしようって言うのならこれほどうってつけの西尾作品もないだろう。その辺の商売っ気が若干気に障る(笑)。

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