ポケットにミステリを

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か行の小説

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禁断の魔術

ガリレオFILE8にあたるらしい。長編と短編集とで通し番号つけちゃう横暴。

さっき「前回の酉年には何やってたんだっけ」てブログ遡ったら本読んでぱかりの日常でした。その年のマイベストが『容疑者X』で、他に挙げてたのが『犬どこ』と『館島』。ホノブさんもアツヤさんもこの間に立派になられて。ただ“今年の作家”てホノブさんと同時に挙げてたヒウヒウは遅れをとってしまわれましたなあ。

本題に戻る。
出れば買う加賀刑事シリーズと違ってハードカバーで買ったのは『容疑者X』までなガリレオもの、今回も文庫化されて相当経ってる。いつの頃からか妙にテレビドラマっぽい雰囲気になってきた気がしてそうなってしまった。使い勝手が良さそうな若い人物を中心部に据えるとか。

面白いには面白いのだけど、ルポライター簡単に殺され損だな(この人にだって人生があったのにね)とか、とってつけたような政治家擁護のためにお姉さんをこう描くって相変わらず東野さんは女にキツいとか、結局ガリレオの見せ場がいちばん大事なのかなとか、どうも読後感がなあ。

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寒椿ゆれる

 近藤史恵氏の“猿若町捕物帳シリーズ”第4弾の連作中編集。

 月野さん絶賛の本書、シリーズに先に手をつけていたのは私なんだがと膨れながら文庫化を待っていた。新聞広告で光文社文庫「今月の新刊」に挙げられているのを見て「よしっ」と思ったその日があの地震だったはずである。学校から先に家に戻った狩甘さんから「奇跡的に食器無事。図書室大惨事(笑)」という若干不謹慎なメールを見ても「体に別条ないのならばそれぐらいなんだい」と思ったものの、実際本棚(作りつけなので安心)のいちばん手前(主に三列目)の本がことごとく床に散らばっているのを見て溜息が出た。その晩は余震が多くて手を付けかね、翌日になって並べながら「もう本減らすぞ!」と堅く誓った。

 ・・・・・筈である。

 しかし被災から6日目、書店が開いた。来年度の教科書を買うことになっていた時期なので、狩甘さんを激励する意味もあって出かけたところ、やはり新刊書の棚に目が向いてしまう。本書と『半端者』と東川氏の新刊(学園モノ)を手に取り、これまでは入荷確認のやりとりしかしたことのない店のひとと「たいへんでしたねぇ」「並べるのにまる二日ですよ」「家ですらたいへんでしたもの」なんて会話を初めて交わし、事態の異常さを改めて感じた。

 閑話休題。

 お駒に子ができた。悪阻で何も食べられず弱っている様を見かねた千蔭は、巴之丞の薦めで評判の猪料理屋へ誘う。予想以上の美味に喜ぶ一同だったが、店先で騒ぎがおきた。刃物を持った男が飛び込んできたのだ。取り押さえた千蔭に男は意外な事情を語り始める。(『猪鍋』)

 良いじゃないですか。なるほど褒められるのもわかる。シリーズ初期には、中心となる人物が“無闇と堅い同心”と“ぬめぬめした女形”と“何を考えているやらわからない花魁”でどうも感情移入のしようが無いし、地の文も会話文も残念な感じだし、とそれほど惹かれなかったのだけれど、第3弾あたりから作品世界の住人の動きがこなれて来て、本書ではさらにその印象が増した。千蔭の見合い相手である“変わりもの”のおろく。容貌へのコンプレックスがあるがそこは卓越した観察眼と数的センスで補い理知的に生きる彼女は、今であればどこの職場にもたいてい思い当る人材がいそうなキャラ。現代ものの小説には普通に生かせるだろうが、。敢えて時代物にこんなひとを持ってきて、それが千蔭の世間ずれしたキャラクタと上手く調和したところに近藤氏の成長を見た。その分だけ花魁・梅が枝の影は薄くなってしまって、せっかく彼女のほうも心の裏側が覗けそうなものをと思わなくもないが、その辺りは今後への伏線ととれば良いのだろう。俄然楽しみなシリーズになってきた。

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五番目のコード

 “年末ベスト連続一位作家”D.M.ディヴァインの「最高傑作」だそう。

 シリーズ探偵を作らなかったというディヴァインだから読む作品ごとに思い入れるべき主人公が変わるわけだが、この作品がいちばんポピュラーな感じ。主人公は「筆は立つが反体制的で出世コースに乗れない35歳の男性新聞記者」で、「学生時代イイ仲だったが決め手に欠けて他の男にかっさらわれ、その後若くして未亡人となった金も知性もある美人」がヒロイン(←若干イラっとする)。

 「本格とはトリック・ロジックのみに非ず」と言わんばかりの作品。そこにあるのは動機至上主義ともいうべき人間観察のススメ。最近の流行りではなかろうが、こういうの好きだ。

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麒麟の翼

 最近頭がおかしい私は神経過敏になっていて、どうも行間を深読みし過ぎる傾向がある。これは相当重症だ、と自分でも心配になったところへ嬉しい加賀もの新刊の登場。恋の病は違う男で埋めるのがいちばんだよねっ♪

 日本橋で倒れこむようにして死んだ男はナイフを胸に刺したまま必死でそこまで歩いてきたようだった。彼はなぜそんな無理をしたのか。そもそもなぜ縁のなさそうな日本橋界隈に出向いたのか。容疑者が警官を避けて車にはねられたために事件は謎を含んだまま「解決済み」に処理されかかったが、納得のいかない男がいた。「こんな中途半端な形で事件を終わらせても誰も救われない」

 私が現在進行形で好きな男のひとのなかで最も長いこと大好きな加賀さん。情に流されない冷徹な男、気味の悪いほど粘り強い男、と人は彼を評する。けれど事件解決への執念が誰よりも熱く、捜査過程で関わる相手への細やかな気配りはあとからそれと解る押しつけがましさのない暖かさに満ちている。

 「加賀シリーズ最高傑作」の謳い文句はどうだろう。複数の事件関係者の視点から事件を描き、言葉で語られない事実を拾い上げる一見地味な仕立てで、家族の絆やら経済構造やらといった大袈裟なテーマを論じる。「あっと驚く」一方ですんなり腑に落ちる真相。どれをとっても職人技に違いない。ただ、数多い加賀シリーズの作品のなかで印象に残る代表作になるのか?と言われればちょっと違う気がする。それだけ地味な刑事としての彼が等身大に書かれているとは言えるけれども。あとはご自分でお確かめを。

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刑事のはらわた

 講談社創業100周年記念出版“書き下ろし100冊”企画のひとつ、首藤瓜於氏の警察小説。『刑事の墓場』の続編かと思ったらノンシリーズ。帯の惹句の盛り上げが凄いのでつい買ってしまった。
他に誰も書けない首藤ワールド全開で亜空間に読者を誘うスタイリッシュでファンタスティックな超絶ミステリー
警察小説の新たな扉を開く衝撃のラスト1行 

 今年で34才になる八神は一年前に警部昇進と同時に所轄の警察署から県警本部に転任になった。刑事課盗犯係から鑑識課への異動は異例のこと。亡父の縁で偉いひとに目をかけられているからでもあるが、八神自身ソツのない仕事で結果を残してきた。しかしある現場での出来事がきっかけで順調な昇進に陰りが見え始めた。死体で発見されたのは死んだはずの男・・・?

 半ばまでの展開はかなり個性的だ。次々と物語に放り込まれる死体の描写を通じて深く謎めいた事件を垣間見せていく。淡々とした文章は死体のグロさを最小限に抑えることに成功しており、悪趣味になる寸前で救っている。

 が、後半になるとそこまでに貯め込んできた伏線を回収しないつもりか?と不安にさせられはじめ、結果的にその予感は当たってしまう。フィニッシングストロークだと宣伝するにはこの収束させかたは美しくなくないか。これで新たな扉が開くとは思えないけどなぁ。

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