ポケットにミステリを

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ら・わ行の小説

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琅邪(ろうや)の虎

 丸山天寿氏の“秦の国”シリーズ(←適当)第2弾。『琅邪(ろうや)の鬼』がなかなか楽しめたので読んでみた。

 お話が進んでも「虎」の意味するところがいまひとつ見えて来なくてもどかしい思いだった。しかし前作同様、終盤に「探偵役」が登場するあたりでそこまでに提示されたあまたの謎が整理されるところが圧巻。いかに謎だらけの展開だったのかが改めて解る。これにことごとく用意された回答が、説明口調ではなくするするとほぐれるように明らかになる書きようがまたカッコいい。

 ただ比べれば第1作のほうが念が入っていたのにという残念さは拭えない。この路線で続くのであれば目新しさが必要かも。

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琅邪(ろうや)の鬼

 昨夏刊行された第44回メフィスト賞の“痛快中国歴史ミステリー”。著者・丸山天寿氏は1954年生まれというから、このレーベルには珍しく年上の新人さん。でも文体は若い歴史小説マニアが書きそうな雰囲気だからこの年齢は意外。表紙見返しの「小説とはほら話」との言葉に共感を覚え、期待大で取りかかった。

 戦乱の時代を勝ち抜き中国全土を統一した始皇帝が次に求めたものは「不老不死」であった。不老不死の仙薬を入手するよう命じられた徐福は山東半島の喉首にある港町・琅邪に拠点を置き、仙薬の研究や“神仙の島”へ向かう船の建造に着手する。便宜を図るため無税と定められた琅邪には大量の人々が流入し、求盗(警官)の希仁を「犯罪が増えた」と嘆かせた。

 怪しいプロ集団としての“徐福塾”の面々、謎が謎を呼ぶ展開。中国風極彩色のきらびやかな物語はなかなかのリーダビリティ。前述のように言葉遣いが若い雰囲気なのと、“ほら吹きおやじ”(自称)にしては修飾がエロの方面に行かずに留まるのが対象読者の若いメフィスト賞に値した所以だろう。数多い謎に整合性ある回答を用意し、かつそのなかに荒唐無稽なネタを仕込むことで退屈に陥らずにまとめた手並みはたいしたもの。続編もあるそうなので、いずれ是非。

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わが目の悪魔  ☆

 皆さま、ご無沙汰いたしました(←どっかで聞いたフレーズ・・・)。24日にライカエジソン原宿&東京店にてセクアンさんの新譜イベント(原宿:撮影&サイン会、東京:トーク&サイン&握手会)があったので、その数日前から美容院だ!お手紙だ!マスコット作りだ!と超多忙、さらに終了してからはリーダーの手の感触を忘れられず正気を失っていた(現在進行形)ものですから本どころでなく、結果的に長編1冊読むのに1週間を費やすという私らしからぬ状態に陥っていたのです。やっと終わったから霧舎に行ける(嬉)。でも明日(もう今日)から北海道2daysだからお友達のレポを漁りまくってまた本どころじゃない週末になるよな。たぶんなる。

 閑話休題。

 ルース・レンデル氏を集中的に読んでいるが、ウェクスフォード警部ものはちょっと作風に慣れ過ぎてマンネリ気味なものでノンシリーズを挟むことにした。しろねこさんやもねさんからタイトルが上がっていた“英国推理作家協会最優秀長編賞”受賞の代表作にチャレンジ。

 厳格な伯母・グレーシーに育てられ融通の利かない真面目人間に仕上がったアーサー・ジョンソンは、女性への愛憎を正常に消化できず、通りすがりに女性を絞殺した過去を持つ。自らの異常性を認識する彼は地下室でみつけたマネキンを痛めつけることで衝動を抑えていたが、ある日同じフラットに間借りするアントニー・ジョンソンがそれとしらず彼の安息空間をめちゃめちゃにしてしまう。誤解と妄想の果てにアーサーは再び“絞殺魔”と化した。

 犯罪者を生みだした生い立ちの設定がさりげなくだが丁寧になされていくこと、またアントニーの無意識の言動がアーサーの被害妄想を煽る様を繰り返し叙述することにより、アーサーが悲劇に追い込まれる展開に強い説得力が与えられている。アーサーの事情、アントニーの事情を交互に語ってすれ違いの悲劇をいっそ笑えるほどに盛り上げて行くのに加え、アントニーを異常犯罪者に関する論文で哲学修士を得ようとしている青年に設定し、本来は具体例に結びつかないはずの彼の著述の中身でアーサーの異常性を解説するテクニックも巧い。こういう結末はサスペンス小説には一種「お約束」なのだけれど、終盤の緊迫感がなかなかなので☆。

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私が見たと蠅は言う

 同じ作家さんを続けて読むのは良くないなぁと思って、初めて読むエリザベス・フェラーズ氏にチャレンジ。BKOFでたまたま手に取って買ったので予備知識もなにもない。解説を見ると、第二次大戦ごろから活躍されてた英国女流で「ユーモラスかつトリッキー」な作風だそう。日本でこの作品が初訳されたのは1955年のことだったけれど、読んだのは2004年に早川文庫で出た改訂版。・・・・以上自分のための覚え書きでした。

 1942年、春。画家のケイはロンドン大空襲で廃墟になったかつての住まいを見に来た。三年前、ケイは夫と別居して困窮し、この通りにあったごみごみしたむさくるしいアパートに住んでいた。悪夢のような事件のあったあの場所はもうない。。。

 ユーモラスというよりはかなり陰鬱なサスペンスに思える。ヒロインを含め、アパートの住人たちはみなどこか追い詰められ、びくびく、苛々して暮らしている。冒頭に起きる殺人事件の被害者の人となりがほとんど話の筋に絡まず、したがって何のために何が起きているのか読みとれないことが読み手をも不安にさせる。事件を担当するコリー警部が名前のイメージのようにキリッと捜査活動をしてくれていても、どこか警察を頼ることをためらわせる荒みを感じる場所なのだ。殺人被害者はいつもそうかもしれないが、とりわけ殺され損とでもいうような役回りになっているあたりが最後まで陰鬱な所以かと思える。

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 久しぶりに読んだ活字がこれって、大人としてどうよ?

 ミステリ界を騒然とさせた伝説の名作『六とん』シリーズ最新作。蘇部クラブの末席を汚すものとしては発売日に買わないといけないところだろうが、若干の遅れをとったものの買ったから除名は勘弁して下さい>べるさん。

 保険調査員・小野由一に課された3つの難事件。まず初めは岐阜県の高校2年生が同日の午前中3時間ほどのあいだに6人も射殺されたというショッキングなものだった。同一の拳銃による犯行とみられるが、容疑者が犯行を行うことは時間的に不可能と思われた。小野は犯人の奸計を見破ることができるのか?  (『一枚のとんかつ』)

 個人的には小野調査員シリーズだけでいいんだけどなぁ。表題作は「まだこのカテゴリにトリックがのこされていたか!」と快哉を叫べたし、『新×××殺人事件』もこのシリーズのなかに並んでいると厭味がない。

 本の後半にあるSFラブストーリーは、やりたいことはわかるのだけども修飾力が伴っていないのが残念だと思う。広瀬正氏の作品群に触れたあとではなおさら、文芸作品として仕上げることのハードルの高さがしみじみわかるのだ。なかで『追われる男』は「そういうオチに結局なるの?」と絵を見て意外に思ったのだけれど、文章を読んだだけだったら違う結末に思えるわけだからあえて非情にする必要があったのかなんだか釈然としない。笑っていいのかどうか戸惑うという意味では『ひとりジェンカ』もそうで、笑わせるレベルまで毒を押しだすには文章が弱気に思えるし、著者近影が悪い人に思えないのが作品全体の統一感のなさを醸し出している。

 これは20刷までは行かないんじゃあないかな。。。と私は思うけど。

※蘇部倶楽部では、新たな会員を随時募集しております。
 入会希望の方は、会長のべるさんまでお気軽に。

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 このフレーズをコピペする決まりらしい。

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