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最近は「福の神」やら「妖精」らしきモノという「幽霊」とは呼び難い話を紹介しているが、書いているうちに、そういえば自分にも何だか分からないモノを見た経験がある!と無性にこれを書きたくなったので、今回は僕の話にお付き合いを願う。
しかし、これがなんとも曖昧な話で、幽霊どころか人型でもない(笑)俗に言う「火の玉」でもない。
僕が見たのは川から空に向かって昇る「白くで長いモノ」だったのだ。
当時、僕は小学6年生だった。
通っていた小学校は山も川も近く、6年の教室のある東棟の3階からは、道を1本はさんですぐ目の前に「大川」が見えた。
この川で溺れて亡くなった幽霊を家に連れてきて世話していると言う不思議な同級生がいたものだ(「たくちゃんとすずちゃん」参照)
まあ、それはともかく、大川はかなり広い川幅いっぱいにまで水があり、海が近くて満潮になれば犬走りまで水に浸かってしまうほどの水量豊かな川である。
僕がそれを見たのはちょうど掃除時間だった。
その週は廊下掃除の係りになったものの、僕は生来の掃除嫌い(笑)先生が見ていないのをいいことに、ちょこちょこと手を動かした後は手すりにもたれてぼんやりと川を見ていたのである。
横には仲の良かった「の−りー」がいて、彼も又「掃除サボリ組」だった。
「潮多いね」
「うん、今日大潮だっけ?」
「授業終わったらシジミ取り行こうよ!」
こんな会話をするくらい、その川は僕らの生活の一部だった。お金を出してまで潮干狩りをするなんて信じられない!貝ならば目の前の川でいくらでも採れる。
「そうそう、この前あの辺にシジミがいっぱい・・・」
僕らがそれを見たのは、のーりーが南に架かる橋とその上流に架かる橋の間を指差してそう言った瞬間だった。
潮が満ちていた水面から白い何かがごおっっっ!と立ち昇った。音は何も聞こえなかったが、そんな勢いだった。
僕らの目には水面に竜巻が出来て水ごと空に吸い上げたようにも見えた。けれど、わ!竜巻!?そう思ってすぐに水面を見てもいつもの細波しかたっていなかったから、きっと違うのだろう。
「アビス」という映画を見たことがあるだろうか?見た人ならば分かると思うが、あれに出てくる「水のヘビ」に似ていた。
長さは水面から空まで。渦を巻きながら半透明の巨大なものが空へ昇った。恐怖ではない鳥肌が立ったのを覚えている。
一瞬の出来事だったが、僕ものーりーもその後数秒は無言で、水面を凝視していた。
たぶんお互いに、今見たものを頭の中で整理していたのだと思う。
「・・・今の、見た?」
「見た。お前も見たよな?」
「うん・・・何だ?あれ・・・」
一言会話をしてからは、互いに関を切ったように見たものを言い合った。自分が見たものが信じられず、二人同時に同じものを見たのだ、自分だけの見間違いではないのだと確認し合った。そうしなければ「夢か幻」で終わってしまいそうだったからだ。
僕らの周りには掃除中の女子も何人かいて、さっき川を見ていなかったか聞いてみたが、どうやらぼんやりサボッっていたのは僕らだけだったようだ。
正体は分からないが、僕らは勝手に「竜だ。長い間住んでた竜が空に帰ったんだ」と話した。ドラゴンボールブームだったこともあり「シェンロン」と名前まで付いた(笑)あれは緑色だが・・・
僕らは本気で、あれの正体を突き止めたいと思い、いや、何がなんでも竜であってほしかったのである。
断固、あれは竜だったのである。
僕はおばあちゃん子だったから家に帰ってすぐに、見たものを話した。この川に「竜伝説」なんてないかな?と聞いてみた。
のーりーの家も代々その土地に住んできた一家だから、おじいちゃんに聞いてみたそうだが、「河童の話は上流に行けばあるが、竜の話は聞かない」とのこと。
僕らはがっかりしたもんだ。
けれど、伝説が無いからって存在しないとは限らない。逆に、言い伝えられているから必ずいるもんでもないだろうし・・・。
前向きだった僕らは、卒業式の日にも「僕らが見たものを忘れないでおこうな!」なんて言い合った。
僕のばあちゃんは「何かは分からんけども、竜じゃないかも分からんけども、人が滅多に見られん良いものを見たんかもしれんよ?」と言ってくれた。
おかげで、僕は想像力と夢多き人間に育ったわけだ(笑)
もう何年も前の話で、多少、記憶に無意識の誇張があるのかもしれないが、あれは雄大だった。
言葉を失うくらい神秘的で、きっと、僕らの手の及ばない何かで、それなのに身近なものなんだろう。
もしかしたら、前の主が空へ帰って、今は次世代の主様が大川に赴任して来ているのかもしれないなあ・・・(笑)
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