冴波樹の雨天決行〜だって雨に打たれたい日もあるじゃない?〜

あっと言う間に、もう九月・・・早い!早すぎるっ!!!笑

怪談部屋!!

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全7ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]

[ 前のページ | 次のページ ]

さて、前回の続きとなるが、そんなこんなで「首が落ちてくる陸橋」の下などもう絶対通らないと決めた三輪君は、その日から通勤ルートを変えたのである。
寮から会社に行く主な道は2つだった。
1つは今までの道、もう1つは遠回りになるが、池の傍の狭い道を通って行くルートだったらしい。
彼は翌日からすぐに、この「池の傍」ルートで出勤を始めた。
道幅が狭い分、皆大通りへ出てしまうのか、そのルートは車も少なく思ったより快適だった。民家も少なく緑の多い景色も気に入ったそうだ。
そうしてしばらくは、何ごともなく過ぎた。が、ここにも「出た」のである。
それは、小雨の降る夕方だったと言う。
仕事が残業も無く終わり、三輪君は彼女を乗せてその道を走っていた。1つ先のカーブを曲がればのどかな池が見えてくる所まで来た。
彼は彼女に向かってこう言ったと言う。
「今日は雨で見えにくいけど、天気の良い日はこの先の池がけっこうキレイなんだよ」
と。すると自然に彼女の視線もこれから見えてくる池のほうへと向けられた。
車はカーブを曲がり、三輪君も運転しながら視線を右にちらちらと向けて池を見た。
そして2人同時に言葉を無くし、彼は急ブレーキで前のめりに止まった。
池の真ん中に女が立っていたのである。水深がどれくらいあるのかは分からなかったが、つま先は全く水に浸かっていない。「え・・・?」どうゆうことなのかと2人共目をこらしたが、その女は確かに水面に立っていたのである。
全身が白いのだが、全裸なのか白い服を着ているのかはぼやけて分からない。顔も、少し距離がある上ぼやけてしまって表情は見えなかった。長い髪だけが黒く、雨に濡れそぼって立っている。
「・・・あれ、何・・・」
先に三輪君にすがりついた彼女が口を開いたそうだが、現実離れしすぎて彼もすぐには返事が出来なかったらしい。
そうしている間に、その女が動いた。
片手を上げたり下ろしたりし始め、ゆっくりとこちらの道へと近づいてくる。水面を歩いているのだ。
水面は滑らかで、波紋すら立っていなかった。それで気がついた。
女がぼやけているのは雨や距離のせいではない。後ろの景色も水面もはっきりと見えているのだから女自体がぼやけて見えるのだと。
それが、手招きをしながらこちらにやってくる。
「あれ・・・幽霊だよ・・・」
「キャー!!!車出して!早くっ!」
背筋の凍る思いだった。又、この世のものではないモノを見てしまった。
彼女は泣き出し、三輪君の手も震えたが、思い切りアクセルを踏んで、振り返らず走ったのだと言う。 
ミラーを見るのも怖く、何度もカーブにぶつかりそうになりながら寮に帰ったらしい。
今まで何も見たことが無かったと言うのに、どうしてここに来て、続けざまにああゆうモノに出会うのだろうか?
以前、そんな話を聞いても信じないどころかバカにしていた自分が、ここ1ヵ月ほどですっかり変えられてしまった。
友人に話すと、「ここの空気に同調してるとか?それともここに極端に幽霊が多いとか?」などと言われたそうだが、答えは分からない。
それから、次第に「見る」機会が増え、1年後に地元に帰る頃には寮の中でも「見る」ようになってしまったのだそうだ。
1回目の「落ちてくる首」に遭遇したせいで、霊感が目覚めたのかと心配だったようだが、地元に戻ると又、ピタリと見えなくなったと言う。
「そりゃ、ここにもいっぱいいるんだろうけど、帰ってきてから1回も見てないんだよ。やっぱり、米子に波長が合ったのかな?でも、よかった。一生あんなのばっかり見えたらたまらない」
と、彼は言った。
土地で変わる。そんなことがあるのだろうか?
皆さんはどう思いますか?

首が落ちる陸橋

突然だが、昨日、一昨日と、僕は島根県に旅行に行っていたのだが、「米子」駅に着いた時、ふと前に聞いた怖い話を思い出した。
僕の周りには「米子」に縁のある友人が多い。仕事で何年も暮らしていた人。航空ショーマニアで毎年米子に行く人もいる。
そんな彼らが決まって言うのは、「米子には幽霊が多いんだよ」で、ある。
米子在住の方には申し訳ないが、本当に遭遇率が高い町なのだそうだ。
三輪君と言う人も、そう言う人の1人で、何年か米子暮らしをしていたのだが、その時の話を前に僕にしてくれたのである。
 
地域名は忘れたが、米子の郊外でのことだったと記憶している。
そこには彼の寮があり、彼は毎日そこから車で出勤していた。寮から会社までの近道はかなり交通量も多い大きな道だったそうだが、そこが「出る」らしかった。
しかし、そんなことは気にしない三輪君は、当然近道であるそこを通る。何度通っても何も無いじゃないかと安心して、残業で遅くなった深夜にもそこを通るようになった。
昼間はともかく、深夜ともなれば車通りは少ない。
快調にとばしていると、陸橋に差し掛かった。いつも何気無く通る場所だったが、その日ばかりは妨げられたのである。
陸橋が近づいて来た時、視力の良い三輪君は陸橋の手すりの上に何かがちょこんと乗っているのに気がついた。「何だろう?荷物の落し物かな」と、そう思っているうちに車はどんどんそれに近づく。
はっきりと見えた時には背筋の凍る思いだったそうだ。
乗っていたのはにんまりと笑う「首」。胴体は無い。男の生首が笑いながら手すりの上に乗っていたのである。
「!!!」
ブレーキをかけたがすぐには止まれない。その直後、なんとその首は自分から落下し、彼の車のボンネットの上にドサリ!と落ちた。笑う首が彼の目の前にゴロンと転がった。
ぎゃああああっ!、ドサリと言う声と音が重なり、彼はきつく目を閉じたらしい。
しかし、それからは物音1つしない・・・恐る恐る目を開けたが、ボンネットには何も乗ってはいない。
心臓は張り裂けそうなほど脈打っていたが、彼は自分を落ち着かせ、「幻だ、疲れのせいだ」と思おうとした。
しかし、気になる。車を路肩に寄せ、降りて見ると・・・
ボンネットの上にも、道路にも何も無い。しかし、ボンネットは大きくへこんでいたのである。
小さな傷なら今まで見落としていたとも考えられるが、目の前のそんなへこみに気がつかないわけがない。確かに今までは無かった。
あれは幻なんかじゃない。首は本当に落ちたのだ。
それからは、恐ろしくてたまらず、猛スピードで寮に帰った。
寮には各地からやって来た人達がいる。その彼らに、三輪君はその話をしたそうだ。
そうすると、神戸出身の男がそんな話は神戸にもある、と教えてくれた。
六甲山の、ある陸橋だか水道橋からも、幽霊が落ちてくるというのだ。夜景を見に来る人の間では有名な話で、その下でやたらと事故が多いのはそのせいなんだ、と。
テレビでも放送された心霊スポットなのだそうだ。
そして、会社にいる地元米子の人に話すと、
「とうとう、見たか。毎日通ると言っていたからそのうち何かあるだろうと思っていたけど、アンタは信じないだろ?だからあんまり言わなかったんだよ。どう?今は信じるだろ?」
と、真剣に言われたのだそうだ。
「昼はともかく、夜は皆、わざわざ回り道をしてでも、そこを避ける。事故っちゃたまらん」
彼の上司までそんなことを言ったらしい。
それ以降、彼もその道を通らなくなった。
これで、安心である。
しかし、この話にはまだ続きがあるのだ。この続きは、又来週・・・・

浮かぶ顔騒動

いやあ、久しぶり。体調が悪かったとか、欝だったとか、そんなのではない。正直に「サボッていた」だけです。申し訳ない。しかし、その間にも又ネタが聞けた。
 
知り合いに看護師さんがいると前に書いたが、彼女から又、最近の出来事が耳に入ったので綴ろうと思う。何せ、彼女は働き者で、自分の就業時間が終わっても受け持った患者さんが亡くなると家には帰らない。最後の処置までその場に居合わせたいと、朝まで残っていたりするらしい。
そんな夜に病院で一騒動あったようである。
その日亡くなったのは長い間闘病生活をしていたおばあさんだったらしい。
家族が集まり、見守られながら午後11時半頃御臨終となったのだが、異変が起こったのはその3時間ほど後だったと言う。
処置が終わり、家族の人々も帰って行き、忙しい院内が珍しく一息つく。救急センターを抱える大きな病院では、深夜といえどこうしてくつろげる時間は稀である。
久々のゆったりとした空気を楽しんでいたせいで、ナースステーションには夜勤に入っているメンバー皆が揃っていた。
その時、ナースコールが鳴った。
ふと見ると、個室からである。この部屋は最近入った男性の部屋だった。
彼女の担当でもある。彼女はすぐさまその部屋へ走った。
306号室。おばあさんが亡くなった隣の部屋であった。
「どうされました?」
彼女がドアを開け、男性の様子を窺うと、予想に反して男性に変わった所は無い。苦しそうでもなく、逆に何とも申し訳なさそうな顔をしている。
そして、
「あの・・・変な話なんですが・・・この窓に・・・」
彼は冗談だと笑われるか、叱られるかと怯えたように言葉を切った。けれど、その怯えはそれだけではないようだった。手が震えている。
「何ですか?何でも言って下さいよ」
彼女が安心させるように言うと
「その・・・窓にお婆さんが映るんだ・・顔だけが。ここ、3階なのに・・・」
正直、彼女は「又か」と思ったそうだ。又出たと言う意味ではなく、患者はよくそんなことを言う。特に隣で誰かが亡くなった場合、見なくても騒がしい状況で分かるのだ。そして神経過敏になり、光が見えたとか、夢に出てきたとか、そんな話はごまんとある。
それらが、気のせいでなく本当かもしれないが、一刻を争う勤務中に一回一回じっくり聞いていられないのが現状だった。
「本当なんだよ。おかしいと思われるかもしれないが、本当に何回も現れるんだ。あんたら看護師はこうゆうの慣れてるんだろ?分かってくれるよなあ。頼むからここに居てくれ!」
そう言われ、彼女は考えた。たまたま今は皆手が空いている。自分1人くらいここにいても問題ないんじゃないか?
彼女は承諾し、その男性とその部屋で、窓ガラスに目を凝らした。
すると・・・5分くらいそうしていただろうか。ぼうっと、何かが外を横切った。右から左へ行ったはずなのに、すぐに又、右から現れる。
さすがの彼女も驚いて声を上げそうになったらしい。
その発光する塊には顔があったのだ。肌は白く、髪の乱れたおばあさん。それは間違いなく先ほど隣の部屋で亡くなったおばあさんの顔だったのである。三階の高さの空中に顔だけがポッカリと浮かんでいた。
「うわあ!」
男が悲鳴を上げて彼女にしがみついた。
「な?本当に出るだろ!?あんたも見ただろ!!」
最初は彼女もうんうんと頷くことしか出来なかったが、すぐに我に返って部屋を飛び出したらしい。もちろん、報告に行くためである。
ナースステーションに戻り、ことの顛末を話した。
「ウソ〜!」「いやあ!怖い!!」「ホント!私にも見えるのかな」
反応は様々である。結局2人を残して皆で再び部屋に行くことになった。別の病棟の看護師までもが加わりまるで肝試しのように連なって部屋に入った。
男は大人数で安心したのか、気が大きくなったのか
「みんな来たか?出るぞ。ここ、見てなよ!もうすぐ出るぞ!」
などと煽っている。そして・・・
来た。
「ホラ!」
男が言うと同時に、おばあさんの顔がはっきりと浮かんだそうなのだ。
「キャーアアア!!」
新人の看護師が泣きながら廊下に出た。勤務歴の長い人達も唖然として窓を見つめた。
みんな、次の救急患者が入るまで部屋にいたそうなのだが、おばあさんはその後も何度か窓の外を横切りやがて、現れなくなったのだと言う。
                                               看護師と言っても、皆が幽霊らしきものを見るわけではない。見える人もいれば見えない人もいる。
彼女は霊感が強く何度もそうゆう体験をしているが、今回「顔」を見た人の中には今まで全く体験の無い人もいたと言う。
「よほど強い想いがあったのか。全員に見えたなんて珍しいのよ」
と、彼女は言った。
亡くなっても、魂はその場にしばらく留まる、と言うのは本当なのだろうか・・・?
何も害は無かったようだが、家族と共に家に帰るよりも、病院の方に思い入れがあったのかもしれない。

迎え火と共に

いやいや、お盆ですね。あっと言う間にお盆です。お墓参りには行かれましたか?
僕も親父とばあちゃんのお墓に行ってきましたが、昔みたいにきゅうりやナスに串刺して馬作るわけでもなく、なんだかお盆と言う気分ではないこの頃です。
僕がばあちゃんと広島で暮らしていた頃は、お盆になると「迎え火」「送り火」というのを焚いていた。12日だったか、13日だったか、そのあたりに夜、火を焚いて帰って来る人達を迎え、15日あたりにもう一度焚いて送るのだ。「その間は家の中に御先祖様がいらっしゃるんよ」と言って、仏壇にいつも以上に手を合わせ、何気ない些細な物音や軋みにも注意を払うばあちゃんだった。
最近まで、地域に伝わる風習なのかと思っていたが、幼馴みの友人に聞いても、「うちはそんなのはやってない」と皆言うものだから、我が家に伝わるやり方だったのか・・・?と思うのだ。
引っ越して県が変わっても、「それは初めて聞いた」と言われる。
けれど、子供の頃は、そうして御先祖様?を迎え、送るのが当たり前だと思っていたなあ・・・なんて考えていたら、ある光景を思い出した。
 
あれは、僕が小学校に行っていたか、まだだったのか、ずいぶんと小さかった頃のことだ。
その年も僕とばあちゃんは2人で「迎え火」を焚いた。
庭に薪を用意して、消火用の水を入れたバケツも準備する。
暑い夏の夜に、火を囲んで薪を入れ、空へ上る煙を見上げると、子供ながらに厳かな気持ちになったものだが、途中からは半分「ただの火遊び」になる。
そのたびにばあちゃんは「コラ!手ちゃんと合わせなさい」と怒ったっけ。
やがて、薪が尽きかけ、ばあちゃんは玄関に置いてあったバケツを取りに僕と炎に背を向けた時、僕は不思議な光景を見た。
その日はほとんど風が無く、空へ上っていた煙がいっせいに向きを変えて、僕の方へ来たのである。
炎が渦になって、その煙を追いかけるように横に伸びた。オレンジの炎の中に半透明の何かが混ざっていたのを覚えている。
自分にぶつかると思った僕は一瞬悲鳴を上げて飛びのいたのだが、それは僕の脇をすりぬけて玄関へと向かった。
「うわ、急に凄い風じゃ!!」と言って乱れた髪を押さえるばあちゃんを、それは更にすりぬけ、ゴウ・・・と家の中に消えていった。
何が起こったのか、驚くばかりでうまく言葉に出来なかったけれど、僕は大声で言った。
「風?違うよ!今の見えなかった!???」
「・・・何が?どうしたん?」
その時、僕は恐いとは思わなかった。懐かしいような、温かいような、不思議な気持ちだった。
「今、じいちゃん達が帰って来たよ!!」
僕は必死になって見たものをばあちゃんに話した。信じてくれないかと思ったが、信心深いばあちゃんは聞いた途端に目をうるうるさせながら奥に駆け込み、仏壇に手を合わせ「よう帰って来ちゃった・・・よう帰って来ちゃった・・・お帰りなさい、お帰りなさい」と言い続けた。
その年のお盆は、前に飼っていたネコまでが帰って来たらしく、僕は半透明のネコ(ピキちゃん)を見たしばあちゃんは寝ていてネコらしい動物が肌に擦り寄る感覚を体験したと言っていた。
15日に、送り火を焚くのは、なんだか寂しかった。
帰らなければいけない人達だと分かっていても、あんなのを見てしまうとどうしても寂しい。
送る時には炎に何の変化も無かったが、ばあちゃんは泣きながら薪をくべた。

お盆に本当に帰って来るのか。仏教では「輪廻転生」があるのから生まれ変わっているはずなのに、どうしてお盆に帰って来るなんて言うのか、謎は多い。
転生を許されず、地獄に落ちた悪人だけが帰って来ると言う説もある。普段地獄で苦しんでいる人達がお盆だけはこちらに来て、苦しみから逃れることが出来るのだとか。
それなら、「我が家にはそんな悪人はいない!」と思えば、お盆をする必要は無いんじゃないか?お盆におまつりするのは、「うちの先祖は悪人です」って言ってるようなものじゃないのか?
またまた、仏教以外の人達の霊は除外されるのか?
とにかく、謎である。
しかし、僕はあの時確かに見てしまったんだから、やっぱり帰って来る人もいるんじゃないかなあ・・・といった感じだ。
1番納得がいくのは、帰って来るんだと信じる生者の気持ちが、彼らを呼ぶのかもしれない。と言う説。
仏教ならばお盆に、それ以外なら、僕はよく知らないがその宗教なりの「そうゆう日」に。逆に言えば、お盆に限らずいつでも想い続ければ傍に来るんじゃないかってこと。
だから、亡くなった人をいつまでも悲しんで泣いてはいけないと言うのかもしれない。
ああ、なんだかわけが分からなくなってきた・・・こうゆう世界は自分が死んでみないと分からないなあ
・・・
ばあちゃんと離れてから、火を焚くことも無くなったけれど、こうゆう風習はどこから来たのか?又調べてみようと思う。もしも同じ事をしている家があれば、どこの地域なのか教えて欲しいです。

僕と、もう1人・・・

今回は又、僕自身の体験談を書こう。
まだ、10代の頃に職場の仲良し4人で肝試しに行った時のことである。
場所はこのブログにも前に書いた「埋もれた車」に出てきたトンネルだった。地元ではかなり有名なので肝試しといえば、たいていその場所が選ばれる。
飲んだ勢いで行ったから、時間はちょうど丑三つ時だったように思う。
僕らが乗って行った車も「ラルゴ」だった。軽4でもきつい車幅は、ラルゴならば両端の余裕は数センチもなくなるんじゃないか?
それでも僕らは行った。田舎道を車は進み、左に池が見えれば、そのトンネルもすぐそこである。
「うお〜コレ、うわさ以上にヤバイよ!!!」
「やめようよ。ここから見ても十分恐いもん」
わいわい盛り上がっていた連中が一気に弱気になるのも、実際その場に行けば分かるだろう。それくらい不気味だ。向こう側が黄泉の国でも納得してしまうほどの異質な空気が、ぽっかりと開いた入り口付近から漂っている。
「埋もれた車」の話を先に知っていれば、僕は絶対入らなかっただろう。その日僕は助手席に乗っていたんだから。
僕も、内心躊躇したが、4人いるとゆう心強さもある。それと同じだけの意地もある。明らかに近寄ってはいけないとゆう警告を感じるのだが、その時は興味のほうが勝った。
「昔オレ、ここにバイクで来て、中でエンジン切ってしばらくいたことあるんだから!でも何も出なかったよ」
運転手である、ツワモノの先輩がそう勢い付け、車内の4人は入ることに同意。車はゆっくりと黒い穴に入った。
噂どおり、息が詰まる。僕らは恐さを紛らわすようにみんなおしゃべりになった。
「うるさいぞお前ら。集中しないと車擦るだろうが!」
先輩はそう言ったが、黙っていると体の芯までその異質な空気に毒されてしまうような、気を確かにもっていないと、奈落の底へ引き込まれるような気がするのだ。
しかし、予想に反して、何も起こらなかった。車はトンネルを抜けきった。
「やっぱり、大丈夫だった。な?名所って言っても見た目に恐いだけなんだよ」
「うわー、つまらねー!」
散々恐がっていても、クリアしてしまえばみんな言うことはこんな感じである。少しのガッカリと実は安堵感と共に、僕らは帰路についた。
僕が異変を感じたのは、それからだ。
トンネルからそう遠くない場所に、鳥居があり、回り道をして帰ることになった僕らはその鳥居をくぐる細い道を選んだのだが・・・
「へー、こんな所に鳥居だってさ。気持ち悪いなあ・・・」
くぐりながら、後ろに乗っていたバイトの1人がそう言った瞬間、僕の両足が動かなくなった。
何かが正面から来た!と感じた途端に、下半身全体になんとも言えない圧力がかかり、・・・うーん、磁石の同極同士を近づけた時のような、目に見えない重い力なのだ。鳥肌立つ心地悪さだ。
その感覚は初めてじゃなかった。幽霊と呼べばいいのか、そうゆうものに触れると、いつもこの感覚がやってくる。
「アレ・・・?これ、ダメだ。動かなくなった」
「何が!?」
「いや、僕の足。両方ダメだ。この感じ何か張り付いてる」
車内一同、騒然となった。恐がらせないでくれよ、冗談だろ?と初めは言っていたバイトくんも、帰りに寄ったコンビニでも車から降りられない僕を見て、背筋の凍る思いだったと言う。
全く力が入らないのだ。「同極同士を近づける」と僕が呼んでいる違和感もずっとあって、歩くどころか足を持ち上げることすら出来ない。
それでも、他におかしな所はないので、以外に僕は冷静だった。のんきと言うか、初めてではなかったせいか、「そのうち離れる」などと思っていたのだ。
恐がって泣きそうな顔をしている後ろの2人をまず、家まで送り「僕は最後でいいよ」なんて余裕こいていたくらいだった。
当時、僕の住んでいた家は団地の3階だったから、問題はその階段を登れないこと。先輩におぶってもらうか・・・?動けない以上情けなくもそうなる。だから、2人には先に帰ってもらったというのもある。
団地の前に着くと、先輩は少し考えて、「やっぱ、こうしかないよなあ・・・」と、僕をおぶって階段を登りにかかった。
先輩は身長185くらいの、体格の良い人で、昔は引越しのバイトもしていたらしい。腕相撲も不敗を誇る。これなら、僕1人くらいは楽勝だろう。面倒かけたと気にしなくても大丈夫そうだ・・・と、思ったのだが、どうやら「1人」ではなかったようだ。
1階と2階の間の踊り場で、先輩は早くもゼイゼイ言っている。
僕の口は元気なもんだから、「大丈夫っすか〜?すみませんね〜」とか、「家には母がいますんで、玄関まででいいです。あとは何とかします」だとかしゃべっていたのだが、先輩は無言。
次の踊り場でも、足を止めて呼吸を整え、ようやく進みだすといった感じだ。
僕はなんとなく、気がついた。あ、僕以外の重さもかかってるんだな・・・と。
そうして、やっとたどり着いた玄関で、先輩は僕を下ろし、もう寝ていた僕の母親を起こしてくれた。
「夜分、すいません。塩をくれって言ってますが・・・」
目をこすりながら出てきた母親に、話しかける先輩の顔はまだ固まっている。
先輩が帰った後、結局、僕は塩を振りまわって、何だらかんだら、知っているお経やら真言やら祝詞やらを唱え、2、30分玄関前でその何者かと格闘していたら、突然すうっと軽くなり、離れた。こんなごちゃ混ぜのお祓いもどきでも効くのかと、自分で驚いたくらいだった。

先輩がマシンガンのようにしゃべりだしたのは、翌朝だった。出勤してきた僕を見て、3人が駆け寄り、口々に「よかった!無事だったんだ!」と言う。
僕を背負った先輩は
「お前の体重くらいなら、平気なはずなんだ。引越しのバイトでテレビや冷蔵庫運んでたから、持った時にだいたい何キロぐらいって分かるもんだ。それが、昨日は・・・どう考えても人間1人の重さじゃなかった。登ってる間、そう思ったらもう、恐くて恐くて。オレはお前以外の何を今背負ってるんだろうって・・・あんなのは2度と嫌だ・・・」
と、語った。
先輩は幽霊など信じていなかった。僕といる時に、「ここはヤバイですよ」なんて言う僕を「へ〜、思い込みじゃないのか?」くらいにしか思っていなかったようだが、その日に僕を通してだが、初めてそうゆうおかしな何かを感じたことになる。
「信じるよ。今は」
真顔で、彼はそう言った。
僕も、あの時は悪乗りが過ぎたと思う。反省だ。それからは興味本位でそうゆう場所に行くことはなくなった。簡単に離れてくれたから良かったものの、そうでなければどうなっていたことやら・・・

全7ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]

[ 前のページ | 次のページ ]


.
イッキー
イッキー
非公開 / O型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

過去の記事一覧

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Yahoo!からのお知らせ

友だち(8)
  • nagheuer_Evolution
  • Nansa
  • cocoro
  • ちぃ
  • 淘汰
  • つやこ
友だち一覧

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事