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何日か前に全身天然石ブレスだらけの人に出会った。
いつものように飲み会をしていたら、となりの席に1人でやって来た客なのだが、両手首に5、6本。首にネックレスを5、6本。たくさんの指輪もどうやら石のようだ。今流行っているが、ここまでの人は見たことがない。重いだろうにと心配になるくらいの石マニアらしかった。
たまたま、僕の友達がやたらフレンドリーな奴で、酒もはいっている。
「おっちゃん。すごい石の量っすね!!何が何なんすか!?」
と、声をかけたのだ。
すると、丸坊主で体格の良い、一見ヤクザ風のその人は、外見からは想像のつかなかった笑顔で猛烈にしゃべりだした。
まずは手首から
「これは金運、これが恋愛。こいつが健康・・・」
次から次に説明していき、ネックレスが終わるとズボンをまくりあげて、足首に付けている石の解説。
そこにもかよ!!どれだけ付けてるんだ!?と思いながら聞いていたら、何本か説明の無いブレスがあるのに気がついた。僕は「付けすぎると効かないどころか、まずいんじゃないか?」と言いたいのを抑えて
「え?んじゃ、これは何に効くんですか?」
さりげなく、説明を飛ばしていた何本かを指して聞いてみた。いろんな色の石を繋いだ太いブレスだ。すると
「ああ、こいつは祓うやつ」
と教えてくれた。
「あんまり言うと、変なヤツだと思われるしな。信じない人もいるし」
妙に寂しそうな顔をして、そんなことを言う。
「けっこう、憑かれるんすか?」
友達は遠慮も何もない。即、そう聞いた。
それから、こんな話になった。
昔はよく憑かれた。旅行に行くと必ず憑いて来るのがいて、頭痛や体が痺れたり、わけもなく涙が出たり・・・と言うのである。
そりゃアンタ、憑かれてるんじゃなくて「疲れてる」んだよ・・・傷心旅行ですか。と言いたいのを僕は又抑えた。彼は続けた。
でも、そんなのはまだ軽いほうでな、はっきりしたやつになると寝てると、出てくる。顔も髪も真っ白な女が布団の上から乗ってるのやら、夜中にゴロゴロ何かが転がる音に起きてみると、男の首だけが、畳の上を右に左に転がってるのもあった。恐いぞ!転がりながら目だけはじっとオレを睨んでるんだ!
「うわあ・・・マジっすか・・・」
想像した僕らも背筋が寒くなってくる。
何ヶ月も家に憑いてたやつもいた。急にドオン!!!っと雷が落ちたような音がしたり笑い声や泣き声でうるさくて眠れない日もあった。嫁と子供も聞こえるって言うしな。
だんだんノイローゼみたいになって、信じてくれそうな連れに相談したら、有名な霊能者を知ってるからって今世話になってるおばちゃんを教えてくれたんだよ。
電話しただけなのに、その人は「今、こうこうですね?」ってオレの状態を言い当てた。連れには言ってないことまでピシャリと当てた。
そこまで言われると初めは疑ってても信じるだろ?で、オレはその人が「魔よけ」になる。って言う組み合わせの石を買って、ブレスレットにした。それがコレ。特注なんだぞ?
石が来たら、まず、どうするか知ってるか?
「い・・いえ・・どうするんすか?」
力のある石って言ってもな、オレんとこに来るまでにいろんな人が触ってるだろ?採石場のヤツ、磨いてるヤツ、店で売ってるヤツ。それを全部おとして、自分自身の石にしないとダメだ。
やり方はな、満月の光に一晩当てるんだ。そしたら浄化される。身に付けるのはそれからだ。お前らも持つ時はそうしろよ?
で、石持ってからはそうゆうことがピタリとなくなった。
「へえ・・・・」
内容に感心したのか、あまりの力説に感心したのか、僕らは頷いた。
「それで、石に興味を持ったんですね」
「まあ、そんなとこだ。石は凄いぞ!人には及ばない何かの力があるんだよ」
彼は、じゃらじゃらと付けたブレスを振り、大事そうに眺めて、それからも1時間ほど石について熱く語った。
大切なのは「守ってくれる」と強く信じること、感謝の気持ちを忘れないこと、なのだそうだ。
彼が帰った後、僕らはまだまだ飲みながら、こんなことを話した。
石に、不思議な力がある。と言うのはまんざらウソではないと思う。が、初めの「魔よけ」の1本は効果ありとして、後のはいかがなもんなんだろうか?
山や川で石を拾うのも実は良くないと聞いたことがある。石にも良いやつと悪いやつがあるらしい。
「あんまり付けると石がケンカするよ」なんてのも言うよな。
あのおっちゃん、あれでいいんですかね?相談相手の霊能者さん、何か言ってあげてください(笑)
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