冴波樹の雨天決行〜だって雨に打たれたい日もあるじゃない?〜

あっと言う間に、もう九月・・・早い!早すぎるっ!!!笑

怪談部屋!!

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お別れに来たネコ

ペットを飼うのはいいけれど、死んでしまった時に悲しいから、と次を飼うのを辞める人も多い。
可愛がっていなければ、それはそれで、死んだ時に自責の念を感じる。
僕のあばあちゃんが昔に見たと言う不思議な夢は、後者の気持ちからだったのだろうか・・・
 
おばあちゃんは動物が大好きだった。
近所をうろついている野ネコ達を観察したり、写真をとったり、名前をつけているくらいだったし、犬でも鳥でも、見てしまうと家に連れて帰りたくなる。
そんなおばあちゃんにも昔、苦い経験があったのだと言う。
ネコの「ちゅう太郎」とおばあちゃんが暮らしたのは、もう、何十年も前だ。
当時はまだ幼い僕の母とおばあちゃんの2人暮らしの家に、子猫がやって来た。
知人から託されたのか、拾ったのか、その辺りは忘れたのだが、とにかく拒む理由が無い2人は大喜びでそのネコを飼うことにしたらしい。
「ちゅう太郎」はどんどん成長し、体格の良い立派な雄ネコになった。
眠る時はおばあちゃんの胸の上に乗るのだが、重い。いくらどけてもちゅう太郎はやって来るのが悩みだったが、2人共ちゅう太郎が大好きだった。
しかし、やがて治っていたはずの母の喘息の症状が出るようになり、医者からはネコは手放したほうがいいと言われたのである。
おばあちゃんは辛い選択を迫られた。
もちろん我が子が苦しむ姿は見たくない。けれどちゅう太郎を手放すなんて耐えられない。
必死で貰ってくれる人を探したが、不運にもそうゆう人は現れなかった。
ある夜、おばあちゃんは母が眠った後にちゅう太郎を丈夫な箱に入れ、自転車をこぐだけこいで行ける限り遠くに、ちゅう太郎を捨てて来たのだと言う。
おばあちゃんを信頼しきっていたのか、暴れもせずに箱に入ったちゅう太郎の姿は、何日も頭から離れなかった。泣く母にはちゃんと事情を話し、ようやく、ちゅう太郎のいない生活に慣れてきた頃・・・
朝起きると、玄関にちゅう太郎がいるのである。
ドロドロで痩せ細ったちゅう太郎が、そんなになってまで帰って来たのだ。
嬉しくて仕方ない。なんて、けな気なのだろう・・・けれど、やはり家で飼うことは出来ない・・・。
おばあちゃんは、今度は知人に運転を頼み、何十キロも離れた場所にちゅう太郎を置いてきた。
帰りには涙が止まらなかったと言う。
そうして、今度は、ちゅう太郎は戻って来なかった。
 
それから何年かが過ぎ、眠っていたおばあちゃんは、不思議で気味の悪い夢を見た。
河原に立つ自分の前を、お坊さんの列がお経を唱えながら過ぎて行くのである。
何十人ものお坊さんがゆっくりと進み、最後の人が通り過ぎる。おばあちゃんはじっと立っていたのだが突然、最後尾のお坊さんが振り返り、かぶっていた笠を取った。
その顔は、ネコ。まぎれもなく「ちゅう太郎」の顔をしていた。
彼は、そのガラス玉のような瞳でおばあちゃんをじっと見た後、再びお経の声と共に列に戻り、遠くに消えて行った・・・
はっと、目が覚めたときおばあちゃんは泣いていたようだ。なんとゆう夢を見たのだろうと、体を起こそうとしたその時、どん。と胸が重くなった。
懐かしい感覚だ。ちゅう太郎はいつも、こうやって眠っていたのだから。
ちゅう太郎だ!とおばあちゃんは確信した。
きっと、ちゅう太郎は死んだんだ。魂が今ここに帰って来て、昔のように胸の上に乗っているのだ。
目には見えないが、昔していたように、おばあちゃんはちゅう太郎の背中を撫でる仕草をした。
手には何も触れない。それでも、「来てくれてありがとう。酷い飼い主でごめんね・・・南無阿弥陀仏・・・」と言い続けた。
やがて、重みがすうっと去り、手と布団には野ネコ独特の体臭が残っていたのだと言う。
おばあちゃんは飛び起き、仏壇に手を合わせると、朝まで、ちゅう太郎の冥福を祈り続けた。

そりゃ、全部夢だ。とみんなは言ったが、自分はお別れに来てくれたのだと信じている。とおばあちゃんは言っていた。
いくら捨てられても、辛い飼い主の気持ちが分かっていたのだろうか。恨んではいなかったようだ。
それでも、それからは長い間、おばあちゃんはペットを飼わなかった。
2代目「ちゅう太郎」がやって来たのは、僕が子供の頃の事である。

                       END

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子供の頃、僕の遊び場は山や川、原っぱなどで、自然を満喫していたとゆうのは前にも書いたが、そんな当たり前にある山や川にも色んな物が落ちている。
靴が片方だったり、アクセサリーや、ハンカチ、その他、人が捨てたゴミ。
そんな中でも最も珍しい、拾い物の話・・・
 
小学校の時のある日の登校時間のこと。
いつも仲良くしていた女の子「はたちゃん」が奇妙な体勢で歩いてくるのが見えた。
ランドセルを背負っているから両手は空いているのが普通だが、その手を何かを抱えるように前にかざして歩いて来る。
透明な幼い子供や人形を抱けば、そうなる。と言うような・・・
クラスも同じでよく話をしていた僕は不思議に思い、おはようと言うなり、その手は何?と聞いてみた。
すると、
「ああ、たくちゃんね?昨日、山で遊んでたら付いて来たから、そのままうちに住んでる。でもまだ小さくて淋しがるから学校にも連れて来た」
と言うではないか。
「・・・コレ?・・・」
僕には何かを抱いている形の彼女の手しか見えない。
「・・・この空白にいるの?」
そう聞くと、彼女は嬉しそうに笑って、一人っ子で兄弟が欲しかったから仲良くなれて良かった!と言い、空白部分を愛おしそうに見るのだ。
「変なモノが見える」とよく言っていた彼女だったが、ついにこんな事まで言うようになったか!
僕のクラスには当時、おかしなヤツがたくさんいたから、ある程度は免疫が出来ていたのだが・・・突然キレて泣きながら脱走するヤツが何人か。今まで1回も声を聞いた事の無い「喋らない」ヤツ。登校してみれば教室中の机やイスを投げ回し絶叫しているヤツ。
もう、学級崩壊のハシリ状態だった。が、この症状は初めてだ!と、正直思った。
しかし、何日経っても、彼女は変わらず、授業中も膝に抱えているし、給食当番の時は1人にしておけないから預かって、とその「たくちゃん」なるモノを僕に渡すようになった。
どうしようか僕は迷ったが、普段仲良しなぶん、冷たくつっぱねるわけにもいかない。今以上にお人よしだった(笑)僕は仕方なく「たくちゃん」を膝に座らせることにしたのである。
しかし、見えないのだから、明らかに「変」だ。
僕はみんなに気付かれまいと、ダラけているように見せかけながらイスと机の間を広く空けて座り、その間に「たくちゃん」を置いた。
すると、心なしか重い!でもって温かい!!触れている部分は磁石の同極どうしを合わせた時のようなおかしな感覚までする。
僕は焦った。マジで?マジでか!?なにかいる!!
それから、僕は彼女を信じるようになった。
クラスには信じるヤツ、バカにするヤツと色々いたが、普段大人しい彼女が変わったことに気付かない子のほうが多かったんじゃないかと思う。
そうして、1ヵ月ほどはたちゃんのそんな生活が続いた頃、学校の帰りに僕は家に招かれた。
帰り道、彼女はたくちゃんが語ると言う「昔話し」を延々としていた。
たくちゃんと言う名前は本人が名乗ったんだそうだ。
着物姿で、明治頃にその山で亡くなった男の子なのだとか、たくちゃんについて話していた彼女だったが家に着くと玄関を開ける前に突然神妙な顔をして、僕を見た。
「・・・実はね、もう1人いるの。この子を拾った何日か後に今度は川で見つけた子がいるんだけど、その子も家にいるの・・・大丈夫?」
うーん・・・大丈夫?と言われても、たくちゃんをだっこまでした僕だ。今更大丈夫も何もないだろう。それに、見えなければいないのと同じだし、きっと見えないだろうし、もう、いいや!出るもんなら出てみろ!ってな感じだ。
頷いた僕にはたちゃんは「そう言ってくれると思ってた」と言い、玄関を開けた。
なんだよ、なら聞くなよ・・・と思った瞬間だった。
開けられた玄関の天井辺りを赤い布らしきものが飛び、僕とはたちゃんの頭上を通って外にぶわっと出て行ったのである。
女の子だと、なぜかその瞬間に分かった。
僕は固まったまま、ちらりとはたちゃんを見ると、僕の反応に「あんたも見えたのね!」と言いたそうに覗き込んでいる。
「もう1人って、今出て行った人?・・・赤い着物っぽいの着てる女の子?」
恐る恐る聞くと彼女は目をキラキラさせて、その通り!と頷いた。
・・・本当にいるんだ・・・
見てしまっては、もう否定のしようがない。
「たくちゃん」は見えないが、確かに重かったし、温かかったし・・・この時、僕の常識が少し変わった。(笑)
飛んで出て行った女の子の名前は「すずちゃん」と言うらしい。
たくちゃんを抱いている彼女を見て、この人なら見えている!と、すずちゃんも付いて来てしまったようだった。イヤ、「憑いて」の間違いか・・・?
両親は信じてくれないから、あんたからも説得してよと言われたが、それは無理だと断っておいた。
帰りにお母さんから、「この子の変な空想に付き合ってくれてありがとうね、友達続けてやってね」と辛そうな顔で言われたけれど。
ああゆうものは実際見ないと信じないものだ。
はたちゃんはその奇妙な同居生活を卒業するまで続けた。中学からは僕が県外に引越し離れ離れになったし、彼女も数年後に引越したようで、今どうなのかは分からないままだ。
障りがあるんじゃないかと初めは気になっていたけれど、はたちゃんはずっと元気だったし、抱いて学校に来ること以外はエスカレートしていく様子もなかった。
平然と「山と川で拾った」と話すはたちゃんの顔と、玄関を飛んだ「すずちゃん」は忘れられない。
拾うのは、生の、目に見えるものだけにしよう。害は無くても共同生活は疲れるんだから、そうしよう。

                      END

摩訶不思議なお婆さん

最近、よく僕がこのブログを書いていることを知って、協力しようか?と言う人が出てきた。
友達の友達なんだけど・・・と言って、電話をつないでくれたり、家族に話を聞いて来てくれたりと、何人もの人に世話になっている。
今回もそんな中の話の1つだ。
電話でしか話していないので、本人には会っていないが、珍しいタイプの怖い話である。

彼、本田さんは当時大学生。京都で1人暮らしをしていた。
ある日友人宅で麻雀をやろうということになり、本田さんも仲の良い友達の家に招かれたのだそうだ。
友人宅は学生専門のハイツの3階の部屋だった。
そこに、本田さんを含め5人が集まった。
ハイツの真下にはお地蔵さんがあったのだが、ワイワイとしゃべりながら入ったみんなは、初めは気にも留めなかったようだ。
かくして、麻雀が始まった。
徹夜でやるため、1人が休憩、残り4人が麻雀をやる。
最初にその声に気付いたのは、たまたま休憩役にまわっていた友達の「かっちゃん」だった。
勝負に夢中になっている本田さん達に、突然
「・・・何?あの声」
と言い出したかっちゃん。
「え?声なんかせえへんやんか?」
不思議に思った4人は麻雀の手を止め、耳を澄ませた。
すると、低く、細く、確かに何かが聞こえるのだ。女の人の声。それも若くはないであろうしゃがれたお婆さんのような声が外から聞こえてくる。
「何?隣のテレビちゃうん?」
「ハイツやもん、他の人の声ぐらいするって!」
そんな事を言い合っていると、そこの住人である友達は何と言う事無く缶ビールを開け、
「あれな、たまに聞こえるで。いっつも夜のこの時間、2時ぐらいから。でもな、あれ、テレビと違うんやで」
と平然と言ったそうだ。
じゃあ、何なんだ!と言うことになり、みんなで詳しく聞いてみたところ・・・
住んでいる本人も入居当時からしょっちゅう聞こえてくる声が気になり、隣や下の部屋の学生達に聞いて回ったのだと言う。
お婆さんの声がするテレビかラジオをつけていないか。実家からお母さんが来ているんじゃないか。などなど。
そうすると、誰も心当たりは無いと言う。それどころか、みんなその声が気になっていて同じ事を機会があれば聞こうとしていたらしい。
そうして、1階に住む人を訪ねてみると、なんと、「外のお地蔵さんから聞こえてくる」と言うのだ。
ちょうどお地蔵さんが塀を隔てて真正面にある部屋の住人は、気味が悪いから夜はあまり部屋い帰らないとまで言う。その声が話している内容がお経であることも分かった。
「だからな、謎やねん。怖いやろ〜!」
と、あっけらかんと笑う。
「・・・マジで?」
本人は良くても、聞かされたみんなはますます怖くなる。
「そう言えば、下に地蔵があったなあ」
5人でベランダに出て恐る恐る下を見る。確かに、声はその辺りから聞こえるようだ。
すると、怖い話が大好きなかっちゃんが「行ってみる!」と叫び、止める間もなく部屋を出てしまった。
「アホ!戻れ!戻れ!!」
下に姿を現したかっちゃんにみんなが騒いだらしいが、かっちゃんは好奇心丸出しで地蔵に近づいて行き、1メートルほど離れて立ち止まった。
見ていた本田さん達は、「あっ!!!」と声を上げた。
地蔵の前に半透明のお婆さんが見えたのだ。顔の表情までは分からないが白髪のお婆さんがしゃがんでいて、口をモゴモゴ動かしている。
それは、そこにいた全員に見えていて、あれは生きていない!と直感したらしい。
当のかっちゃんはと言うと、怖がる様子も無く、お婆さんに声をかけ、ニコニコ笑いながら何かを話しているようだ。
「うわ!あいつ、話してるやん!!」
その間、お経は止まり、本当ならかっちゃんの声が聞こえるはずなのに、なぜか彼の声は全く聞こえない。
やがて、2分ほど「帰って来い」と言うみんなの声が聞こえていないかのようにお婆さんと話していたかっちゃんが、ふうっと向きを変えて歩き出し、部屋に帰って来た。
「お前大丈夫か!?アレ絶対幽霊や!何話してたんや!」
4人が駆け寄ったが、その返事に背筋が寒くなった。
「え?何?行ったけど誰もおらんし、そのまま帰って来たんや・・・何?お前らのほうこそ何!?」
「うそや!お前お婆さんと何か話してたやんか!!」
「お婆さん?・・・何?そんなん、おったん?・・・オレ、誰とも話してへんで・・・」
かっちゃんもみんなも騒然となった。話が食い違うにも程がある。確かに話していたというのに。
本田さんは納得出来ず、やめておけばいいのに「今度はオレが行く!」と席を立ったのだそうだ。
みんなには上からちゃんと見ているように頼んで、彼は階段を下りた。
怖い。が、このままでは気になって仕方ない。本田さんはそうゆう性分なのだ。
ここからは本田さんの見たものだが、やはり、地蔵の前には誰もおらず、しばらくきょろきょろ辺りを見回したが、その時には声も聞こえない。さっきのお婆さんは消えてしまったのかと半分安心、半分がっかりして帰った。(と彼は思っている)
しかし、部屋に帰ると又々大騒ぎになっているではないか。
かっちゃんまでが
「ホンマや!しゃべってる!!」
と言う。
「いや、もう誰もおらんかったで・・・な?見てたやろ?」
「いや、だから本田!お前が今話ししてたやんかっ!!!」
「・・・・???」
おかげでその日はもう、麻雀どころではなくなったようだ。
とにかく、そのお婆さんは人が近づくと現れるのだが、それは他から見ている者にしか見えず、話までしていると言うのに、その場にいた当の本人には全く自覚が無い。
なんとも不思議な幽霊である。
かっちゃんも本田さんも上から見ていると楽しそうに話していたと言うから、怖い人ではなさそうだが、話した本人達に記憶が無いのだから内容は謎のままだ。
本田さんは言う。
「たぶん、あの辺りを通る人はみんな会ってるはずや。ただ、自分で自覚してないだけやで。な、化かされたみたいな話やろ?」

これは興味深い!こんな幽霊もいるのだ。
人目につくとまずいから、わざわざそうゆう出かたをするのだろうか?ならば声も聞こえないようにしろよと言いたいものだ。それとも、見ている人の方に幻を見せておもしろがっている物の怪でもいるのだろうか?
真相は今も謎のままだ。

すみませんおばさん

今回も僕が体験した話をしよう。
もう、7年ほど前のことだ。
それに気付いたのは誰が最初だったのか、僕の家族は僕、母、当時まだ健在だった父の3人だがおそらく同時期に、「家の中にいるもう1人」の存在に気付いた。
僕はバンドにハマり、部屋にミキサーやらピアノやらドラムやらを並べて深夜までガチャガチャやっていたのだが、その時妙な視線を感じたのが始まりだった。
・・・何かに見られている・・・
そう思って振り返ると、少し開いた部屋のドアの隙間に人影が立っているのだ。
はっきりとは見えない。モヤモヤした塊が揺れながらそこに、ずっといる。
僕はそうゆうものに遭ったのは初めてではないし、ただいるだけならば害は無いと、視線を感じながらも放っておいたのだ。
それは、いる日もあるし、いない日もあった。
そうしているうちに、ある日母が何かの拍子にぽつりと言ったのだ。
「ねえ、そういえば、ここ、もう1人いない?ちょっと前からそんな感じがするんだけど」と。
「あ、母さんも気付いてた?いるいる。夜は僕の部屋覗いてるもん。」
2人で話して、何をしているのか、誰なのか考えたが、呑気な僕らは結局「フラフラしてる人が入り込んだんだろう。害が無ければいてもいいじゃないか」と言う結論に落ち着いた。
そう。こんな家族なのだ。
そして次は父親だった。
毎晩のように飲んでテレビを見ていたオヤジが、ある時突然叫んだ。
「コラあああっっ!!お前!誰か知らんがチョロチョロせんとこっち来るなら来てここに座れ!」
・・・ああ、オヤジにも分かっていたのか。
しばらく前から家に住んでいる、はっきりとは見えない何かがウロウロと居間から見える廊下を行ったり来たりしている。しばらくは我慢していたが、あまりに鬱陶しいのでイラついて思わずそう叫んだらしい。
しかし、幽霊に向かって「ここに座れ」はないだろうよオヤジ・・・相手も困るよ、きっと。
その言葉に笑って幽霊はそっちのけ。・・・やっぱりそんな家族なのだ。
とにかく、その時期は3人が3人とも、4人目の住人に気付いていて、何と言うか、自然にその生活をしていたのである。
僕はトイレに行きたい。が、キュロットスカートをはいた人がすうっとトイレに入りバタンとドアを閉めるもんだから、てっきり母が入っているものと思い込んで僕はひたすら待つ。
もう、限界だ。「ちょっと!いつまで入ってんの?」と言うと母はベランダから「え?何?」と言う。
くっそー!又やられた!となる。
そんな時は一応、「入るから出てってー!」と声をかけてからトイレに入る。
お風呂に入っていても、ドアの前を横切る人影に(風呂のドアは半透明で影くらいは見えるのだ)「母さん、ついでにタオル取って、忘れたー。」と、いくら言っても返事が無い。
ドアを開けると誰もいないし、母は居間でテレビを見ている。風呂の前に来た?と聞いても行ってないと言う。
又だ。家賃もとらずに住まわせてるんだからタオルくらい取ってくれよ!
足音なんてしょっちゅうだったし、犬は一点をじっと見てしっぽを振っている。
そんな生活が半年は続いた。
そうして、ある日、母が1人で家にいる時、すぐ後ろで声がしたのだと言う。
「・・・すみません・・・」と。
しゃがれた、中年から高年のおばさんのような声だったらしい。僕が見た人もキュロットスカートをはいていたから、同一人物に間違いない。
僕らは話合った。
日本語の「すみません」には2通りある。「ちょっと、すみません」と声をかける時と、「ごめんなさい」の意味だ。
一体、どっちなんだろう?話かけたのなら言いたいことがあるはずだ。
壁や机をバンバン叩いて「おい!言いたいことがあるなら言え!聞いちゃる!」と叫ぶオヤジ。
けれど、それきり家の中の気配はぷっつりと消えた。
「きっとあれは、今までお邪魔してすみませんってことだったんだよ」

それから、その人は1度も家に戻って来ていない。成仏したのか、今もどこかのお宅にお邪魔しているのかは分からないが、それ以来、その人を「すみませんおばさん」と呼んでいる。
もしも、アナタが家にいる見えない客人に「すみません」と声をかけられたら、僕んちにいたのと同じおばさんだよ。きっと。

                       END

究極の選択

今日は不思議だがほのぼのとした話をお届けしよう。
昔いたお店の常連さんである、子持ちのおじさんの話だ。
「お前は、自分の親が今の親で良かったと思うか?最近じゃ、親を親とも思わない子がいるけどさ、文句言っても仕方ない。自分で選んで生まれてきたんだから」
と、ある日、僕の前でおじさんがぼやいたのである。
「いや〜、親は選べないでしょ。選べたらもうちょっとマシなカップルを選んでたよ」
と笑う僕に、おじさんは真剣な顔をして語り始めた。
 
その人には、今小学6年生の子供がいる。
初めて、子供の口からその話を聞いたのは、子供がまだ3歳の時だったと言う。
たまたま、家族でアニメを見ていて、丁度画面には空から下を見下ろす光景が映っていたらしい。
その時、子供がひどく興奮してこう言った。
「これ知ってる。僕は生まれる前にこうしてパパとママを見てたよ。で、パパとママがいる家がピカっと光ったから、僕はあそこにしようって決めたんだ」
まだ、3歳児の言葉だから、これをずいぶんとたどたどしくしたものだったと思うが、確かにこのような事を言ったらしい。
おじさんと奥さんはびっくりして、他にも色々聞き出そうとしたのだが、伝えたくても3歳の子供の知っている単語では、細かいところを語るには無理があるようで、時々、言葉に詰まってはモゴモゴと同じ言葉を繰り返す。
その子が眠った後、2人は話合った。
そうゆう話を聞かせたことがあるのか?絵本で見たことは無いか?
けれど、おじさんも奥さんも、そんな事を子供に話した記憶が無い。
子供が生まれる前の天使が、空から両親を決める話は聞いた事があるが、突然我が子がそう言い出すと2人は動転したのだと言う。
しかし、確かめる方法など無いし、子供もそれきりその事は口にしなくなったので「豊かな想像力」という事にして、2人はだんだんとそれを忘れていった。
そうして、5年生になった去年のこと。
夕飯を食べている時、突然子供が言い出したのだと言う。
「今日は父の日の作文を書いた。僕の家選びは間違ってなかったって書いたよ」
「!!!」
又だ。確か幼い頃にも同じような事を言っていたじゃないか!?
さすがに5年生にもなって、そんな夢を見ているのは問題じゃないかと、両親は2人で詳しく聞きだしたのだそうだ。
そうすると、状況はこうだった。
自分は上空のはるか彼方から地面と言うより地球を見ていた。すんなりと飛べたが、羽があったのかどうかは覚えていない。
地面は丁度飛行機から見下ろす地図そのままの地形になって、そこが日本だった。(今日本人に生まれているから当たり前だけど)気に入った場所で高度を下げていくと今の街があって、何百軒もの家が見えるのだが、家と同時にそこに暮らす人も見える。
夫婦のいる家が全部ぼんやりと光っていて、その中から僕は生まれる場所を選ぶ。
どこにしようか迷っていたら、今の家と両親がピカっと光って、「この人達なら優しそう」「自分は幸せになれる」と思った。
と、いうわけだ。
信じられない話だが、3歳の時にも聞いているし、子供は本当に「選び方が良かった」と嬉しそうにしている。これは本当なんじゃないか、と2人は思い始めた。
そうして、いつまでもそう言ってもらえる親になろうと決めたのだと言う。

これを聞いたのはカウンター越し。僕ははじめ「うっそだ〜!!」などとちゃかしていたのだが、遅れてやって来た奥さんも同じことを言う。
おじさんが酔って作り話をしているわけではないと分かった。
子供のほうはと言うと、同級生に何度か話したが誰にも信じてもらえないので今は、両親にしか言わないとの事。
「アンタの家庭の事情は分からないけど、アンタも自分で選んで生まれて来たはずよ?覚えてないだけで」
と、奥さんにまで言われた。
こう言われると、真剣に「選び間違えた・・・」と言う人も少なくはないはずだが、それでも、そんな中にも自分の親にしか学べなかった事もあるんじゃないか。
もしも、他の家庭だったら・・・と考えた時に、やっぱり、うちで良かったかも・・・と思えればそれが幸せなんだろう。
考えさせられる話だった。
これ、どう思います?

                       END

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