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久しぶりに読書メモ。

「エマニュエル・トッド」を比較的早く日本に翻訳紹介した「藤原書店」が、取り上げているレザー・アスラン(Reza Aslan)。

1972年テヘラン生まれ、79年イラン革命時に家族とともに米国亡命。米国で教育を受けたイラン人だが、宗教学者で作家。藤原書店が目を付け白須英子さん翻訳で一連の訳本。

「イエス・キリストは実在したのか」(「ZEALOT−The life and times of Jesus of Nazareth」2013、Random House)2014年翻訳、文芸春秋

「変わるイスラームー源流進展未来」(「No god but God」2005、Random House)2009年翻訳、藤原書店

「仮想戦争ーイスラーム・イスラエル・アメリカの原理主義」(「Beyond Fundamentalism-Confronting religious extremism in the age of globalization」2009-10,Random House)2010年翻訳、藤原書店。



とっつき易い「イエス・キリストは実在したのか」から

モスレムながら米国で教育を受けているから、ポストモダン的にはなんら意外性のない本、ではある。

要は、「実際のイエスは平和と愛を説いた救世主Christではなく、ローマ帝国とそれに結託したユダヤの聖職者たちによる武力と重税の支配を打破し、本当の(ユダヤ人のための)神の国を作るためには、剣(暴力)をとることも辞さなかった革命家(zealot)だった」という主張。

刊行直後2012年7月26日米右派「フォックスニュース」キャスターローレングリーンが著者アスランに「なぜモスレムのあなたがイエスのことを書いたのか?」と質問。「モスレムにイエスのことを書けるわけがない、どうせモスレムの偏見によるもの」との意地悪な意図があったに違いないが、これに対し、

自分は宗教学者・歴史家・著述家として学位(ハーバード神学部修士など)持ちその知識と綿密なリサーチによって、歴史上の人物としてのイエスを20年にわたり研究し集大成としての作品。たくさんの賛成論反対論については巻末に50ページに及ぶコメントを付したこと、また、キリスト教徒の学者がイスラムの歴史やムハンマドについて書いていけない・書けるはずがないと決めつけるのはオカシイ、などと見事に反論。

このインタビューが世界中にウェブ上で拡散、本は爆発的に売れ始め、1年で20万部、25か国語に翻訳権が売れた、と。

(以上、訳者あとがき、より)

世界宗教は、いずれも当時の支配層や聖職者の武力や重税による支配、そして口先ではともかく実際の格差や差別への反抗否定から生まれ、初期は現実改革や激しい革命の暴力的なものだが、その後、後継の聖職者たちが現実の帝国や支配権力層に妥協し、現実支配矛盾肯定(あるいは現実での革命は断念して死後生まれ変わって後の来世や極楽でいい思いをせよ)へと(教義の本質を)転換する。キリスト教もそんなもの、というにある。

そして同書本文末尾は↓
救世主イエスと人間イエス

2000年後の今、パウロの作り上げた救世主キリストは、歴史上の人物としてのイエスをすっかり包含。地上における「神の国」の樹立を目指して弟子たち軍団を集めながらガリラヤ全土を歩き回り、社会の大変革を意図した熱烈な革命家、イエサレムの神殿祭祀階級の権威に楯突く魅力ある伝道者、ローマの占領に反抗して敗北する急進的なユダヤ人ナショナリストとしての面影は、殆ど完全に歴史の中に埋没してしまった。それは残念なことだ。

なぜなら、歴史上の人物としてのイエスの包括的な研究で、明らかにしたのは、「ナザレのイエス」−人間としてのイエスで、それは「救世主キリスト」イエスに負けず劣らずカリスマ的で人を動かさずにはいられない魅力にあふれる、称賛に値する人だからだ。一言で言えば、彼は信じるに値する人物だ。


モダンポストモダン的には↑当然の主張だ。同じようにこのブログではかつて「孔子とその仲間たち」を当時の革命をめざした社会運動家たちとして描いた(書庫「孔子の一生と論語」参照)。キリスト教にせよ儒教にせよ近代今日までの学識を総合すれば当然そういう姿も見えてくる。かといって、キリスト教や儒教の教えを馬鹿にしたり否定したりするつもりはなく、それはそれで一つの宗教信仰として、あるいは人間観社会観や道徳礼儀として、学ぶべきは多い。ご注意。



念のため、それでも篤実な信仰者からは↑罵声を浴びせられることもあるのは止む無いこと、あるいは↓原書ではなく翻訳を責めてダメ翻訳大賞を贈呈すると発言する向きもある。参考まで。
https://restfultime.blogspot.jp/2014/07/2014.html

転載元転載元: raccoon21jpのブログ

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