さて、温暖化第二段ですが、映画 DAY AFTER TOMORROWで描かれているように、
海水温の上昇によって、北大西洋海流が止まってしまうと、北極圏に近い北欧、西欧諸国、
カナダ、ロシアと米国の北半分が、スーパーストームによって凍りつく可能性はあります。
実際はそうなってしまう確率は高くないようですが。
一般的には、海水面の上昇によって、水没、熱帯・亜熱帯地域の北上、温度上昇、伝染病
地域の北上などの影響が予想されています。
日本にいると、温暖化はあまり身近には感じられませんが、カナダや欧州の北部地域の国々
は結構深刻です。氷河や永久凍土が溶けて海水面の上昇や、地すべりなどが実際に発生して
います。たとえば、ロンドンのテムズ河の河口には堤防があって、海水面の異常上昇がある
と河川域が水没する恐れがあるので、堤防を閉めて防いでいます。
排出権市場の設立など、欧州が積極的な取組みを見せているのは、如実に迫りつつある危機を
感じているからです。オランダやデンマークでは風力発電を大量に設置しています。ベルギー
には太陽熱発電を研究している会社があります。英国でもテムズ川河口域に、大量に風力発電を
設置する計画が進められています。カナダは省エネ技術や、燃料電池自動車の研究で有名です。
話は削減目標に戻りますが、京都議定書は国際条約なので、批准した以上、公約は守る義務が
あります。ましてや京都で採択され、京都と名のつく条約でもあり、温暖化問題研究学会では、
日本が世界をリードしているという事情もあります。
また、京都議定書は、国会で全会一致で採択され、批准された経緯もあるので、日本政府としては、
是が非でも削減目標は達成せざるを得ないでしょう。しかしながら、現状では、少なくとも
1.65億トンの内、約20百万トンから40百万トンの削減が、国内努力だけでは達成困難と
考えられています。
政府は少なくとも20百万トンについては、京都メカニズムの利用で、削減目標を達成すると
いっています。京都メカニズムとは、自国で達成できない削減量を、他国に投資して、削減
プロジェクトを行うことによって得た排出権で、補うことができるという制度です。
具体的に考えられているのは、中国等で実施が検討されている、フロンや亜酸化窒素の削減
プロジェクトや、ロシアからのホットエアの購入などです。
ロシア及び旧東欧諸国は、東西冷戦後の経済発展の遅れから、1990年の基準年に対して、温暖化
効果ガスの排出量がマイナスになっているため、そのマイナス分を、他の削減義務を負っている
先進国に譲渡することができます。これを排出量取引といいます。これらの国の余剰分は、努力
による削減量ではないことから、「空手形」という意味を込めてHot Airと呼ばれてます。
日本がロシアからこのホットエアを買うことになると、両国が共に実際の削減義務を果たして
いないことから、他の批准国から批判を受ける可能性が高いので、買うとしても何らかの経済
援助的な政治の仕組みを作った上で、実行される可能性が高いと目されます。もともとロシアが
条約を批准したのは、このホットエアを売るためなので、2012年が近づくにつれて、値段を吊り
上げてくる可能性もあります。
投資による削減プロジェクトの実施によって、予定量の排出権を確保できる見込みが薄い場合には、
ホットエア購入の決断を迫られることになります。
プーチン大統領と小泉首相の会談のメインテーマは、北方領土問題もありますが、実はホット
エアの購入と、それに伴う経済援助の話です。
仮に20百万トンを全てホットエアで賄うとすると、現在欧州で取引されているCO2の排出権価格が
トン当たり20ドルなので、20ドルX20百万トンで、約4億ドル=400億円以上の金が、毎年ロシア
に支払われることになります。欧州市場での排出権価格は、去年の段階では10ドルでしたので、
既に倍になっています。政府が判断を誤ると、更に価格が高騰する恐れがあります。
(ロシアの売値と欧州の市場価格は必ずしもリンクしません。欧州の市場はEU ETSという
Local Marketで、排出権の取引価格は、非常に高くなっています。世銀などが扱っている
世界的な相場は、$7/ton程度です、他に基準価格が存在しないので、ほぼその水準で取引
されるものと見るのが順当です。それでも140億円になります。)
温暖化対策はコストを伴うものであり、対応を間違うととんでもない事になります。他の批准国
に比べると、日本の対応は圧倒的に遅れています。
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