クアラルンプールの空港に着いた。いつものとおり迎えにきた。 けれんみのない満面の笑みだ。 彼女は地元の車を買っていた。 駐車場に降りてドアを開ける。 盗難防止用のつっかえ棒が運転席にある。 これは完璧。 なんせ運転席に座ることができないから、絶対に盗まれる心配がない。 これって日本でも売っているのかな? 空港から国道の反対側にでて丘陵地帯を迂回して走る。 この道は地元の人しかしらない。でも渋滞はない。 「どうやって覚えたの?」 彼女は頭を指差した。 道路地図などいうものは存在しない。 「道路地図作ったら売れるかな?」 「中国人は頭いいからそんなもの売れないわよ。」 「それにいずれコンピューターでできるようになるでしょう。」 GPSのプロトタイプが現れたのはそれから2年後だ。 伊勢丹のコンプレックスのチャイニーズへ。 「ねえ、これ頼んでないわよ。」 「え」 「それはさ。突き出しと言って、つきものなんだよ。」 「いやよ。頼んでないでしょ。」 「それに伝票についてるわよ。」 そうか突き出しは伝票についてるんだ。 初めて知った。 「これもって帰るから全部つつんでね。」 残ったものは全部持って帰る。 これは最近、日本でも習慣ができた。 空き地の一角にたくさんの人が集まっていた。 日本でも最近流行のパーコウ麺だ。 スープをいれる。骨太の肉を入れる。麺を茹で上げて注ぎ入れ、 最後に油をちょっと注ぐ。 空き地の高台にふたりちょこっと座って、ラーメンをすする。 「おいしいでしょ。スープに拘りがあるのよ。」 ラーメンも今や日本の流行のひとつだ。 「私貴方のものになったわ。」 「そうじゃないだろ。」 「お互い恋人同士になったのさ。」 「日本人て表面的なことを気にしすぎよ。」 「私が本当の愛を教えてあげる。」 シンプルで嘘のない、純粋な時間が流れていった。 「日本に帰ったら、私の愛はもうあげられないわね。」 後悔した。でも別れた。 あの時のあの時間だけがTrue Love Story 国籍も習慣も宗教も言葉も関係ない。 そして見栄も嘘もない。 男と女だけの純粋な世界。 今気づいた。何が本当のことなのか。 でも彼女とあの時間はもう取り戻せない。 ご意見・ご感想をお寄せ下さい。 ゲストブックにコメントを書く。Premium Story Makers Copyright © PSM All Rights Reserved. |
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