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母親の妹の叔母は、実家の裏の借家に住んでいた。 20歳を少し超えたばかりの彼女には恋人がいた。 何故か彼女は彼と二人でいるのが極度に恥ずかしかった。 そこで、二歳の彼はよくレンタルされた。 レンタルは3年間は続いた。 つまり彼女が彼と会うときには彼が もれなくついてきた。 5歳くらいになると、よく釣りにいった。 東京から一番ちかい秘境は奥多摩だった。 五歳の視線からみる急流の水辺は豪快だ。 竿を揺らす魚の躍動感と腕に残る振動は 今も鮮明に覚えている。 二歳というとほとんど記憶がないのだが、 叔母はそのときのことが余程印象に残ったのか 会うたびに繰り返し同じ話をする。 「新幹線に乗ったらさ、途中で歯が痛くなって 大変だったのよ。2歳だから覚えてないかもね。」 3年間キューピットをやった彼は この二人との思い出に辟易としていた。 でも、三人で訪れた母の実家のことは鮮明に覚えていた。 祖父母夫婦の家は、山陰の古い城下町だった。 その家には母の弟で、長男夫婦もきていた。 誰も子供がいない時期で、彼だけが唯一の孫だ。 実家は離れがあって、土間がある本格的な日本家屋 で大きな屋敷だった。 何でも戦前は印刷屋をやって羽振りがよかったが、 戦中に鉄が足らなくなって徴用で機械を全部もっていかれた。 それでも屋敷はそっくり残った。 風呂場は広間とは離れた場所にある。 履物をはいていく。 しかも五右衛門風呂だ。 二歳のときの記憶だが、 新妻で始めて会った 長男の嫁の義理の叔母が風呂にいれてくれた。 そのとき、湯船から半分でたふくよかな胸の白さを 今も鮮明に覚えている。 その夜は庭に一番近い客間で寝た。 大人たちは話をしていたが、まだ小さかった彼は その叔母の添い寝で寝床についた。 しばらくすると、障子には、ほのかな灯りが ぽつぽつと灯っては、すうっと消えた。 夏の夜、虫の音と蛍の光が幻想的だった。 寝たふりをしていた彼を残し、 叔母は母屋に戻っていった。 物心ついたときにあった叔母は 印象が違って見えた。 美しい人だった。 看護婦をしていた. 物事をはっきり言う人だった。 いつしか、あの幻想的な夜の思い出は、 この叔母とは別人だったのでは? と思うようになった。 叔母は乳がんを患い、美しい胸を一つ失った。 乳がんは肺がんとなり、長患いをした。 長らく会えなかったが、四月の初めに危篤となり 桜が散るのと同時に息を引き取った。 お葬式にはでれなかった。 でも思いはあの時のままだ。 目を閉じて記憶に神経を集中していた。 「ちーん」という鋭い音で目をあけた。 開いたエレベーターに袈裟を着たお坊さんが乗っていた。 上の階に法事にきたようだ。 彼が軽く会釈をした。 すると叔母の美しく微笑む顔が次第に消えて 記憶の片隅に沈んでいった。 彼は「あの時のあの人は貴女ですか?」 といつか聞いてみたかった。 それもかなわぬ夢となった。 あの世でまた会えるだろうか。 Premium Story Makers Copyright © PSM All Rights Reserved. |
◆エッセイ◆
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フルーティだが上品な香りで、男にとっても香りを覚えやすい利点がある。 ちょっと大人になりきる前の女性で、エスティーローダーなどを使っている 女性が、すこしエレガントに変身する前に先行投資しておきたい。 シャネルというとNo.5や19、ちょっと知っていても、ココシャネルなどを 贈る親父も多いと思うが、もう少しレベルを上げて、アリュールをあげてみるとよい。 貴方と会うときにはきっとつけてくるから、必ずその場でつけてもらって 香りを覚えておくこと。 フレグランスは女性が自分で楽しむものだが、男性が時間を共有するときに 二人で楽しむという楽しみ方があってもよい。 「アリュールだね。」と一言いってあげられると夢見るような瞳になる。 とくに日本の若い女性なら、体臭とあいまって、独特なとても甘い香りがする。 女性も年齢がますごとにこの種のものの使い方はうまくなるので、ある程度 年齢がいっている場合は、好みを直接聞いた方が間違いがない。 ちょっと生々しい話になったので、この辺でやめておこう。 要するに自分が好きな香りだ。この香りが似合うレンジの女性に興味がある。 これもおたくの一種かもしれない。 海外出張で買って帰った数ははかりしれない。その割には皆、この香りを卒業して しまって、どこかに消えて行くのはどうしたことだろうか? また、せっせと一から買い込む努力もおこたりない。 でも、年かさもまして、Duty Freeで買うときに、女性の販売員の蔑んだ目つきが 気になるようになってきた。このエロ親父?そうならないようになるべく上品に 応対する。すると「奥様よいご趣味ですね。」などと言ってくれる。 でも奥様はこれが似合う年齢はとっくに通りこしてしまっているのだが。 Premium Story Makers Copyright © PSM All Rights Reserved. |
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