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夜が永遠に続けばいいと思うとき、大人の御伽噺をどうぞ

- 素敵な女性たち3

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変わらない人

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時代は巡る。自分を取り巻く環境はどんどん変化していく。
彼女の場合は国が決めたルールの変更で、生活の基盤が大きく揺らいだ。
経済的に困窮すると、それにつけ込む輩が次から次へとでてくる。



楽な方法で稼ごうかと何度も考えた。
でも、そのせつなさを考えると思いとどまった。
彼女は日本に居ることが好きだった。
でもこの商売を続けるのはそろそろ限界を感じていた。



「貴方変わらないわね。」
彼女にとっては、このどうしようもない世界で、昔から変わらない人は
かけがいのない存在だ。



「悪いことしようかなって考えるのよね。」
「そろそろこの仕事も限界。」
悪いことに金で手を貸してくる輩は沢山いるらしい。



「貴方がメイドで雇ってよ。」
「日本ではメイドの仕事はないよ。」
「それにメイドの給料じゃ君の生活は支えられない。」
「必要なだけ払ってくれればいいのよ。」



「僕は他人の人生に責任を持つのは好きじゃない。」
「・・・・」



「もう、一年もローン払ってない。」
「二年になると今まで払った分が半分になってしまう。」
「ローンだけでもなんとかしなくちゃ。」



「ごめん私のことばかり。あんた変わらないわ。あの頃と一緒ね。」
「私由紀と一緒に住んでるの。あの子スポンサーついたわ。」
「ときどき100万くれるらしいの。」



「ただでそんな金払わないだろう。」
「突然お金持ちで、使い方知らない人いるのよ。」
「でもほんと貴方変わらないわ。」



貴方変わらないわねと彼女は何度もいった。
彼はそうかいと何度も答えた。
でも変わっているのは、君を取り囲む世界。



きっと僕は君の世界の外にいて、ときどき君が必要なときにだけ、君のそばにいる。
だから僕はいつも変わらない人。

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神戸の夜。若いときのパワーは怖いもの知らずだ。気のあった若手6人で夜の街にくりだした。
月に3度、毎回違う店を開拓するのを目的にしていた。いきなり知らない店に入るのは結構勇気がいる。
一応「初めてですけどいいですか?」と聞いてから入る。



そんな中で、元町のはずれちょっと場所の悪いところ。ビルの一階で薄暗い中にランプの飾りが
ひとつ。殺風景なエクステリアだ。屋号がクウィーンズダンファームリン。
「おい、今晩はクウィーンズダンファームリン行こうぜ。」とはならないだろう。何でこんな
ややこしい名前なんだ?



「初めまして、ママの明美です。」
「へー若いね。同世代かな?」
「20歳。学生です。」
「ほんと」
真ん中に白いピアノ。ピアノの先生かつホステスさんは9時ごろからくるらしい。
回りに5つボックス席があり、カウンターが5席。女性はママを含めて3人、それに先生で4人。
こじんまりした店の割りにはデッドスペースが多い。



照明を落としていて、実にくつろげる。
女性たちも個性的でお話が上手だった。明らかにママよりは年上のホステスだ。



「なんでこんなややこしい名前?」
「実は北野に本店があって、私はそこのオーナーの娘。」
「ダンファームリンはスコットランドの古都なの。サッカーのチームもあるわ。」
「でもうちの屋号は競馬馬。英国で三冠馬になった名馬らしいの。それに因んだらしい。」
「ここは支店で女ばかりでやっているから、Queen'sって訳。」
「へー説明するだけで疲れちゃうな。」



それ以来その店に病みつきになった。
これは若手のルールに反するので、知られないように一人でいった。
ピアノの先生は二時間ほどで帰るが、実は店が閉まるときにママが弾いてくれる
ピアノが楽しみだった。リストの「愛の夢」、ショパンの「ノクターン」「別れの曲」



駆け出しのサラリーマンの日常とかけ離れた静寂と異次元の素敵な空間があった。



そんなある日
携帯にメッセージ。
明美からだった。
明日の朝8時、須磨のヴァーゴ



明日は水曜で休みじゃない。
しかも朝の8時だ。
いったいなんだっていうんだ。会社休んで来いって訳か?



「朝は海がきらきら輝いていて好き。いつまで見てても飽きないわ。」
シュールなのりはきらいじゃなかった。まだ気負いがあった。
適当にあわせておく。
「そうだね。たまには魂の洗濯って感じかな。」
「お店辞めようかな。」
「どうしたの?」
「ママには向いてないみたい。」
「でもいずれ本店をマネージするための訓練なんだろ?」
「一応大学生だから、大学でて普通に会社に就職することもできるわ。」
「会社はいって、素敵なサラリーマンと結婚したりして。」
「弱気だな。」
「だって、貴方は私の世界にはきてくれないでしょう?」
「少し歩こうか?もう少しまじかで海をみたいな。」



海岸を手をつないで歩いた。
誰もいない。靴を脱いではだしで歩く。
「君の世界と僕の世界はまだこれから未知の未来が開けている。」
「そうね。」



「車預けておくから、大学まで送って、3時に迎えにきて。」
「今日は一日付き合ってね。ドライブして食事して、お店に同伴よ。」
「軟派しちゃだめよ。」



彼女の車はフィアットだった。
北野の大金持ちの貿易商の娘だ。
彼女の世界で成長していれば今頃は本店のオーナーになっているはずだ。



窓を開ける。
長い髪が潮風にのって揺れた。
20歳の女の香りと潮のかおりが混ざり合って、
今も忘れられないさわやかな香りの記憶が脳裏に刻まれている。

潮騒と波間の煌きは心象風景に刻まれた。

僕は僕の世界で成功したといえるのだろうか?
今でも自問自答してみることがある。

北野のダンファームリンは5年前には存在していた。
「明美」さんはオーナーと呼ばれていた。

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Malpaso

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昔六本木にMalpasoという飲み屋があった。カウンターだけのバーだが、キュートな
女性が5人くらいいた。カウンターは15席くらいで、丸椅子の間に折りたたみ椅子を置いて、
彼女たちは座って、お話の相手をした。



結構キュートで可愛い女性が多かった。みなアルバイトだ。今のようにキャバクラなどという
システムが出来上がる前で、まだ、それらの店のステータスがかなり低かったころ、こんな
お店はいくつもあった。



一つ違うのは時間性で値段を吊り上げられることがないかわりに、ママの裁量で値段がどうにでも
なっていたこと。会社ぐるみで使っていたりすると、給料順に請求額は違って当然だった。
僕はミドルクラス?なので、それなりの値段で請求がきた。



ママは18歳の頃からその店にいた。以前は別の店でバイトしていたので、高校時代から働いて
いたようだ。別に貧しいわけではなく、その種のバイトが好きだったようだ。



プライベートなことはあまり言わなかったが、浅草方面に実家があり、母親は有名な政治家の
妾だといっていた。その父親は六本木の別の店の常連で、その関係で彼女はそこでバイトして
いたようだ。



Malpasoはその店の分家のようなもので、元マスターが開いた店だった。彼女は雇われの従業員
(ホステスというとちょっと語弊がある。)第一号だった。でも、第二号は現れなかった。
というより必要ないくらい、彼女の存在感はExclusiveだったからだ。



小顔で小柄だが、はっきり物を言う、それでいて、いやみがなく笑顔を絶やさない。まゆ筋が
とおっていてしまった表情だった。お話は一見上品だが、下ネタもオッケイでさばけていた。
とてもチャーミングな女性だった。声はちょっと低音で威厳があった。



彼女には僕だけしかしらない秘密がいくつかあった。肺桔梗という奇病だったこと。ときどき
ほっさで息苦しくて、家にいて動けなくなるらしい。最近引っ越したこと。(最近と言っても
随分昔のこと)これには理由がある。



皆が知っている秘密は、浅草生まれで、妾の子で、三社祭ではみこしを担ぐ、威勢のよい女性。
浅草生まれの女性というのは、僕の周りに何人かいたが、皆粋でいなせで、結構お嬢様が多い。
しかもあそこにずっと住んでいるという家族は、彼女のようにちょっと訳ありというのが多い。



そのあたりが、彼女にエキゾチックなテーストを与えていた。彼女が22歳のとき、マスターは突然
六本木を離れ、店を彼女に譲っていなくなってしまった。彼女はそれ以来ひとりで店を切り盛りして
いた。女性の入れ替わりは結構激しかった。だいたいは若いアルバイトばかりだった。



その日も例によって、12時前にMalpasoに寄った。実は事前に店に電話をかけて、彼女が残っていて
店じまいしていないことを確認していた。携帯の番号を知っている客は数少ない。その中の
ひとりという重要な責任?を負っていた。



ドアを開けると、ちょっと安っぽい感じの「いらっっしゃい」の声。
案の定例の男が一人で飲んでいた。



その彼は芸術家風の風貌で酒はめっぽう強かった。その店には暗黙の了解があって、最後まで
残った客がママを送っていくことになっていた。ママは客と一緒に必ず飲むので、車は運転しない
主義だった。BMWに乗っていたが、仕事のある日は家に止めたままだ。



昔彼女は三宿の交差点を入ったところに住んでいたが、今は杉並に移っていた。
このことを知っているのは僕だけだった。何故なら、引越して以降、彼女を毎日送り届けていたのは
僕だけだったから。



実はその芸術家風のあんちゃんは、彼女のクレージーなファンで、三宿にいた頃付きまとわれた。
その当時ストーカーと言う言葉がはやりだしたころだったので、彼はリアルストーカー第一号で
そのために彼女は住処を変えた。



そして僕に電話があって、それ以来暫くの間(彼女がいいというまで)僕は毎日彼女を送るために
店に通ったわけだ。そんなわがままでも、聞いてあげたいような人だった。



その晩も僕が現れて暫くして、彼は帰っていった。
一度はタクシーでおっかけてきたことがあったが、僕は車を止めて、彼を制してからは、
素直になったようだ。でも未練がましく店には現れて、僕がいないことを確認してしつこく
つきまとっていたようだ。



いつものように彼女を自宅まで送った。ただ送るだけだ。彼女が下りるとき、軽く手を握り、
30秒は車を止めていた。手首の血管から彼女の鼓動を確認した。今日は肺はおとなしそうだ。
「大丈夫ひとりで寝れるよ。」と声をかけると、店では決して見せない不安そうな顔で
下りていった。



車の陰が見えなくなるまで、彼女は暗闇にたたづんでいた。軽く深呼吸をして歩いていく。
僕は歩き始めるのを確認するまでは、バックミラーから目を話さなかった。



ある日を境に彼女は店にあまり現れなくなった。店は新しい女の子たちでどうにかこうにか
回っていた。現金で払う人はまれなので、あまり心配はなかったようだ。
そのかわりつけは効かなくなってカードだけになった。



暫くすると店の屋号が突然変わり経営者も変わった。
どうしたと電話してみると「大家さんと支払いのことでもめてね。」「裁判沙汰になったの。」
とのことだった。大概のことは助けてやれたが、纏まった金だけは当時の僕にはどうにも
できなかった。



彼女を守れなかった僕は、彼女のフィールドから去る決意をした。最後に電話して、もう電話
はしない旨伝えた。「もう左ハンドルを運転することはないんだ。」と告げるとかすかに
心もとなげな声が聞こえた気がした。「そういえば、僕のつけが少し残っていたね。」
「いいの、払ってくれなくて。貴方の名前を消したくないからね。」



天気の悪い日は電話をかける。今でもそうだ。
電話番号は今も変わっていない。でも電話口にでて、彼女の声を確認したら、何も言わずに切る。
お互い生きている証だけを確かめ合うように。

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バタフライ

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「貴方に抱かれて私は蝶になる。」
キャバクラで始まったバタフライシステム。
人気のある娘が複数の客の間を渡り歩く。



店によっては客とのトラブルを防ぐために、時間をパソコンで管理しているなんてところもある。
その日も、普段は温厚そうな客が店とトラぶっていた。
よほどのことだろう。



「カラオケ歌っている間に、そばにきたと思ったら、席についてすぐ交替はないだろう。」
「すみません。ちょっと込み合ってまして、申し訳ありません。」
「カラオケ歌っている間でも、時間はカウントしてますので。」
「ちょっと待てよ。あっちの客の方が明らかに長いぜ。おかしいじゃないか。」
「俺は時間計ってたんだ。いったいどういう管理をしてるんだ。」
「私が責任をもって管理しております。」
「不愉快だ。帰る。勘定もってこい。」



「おい、この伝票はなんだ。」
「二時間です。」
「なんだと、たった5分超過しているだけじゃないか。」
「それでも二時間分とるのか?あきれた店だな。」
「延長しますかとお尋ねして、一度合意していただいておりますので。」
「こんな店は初めてだ。二度とこない。」

騒ぎをききつけて、女が戻ってきた。

「どうしたの。もう帰るの?」
「不愉快だ。」
「だいたいお前もけしからん。俺のやった扇子をやつに使わせてただろう。」
「だって暑いからしょうがないでしょう。」
「あれは一万円もする飾り扇子だ。」
「ごめんなさい。ね、機嫌なおしてよ。」
「機微のわからんやつだ。不愉快だ。」



その客は足早に店をでていった。
女が戻ってきた。

「あいつさ、いやなやつだから、店にいってわざと短くしてもらっていたの。」
「ちょっとやりすぎたかしら?」
「フォローの電話しなくていいのか?」
「いいのよ。冷たくしてやった方がいいのよ。」
「あいつ、私が本命だっていつも言ってるの。」
「だから必ず戻ってくるの。」
「私は悪女って訳。かわいいもんだわ。」
「時々やさしくしてやればいいの。」



「そういうもんか。」
「きっと俺のことも別の男には悪口いっているんだろう?

といって扇子を広げた。



「貴方は別よ。本音で付き合っているから。」
「私、妥協はしないの。他の人はビジネスよ。貴方は本気。」

男は思った。
そうなんだ。変に妥協して選んだ女とは長続きしない。
また、別の女を求めるようになる。
そしてお互いが不幸になるんだ。



「どうしたの?」
「そのとおりだな。本物を求めなければ結局、同じことの繰り返しになる。」
「それで私は貴方の本物?」
「分からない。結果としてそうかもしれない。」
「ふーん。他にもいるということね。」
「でも貴方のそういう謎なところがいいのよね。」
「きっと本物にしてみせるわ。」



「ここでキスするか?」
「えっ」
「・・・・」
「やっぱりだめよ。くびになっちゃう。」

相変わらず、うまいあしらい方だと思う。
本当はずっと別の彼女のことを考えていた。
でも、事情がある。この女はダミーだ。
何故なら、顔も体も、あの女そっくりだから。
でも尽きせぬものがある。
あの女に近づけないもどかしさが、また、別の代替品を作りだす。



「もう一軒いくか。」
つぶやいた背中にさびしさがだだよう。

     俺も所詮バタフライ。

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彷徨える男魂

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その店はいつも深夜に扉を開いた。今日もさまよう男達の魂を捕らえた。
彼女は、長い眉とアルカイックな微笑みで男達を魅了した。
そのうちに眠りにつくもの。自分を語るもの。酔ったふりをするもの。
本当に酔っ払っているもの。
全てをやさしく包み込んだ。最後に残った二人の男が語りだした。
お互い常連だが、あまり話したことはない。



「単身赴任なんだ。」
「どちらから?」
「仙台。子供と嫁さんはむこうでね。」
「へーしらなかった。だからここへ。」
「エーまあね。一人でいてもさびしいからな。」



「貴方は?」
「僕は都内に住んでますよ。Wifeもいますけど。彼女も働いているので。」
「そう。この時間に飲んでいて大丈夫?」
「もう寝てるし。いつ帰ってきたかなんて分からないでしょう。」
「別に浮気しているわけでもないし。」



「お子さんは?」
「いいえ。」
「子供がいるとやさしくなれるもんだよ。」
「いや子供がいても同じということもあるでしょう。」
「結局、愛のない。もしくは愛がないということが後で分かった結婚をしたことが、
後悔のトラウマとなって、新しい愛を探す若いときの自分に戻っているということかな。」



彼女がはいってきた。

「あら随分な分析ね。」
「それなら別れればいいのに。奥さん可哀想だわ。」
「どうして女の側からだけの見方をするのかな?」
「じゃどうして別れないのかしら。」



「それは原因を作った方が損することを知っているからさ。」
「確かに、今の日本じゃ離婚のインパクトは大きいからな。」
「でもいずれ社会の枠組みは変っていくのかもしれない。」



「お客で、朝始発で帰ると9時まで駐車場の車で寝てる人がいるわ。」
「いつも帰って別荘で寝るんだって。」
「奥さんが朝仕事に行くまで待ってるのよ。」
「その心理って夜、家に帰りたくないというのと同じかな。」
「コンビニと住むとこさえあれば、都会は快適だしな。」
「こうやって、受け入れてくれるところもあるんだし。」
「セックスだって新宿でオッケイだろ。」



「結婚後すぐ2年間ぐらい単身で海外駐在だった。」
「それから、何かが変った。」
「あの生活は楽だった。」
「住みこみの女性が3人。パンツまでアイロンかけてくれたし。」

電話がかかってきた。

「はい。あら早く来なさいよ・・・・・」
「切れちゃった。」
「この人変なのよ。いつも別の店から電話かけてきて、すぐ切るの。」
「一晩に十数回ということもあるわ。」
「奥さんに浮気されて。子供四人抱えて独身。」
「私が前の店で雇われやっていたときからなの。」



「彼一度、電車の駅の改札で待っていたことがあるの。」
「私同伴で、駅についたら、彼がいるから驚いちゃって。」
「どうも私の出勤時間を、見計らって待ってたみたい。」
「でも同伴しよって言えばいいのにね。」
「偶然の出会いをしたかったってこと?」
「それからこんな風に電話かけてくるだけで、店には来ないわ。」
「でも毎日電話してくるの。」

またかかってきた。

「可哀想じゃないか。でてやれよ。」
「でもすぐきってしまうんだから。無駄よ。」
「それでもさ。」
「これって、ストーカーで訴えることできますよね。」



「彼ってね。」
「来てもちょっと私が別のお客に触ったりすると、携帯に電話がかかってきたふりして、
外に出ていくのよ。電話なんかかかってないのにね。」
「気をひこうとしているの。じっと見てるの。やきもちやいてる。」
「でもね隣に座ったら、ちょっと触れただけでもすごく怒るのよ。」
「これって浮気された男のトラウマってこと。」



「心の傷さ。やさしくしてやれよ。」
「因果な商売だわ。」
「ところで貴方がたは大丈夫なの?」



「さてそろそろ帰ろうかな。」
「そう、じゃ・・・ちゃんちょっと待っててね。送ってくるから。」



「彼単身だけどあんたのこと惚れてんだろ?」
「どうかしらね。」
「子供が可愛いから優しくなれるって言ったけど、仙台に帰っても、元にはもどれないぜ。」
「私は魂を惑わせる悪い女ってわけ。」
「きっかけは常にあるのさ。」
「そうね。今日は貴方にはやさしくしないことにするわ。」
「ああそうだな。もう一人のさまよえる魂予備軍のためにね。」

でも、いつものようにタクシーに乗るところまで見送って店に戻っていった。
他の店に行ってほしくないと思っていた。
彼はいつものこの瞬間の、いつものその彼女の思いが、すこし重いと感じていた。
朝の鈍い日のひかりが窓越しに目をさした。
いつものようにしばしの静寂と浅い眠りに入る。

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