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二日ばかり前の夕方、初蝉の声を聞きました。蝉の声というのは、何という懐かしいものでしょう。
『ああ、また夏がはじまるのだ』 と。
蝉の声が聞こえると、過ごしてきた何十回もの夏の日々が、凝縮されて一気に甦るような感覚に包まれます。懐かしくて、愛しくて、切なくて、目眩のするような感覚・・・。 蝉の声が好きです。
ご存知でしょうか? 蝉のお腹の中というのは、それはもう、まったく空っぽなのですよ。虫博士だった小学生時代の息子に聞いたところでは、お腹の中の両側に発音筋という腹側と背側を繋ぐ二本の筋があって、それを一秒間に何万回という速さで伸び縮みさせて発音板を震わせるのだそうです。そして、空っぽのお腹の中にその音を共鳴させて、あのような沁み渡る声が出るのです。
室生犀星さんが「蝉を考へる」というエッセイの中で書いておられました。
「僕は蝉の顔の素朴さが好きである。蝉の顔は間抜けていて非常に悲しげだ。悲しみが凍りついて凝固(かたま)り、カブトのやうに鉄と銅とチョコレエト色を塗っている。田舎に百姓がいるやうに樹木に蝉がい、それが皆善良さうな顔付をしてる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・僕は蝉のはらわたを覗いて見て、何にもはらわたらしいもののないことを可哀想に思うたことがあった。まるでお腹のなかは乾いて空っぽだった。今でも腹の減った蝉のことを考へると悲しくなる。」
室生さんという人物の人となりを感じさせる文章です。お気持ち、分かる気がいたします。
蝉という虫の一生はほとんど土の中。種によって多少の違いはあっても、一口に言って、地中に十年・地上に十日と言っていいでしょう。一生、僅かな木の汁しか口にしません。けれど私は、哀れむには当たらないと思うのです。蝉はもともと食べる楽しみや満腹など求めてはいないような気がします。
すべての存在に本来的に意味など無いとしても、存在している者は何らかの意味や価値を求めるものですが、もしも蝉に意識というものがあるなら、蝉はただ最後の十日間を精一杯鳴くためだけに生きてきたのだと思えてなりません。それほどに力を振り絞って鳴き、命を燃やしているように聞こえるのです。
蝉の一生の最後の十日間が無かったら、私の夏の折々はどれほど素っ気無いものになっていたでしょう。蝉が意図していなくても、蝉の存在は私にとって他の何者にも替え難い大きな意味を持っているようです。
ただ一生懸命に自分自身を生きることが、知らないうちに、お互いに、どこかで誰かの大切なものになっている。この世に命を持つ者たちが共に存在するということは、そういうことなのかもしれません。
きょうから七月。もうすぐ本当の夏が始まります。また蝉しぐれの季節です。
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今日から7月。いよいよ夏ですね。
私達人間だけが愚かにも生きる意味を求めて欲なしでは生きていけない。だから死への恐怖を持つ。そっと生きる物が高等な生物だと
ある意味言えるのだと私は考えたりします。
すべての動植物を幸せにしてゆく事が人間の与えられた使命の為に
思考というものを神様が与えたのでしょうか?
これからますます暑くなるのでセイラちゃんも身体に気をつけてね。
2009/7/1(水) 午後 5:32
み〜たんさん、こんばんは。
人間は高等思考をしますが、他の哺乳類もそれなりの思考をするようです。もしかしたら蝉だって、ぼんやりした意志のようなものを持っているのかもしれませんよ。
暑い暑い夏が来ますね。み〜たんさんもお体大切に。頑張りすぎないでね。
2009/7/1(水) 午後 9:07 [ セイラ ]
蝉は十日しか鳴けないから命がけで鳴くのですよ。
人も100年しか生きられないから人生の1/3までに子供を産むのです。
1000年の寿命を持つ生物から見たら「たった100年」ですよ。
でも、実は生物の一生の長さって皆同じなのだそうです。
心拍速度の違いから体内時計のスピードが違います。
つまり、蝉は人間で言う20代が人生の最後にやってくるのかもしれませんね。
以前、記事でその様なことを書いています。
このブログにはちょっと違うかも知れませんが、一応トラックバックされていただきますね。
2009/7/2(木) 午後 2:23
ikechan様、こんばんは。
へえ、そうなんですか。体内時計・・・面白い説ですね。
記事、読ませていただきます。
2009/7/2(木) 午後 7:13 [ セイラ ]
蝉ですか・・・先月、三河湖の周りは蝉の鳴き声が良い感じでした。
伊良湖岬では5月から鳴いているし・・・夏の夕暮れのヒグラシが
一番、好きですね、哀愁たっぷりでなぜか淋しい声に聞こえます。
蝉のお腹の中が空洞というのは、初めてしりましたよ・・・
でも、開いて見ようとは思いません。ところで・・・蝉のことで、
ビックリした、新発見がありました。セイラさんは知ってたかな?
ヤフーで、「蝉を食べる」で検索してください。
沖縄県の人、蝉の味、ファーブルのこと、けっこう面白いよ。
2009/7/5(日) 午後 1:06
え〜!! 蝉を食べちゃうんですか!?
やだやだ、蝉は声を楽しむものですよ〜、って言っても、文化とはそういうものか・・・。
沖縄の人ですか?どうやって食べるのかな?きっとフライかなんか・・・調べてみますね。riruさん、情報ありがとうございました。
2009/7/5(日) 午後 5:16 [ セイラ ]
セイラさん、いつの間にかお洋服の模様替えですか。何だか以前の「おばさん」っぽいのよりこちらの方が「おじょうさん」っぽくて私は気に入りました。
2009/7/9(木) 午前 7:39 [ 新上 俊 ]
夢さん、おはようございます。
アバターって、ほとんど意識していなかったんですが、ふと気づいたら暑苦しいものを着ていたので、夏バージョンに変えました。と言ってもタダのアイテムしか利用しないのでこんなところです。
2009/7/9(木) 午前 10:01 [ セイラ ]
セイラさん、覚えておられますか、私は初め「見習作家」と名乗っていました。それをセイラさんが「その名では呼べないので変えて欲しい」と言われ、今の名にしました。今ではその名で本を出版するところまでこぎつけました。ブロ友からも「夢」さん、と呼ばれ気に言っています。ありがとうございました。
2009/7/9(木) 午後 0:30 [ 新上 俊 ]
今思うと、失礼なことを言ったものだと思います。でも、「夢追い人」ってほんとにいいネームですよね。これからも夢さんと呼ばせていただきます。
・・・コメのこと、ありがとうございます。私は「きらら」文学賞でいこうと思っています。
2009/7/9(木) 午後 1:36 [ セイラ ]
セイラさん、応援しています。そして二人が思い描いているものが互いに被るものではなく、補い合うものとして世界の平和に貢献できるものであることを願っております。夢追い人こと箱根山のぽんぽこ狸でした。
2009/7/9(木) 午後 2:24 [ 新上 俊 ]