明日につづく文学

陽の光のように暖かく ( 著作権がございます。転用はご相談ください。)

童話

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『まって! おちついて!』
その時とつぜん、頭の中で声がしました。
『目をとじて。体の力をぬいて。ゆっくりいきをしてごらん。すって、はいて、ほうら、いきができる。だいじょうぶ。夜までにはまだいっぱい時間があるから。さあ、もういっぺん前へすすんでみるのよ』
・・・・・・・・・・・・・
『ほうら、ちょっとすすめた。一歩ずつ行けばいいよ。つかれたら休んで、また一歩』
そうだ、あきらめちゃだめだ。わたしは力をふるいおこして一歩、また一歩、はっては休み、またはっては休み、月の光を目ざしてすすみました。
「あそこまで行けばみんなのところへ帰れる」
土かんの中はまっくらで、まものがうようよしているようでしたが、みんなの顔を思いうかべてがまんしました。
とうとう、ぬけ出しました!
土かんの外へ出てみると、日はまだ高く、まわりは草木がおいしげっています。あの、あやしく光ったはっぱがどれだったのかは、さっぱり分かりませんでした。

げんかんの戸を開けるとマーくんが、
「あ、ユカだ!」
と、とびついてきました。ぎゅってすると、マーくんもぎゅっとしてきました。
「おかえり!どこ行ってたの?」
お姉ちゃんもしんぱいした顔でとびだしてきました。お母さんが、
「あらまあ!どろだらけで・・・けがはないの?」
って体をパタパタはたいて、タオルで顔をふいてくれました。わたしは、ごめんなさいって言いたかったけど言えなくて、首をこくんとしました。
「きょうのおやつはユカのすきなイチゴケーキだよ」
って、お姉ちゃんがおさらにのせてもってきてくれました。土かんの中で聞いた声はお姉ちゃんの声ににていたような気がしました。
夜になって、お父さんとおふろに入りました。お父さんはタオルをあわあわにしてあらってくれながら、わたしに聞きました。
「ユカは、きょうはどんな日だったかな?」
わたしはお父さんのやさしい目を見て答えました。
「あのね、きょうはとってもだいじな日だったの」
でも、家出のことも土かんのことも、だれにも話しませんでした。ずっと、わたしの中にしまっておきます。

                                          ( 完 )


私の初めての童話にお付き合いいただいた方、ありがとうございました。よろしければ、ご感想などいただけましたら幸いです。

ほんとうは子どもの読者さんに読んでいただきたかったです。「だいじな日」の意味を、こどもたちは汲み取ってくれるでしょうか?子どもたちの心に残せる何かがあるでしょうか?
落選してしまったので、子どもたちに出会えることなくお蔵入りするのが残念です。唯一の希望は、将来、自分の孫に読んでもらえるかもしれないということですね。

それにしても、7枚に削るのは辛かったです。外せないと思う表現をスパスパ切っていくと骨だけのスカスカした作品になって、「だいじな日」の中身を感じ取ってもらうには不十分なものになってしまったと思います。始めから、7枚作品にはふさわしくない内容だったように思います。ひらがなの多い7枚という量が、感覚的に掴めていませんでした。
それとも、・・・・・セネカさんが「書くこととは、じつは書かないことである。」と読書通信の中でおっしゃっていましたが、その、書かないことによって何かを言い表す力が不足していただけかもしれませんが。
さてさて、それにしてもやっぱり、おもしろい体験でした。いつかまた、第二の作品に挑戦してみたいと思います。

                           ( ありがとうございました。 セイラ )

  
             

きゅうにドキドキしてきました。キラキラゆれるはっぱは、おいでおいでをしているようです。
「ようし!行ってみよう!」
ゆうかんなわたしはそうと決めたのです。
そろりと土かんの中に入ってみました。
なんだか外とはぜんぜんちがったかんじです。うすぐらくてひんやりしています。
でも、むこうがわのお月さまとみどりのはっぱは、さっきよりもっときれいに見えました。
あなが小さいのではって行くことにしました。これならうまくすすめます。
わたしは子犬のようにせっせと手足をうごかしました。中はだんだんくらくなっていきますが、お月さまをめざしてどんどん行きました。
どれくらいすすんだでしょうか?ちょっとくたびれました。でも、もう少し、もう少しと、がんばりました。
「ハァ、もうだめだあ」
ついに止まってしまいました。ハァハァといきをつきます。手足がだるくて首がいたくなりました。自分の頭がこんなにおもいなんて知りませんでした。前をむいていられません。力をぬいてがくっとうなだれると、目の前はまっくらやみでした。

わたしははっとしました。こわくなって顔をあげると、お月さまはまだまだ、ずっと遠くにあるように見えます。
こんなにがんばったのに・・・・・。
「もう、もどろうかな?」
心細くなって足を後ろに引いてみた時、わたしはとんでもないことに気がつきました。こしのあたりが土かんのてんじょうにつかえて、うまく後ろにすすめないのです。
「もどれない!」
心ぞうがドクドクして、のどがカラカラしてきました。そういえば空気も、土かんの中はなんだかくさくて、外のきれいな空気とつながっていないようです。
「いきができない!」
「もしかして、ここでしんじゃうの?」
まもののわなにかかったのかもしれません。今にもくらやみのかべに赤い目が かっと開きそうです。
みどりのはっぱは遠くであやしくきらめいています。
「お母さ〜ん! お父さ〜ん!」
さけびたいのに声が出ません。さけんだとしても、だれにも聞こえはしないでしょう。
このまま夜になったら? もう、おそろしさでこおりつきそうです。
みんながどんなにしんぱいするでしょう。 大さわぎになるでしょうか。
それでも見つからなかったら? もう二どとみんなに会えないのでしょうか?
どうしてこんなことをしてしまったのでしょう?
なみだがじわっとこみあげてきました。

                                          (つづく)

*応募した7枚作品を載せようかとも思いましたが、私の記念すべき初めての童話ということで、やはり、自分が
 気に入っている元原稿のほうを掲載させていただきます。

              。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
       

わたしはとってもかわいそうな子です。
だって、お姉ちゃんと弟のマー君はいつも新しいふくを買ってもらうのに、わたしはお姉ちゃんのお古ばっかり。
それに、マーくんは、お姉ちゃんのことは「お姉ちゃん」とよんであまえていくのに、わたしには「ユカ」とよびすてにするのです。わたしのほうがずっと、よくあそんであげるのに。
「ユカおねえちゃん、って言え!」
ってわたしがこらしめると、
「マーくんをいじめるんじゃない!」
ってお姉ちゃんがおこります。
二人はとってもなかよしですが、わたしはお姉ちゃんともマーくんともけんかになります。
けんかになると、お父さんもお母さんも、
「お姉ちゃんの言うことを聞きなさい」
って言うし、
「マーくんにやさしくしなさい」
って言うのです。わたしのきもちはだれも分かってくれません。わたしだけがきらわれものなんです。

だから、きょうは家出をします。だれが何と言ったって、だんこ、家出をするのです。
となり町にいるおじいちゃんとおばあちゃんちの子になるつもりです。
だって、おじいちゃんたちは、
「ユカは元気があってよろしい!」
って頭をなでてほめてくれるし、ひいきをせずにわたしにも新しいふくを買ってくれるからです。
だれにも言わずに家を出て、わたしはずんずん歩きました。家の近くには小さな川があります。川といっても一すじの水が、小石やざっ草の間をチョロチョロとながれているだけです。それでも石がきのかげにはサワガニやカエルがかくれていて、なかなか楽しいあそび場です。
「そうだ!おみやげにカニをとって行こう!おばあちゃんちでかうんだ」
川におりてカニをさがしました。でも、どういうわけか、きょうはちっとも見つかりません。おるすなんでしょうか?
カニをさがして川をだんだん下っていくうちに、ふと、川のはしっこまで行ってみたくなりました。
そういえば、川のはしっこってどこなんでしょう? 池かな? 田んぼかな? 海かな?

川の中をどんどん歩いていくと広い車道にぶつかりました。
「おや? ここがはしっこかな?」
そうではありません。車道の下にはまるい土かんのあながあいていて、川はそのあなの中につづいています。
しゃがんだわたしのせたけくらいの大きさのあなです。のぞいてみると、くらいトンネルのむこうがわには、お月さまのようなまるいあなが明るくぽっかりあいています。
みどりのはっぱがキラキラ光ってゆれているのが見えました。
わたしはドキンとしました。
「行ってみようか?」

                                          (つづく)

初めての童話

昨秋、新美南吉童話賞に応募していた作品が落選しました。

短いものを書いて小説の出版費用が稼げないか、という不純な動機からでしたが、初めて童話というものを書いてみて、童話という分野の幅の広さや特色、奥の深さに気づかされました。勉強になるとともに強く興味を惹かれ、2つめ3つめも書いてみたいという気持ちになりました。

さて、

私がさらさらっと書き上げた第一稿は10枚でした。応募規定は7枚。10を7に圧縮しようと取りかかったその時、はたと気づいたのです。この作品の対象年齢。
私が漠然と意識していたのは幼稚園から小学校低学年くらいまででした。字の読めない子が人に読んでもらう場合は問題ありませんが、自分で読むとしたら・・・そうです。使用漢字を対象年齢に合わせないといけません。
で、2年生の漢字までにしようと思いました。それが調べてみると少ないこと、少ないこと!
10枚だった原稿は漢字をひらがなに変えただけでさらに半枚くらい伸びてしまいました。
うっ、これを7に?・・・・と思いましたがやるしかありません。
やりました。しかし、それは300枚の原稿を250枚にするより難しいものでした。
2日で書いた原稿を3日かかって縮めました。描写を削りすぎたのでなんだかスカスカした分かりにくい作品になってしまった気がしました。でも送りましたよ。目標を設定したら逃げてはいけないという気持ちが私にはあります。

結果は落選でしたが、私の初めての童話です。引き出しの奥にしまい込むより恥ずかしながら記念としてここに載せることにしました。皆様のご指導・ご感想などいただければ幸いと思いまして。

それにしても、短いものや字数制限のきついものは難しいです。書きたいようにしか書いたことのない私にはそこが壁でした。長い小説においても、やはり過不足なく締まったものを書くことをもっと学ばないといけないと思いました。
また、童話として見た時、私のお話にはファンタジー部分が少しもなかったことにも気づきました。いかにも私らしいと自分で思いましたが、これでは子どもたちは楽しくないかもしれませんねえ。

などと前置きしているうちにすっかり時間が経ってしまいました。もう時間切れです。
では明日、私の初めての童話をUPすることにしましょう。

                         (賞金がもらえず、転んでもただでは起きまいとする 欲張りセイラ)               

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