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「原告患者の訴えを放置したことが被告歯科医の治療懈怠と言えるか」
1 当事者の主張
被告歯科医
「原告患者が被告歯科医に対して右上第2歯がぐらぐらになった事を訴えていたことは認める。
しかし、被告歯科医は何もしなかったのではなく経過観察していたから、そこに過失を認めることはできない。また、ぐらぐらの歯をそのまま放置したことについては固定しなかったのではなく、被告本人尋問で説明したとおりできなかったのである。」
原告患者
「歯周病で歯がぐらぐらになった場合、ぐらぐらの歯から咬合性外傷が生じ歯周病が急激に悪化することは乙第42号証に記載があり、被告歯科医も「ぐらぐらの歯を固定する必要があった」事は本人尋問で認めたとおりである。被告歯科医は本人尋問で「サンメイディカル社のスーパーボンドでは特別な補鉄物の入った歯は固定できない」と証言しているがサンメディカル社のカタログには特別な補鉄物の入った歯も(1本7万円の義歯)良好に接着すると記載されており、被告歯科医の証言は偽証である。
被告歯科医は「歯周病の歯茎にぐらぐらの歯を放置することは非常に危険」との歯科医学知識を持ちながら3回の治療機会があったのにぐらぐらになった右上第2歯を正当な理由もなく治療放棄し「歯周病と咬合性外傷の合併で歯周病が急激に進行し歯茎が破損がすることを防止しなかった。」
2 裁判所判断
第1審判断
「被告歯科医が原告患者の主張するように右上第2歯に対する適切な治療をすれば原告患者の歯茎損傷の進行を防止できた事を認めるに足りる証拠はない。」
控訴審判決
「被告歯科医は原告患者から右上第2歯がぐらぐらになったという訴えを受けながらこれに対して何ら処置を施していないが、何らかの処置を施していたとしても右上第2歯の脱落を免れたものと認めることはできない。原告患者の指摘する甲27、および乙42をもってもこの判断を覆すには足りない。」
3 裁判に提出された上記判断のための証拠
ア 第6回口頭弁論準備手続で被告歯科医が任意で提出。
乙第42号証「歯周病の診断と治療のガイドライン(日本歯科医師会制作)」
「同証拠には歯周病の歯茎にぐらぐらの歯から生じる咬合性外傷が合併すると歯周病が急激に悪化し、通常は数年単位で進行する歯茎破壊が急速に進行する事が記載されている。」
イ 第2回口頭弁論(証拠調べ本人尋問)
被告歯科医の証言
被告「外傷性咬合というのはよそから外的な刺激を受けてそれがかみ合わせに無理がかかってそれで起こるという意味です。」
原告「このぐらぐらになっていると無理な力がかかりませんか」
被告「そうです。そのために固定するんです。」
原告「3歯はそのために固定しましたよね。」
被告「しました。」
原告「2歯はぐらぐらの時に固定していませんよね。」
被告「固定ができない状態なんです。1歯と2歯は特別な補鉄物が入っているので接着性レジンではちょっと止めるに止められない状態だったのでそのままの状態で、第2歯の法は止めるに止められなかったので、そのままになっています。」
ウ 第1回進行協議での倉田裁判長の指示により被告歯科医が第2回進行協議で提出
乙第45号証「被告報告書
「被告歯科医が当使用していた接着性レジンは「サンメイディカル社のスーパーボンド」である。
エ 第2回進行協議で倉田裁判長が原告患者の下記証拠提出を認めた。
甲第32号証「サンメイディカル社のスーパーボンドカタログ(性能表示あり)」
「スーパーボンドはアクリルレジン系の接着剤であり、歯質(エナメル質、象牙質)、歯科用合金属、歯科用陶材、レジンを強固に接着し、良質な樹脂含浸象牙質を形成する事で良好な辺縁封鎖性を示す。」
「原告患者の意見」
「上記4つの証拠のうち3つまで被告歯科医の証言や証拠である」
「原告患者の訴えを無視したことが被告歯科医の治療懈怠に当たるか?」について裁判官が審議したのは主として上記4つの証拠であるが、4つのうち3つまでが「被告歯科医の証言や証拠」であり、原告患者の証拠は「サンメイディカル社のカタログだけである。」法律では被告歯科医の証拠を原告患者の立証に役立たせることは完全に合法である。
「上記4つの証拠で不足なら後どのような証拠提示が必要か」
第1審も控訴審も「上記4つの証拠では被告歯科医が原告患者の訴えを放置したことに問題があるとは判断できない」としてる。
しかし、
1 被告歯科医本人が「宣誓までした証人尋問」で「歯がぐらぐらのまま放置すると外傷性咬合になるため固定が必要であった」と証言していること。
2 「歯周病の歯にぐらぐらの歯を放置すると歯茎が急激に破損する場合がある」ただし、「歯肉炎の場合は歯がぐらぐらでも特に固定の必要はない」ことの歯科医学知識は被告歯科医が「歯科医師会の資料を任意で提出した」ものであること。
3 被告歯科医が本人尋問で「原告の訴えを無視した理由」について裁判所の指示で、接着性レジンのメーカー名を被告報告書で提出していること。
4 原告患者の「被告歯科医の偽証」を立証する証拠提出は倉田裁判長が証拠調べの後であるにもかかわらず、第2回進行協議で受け付けていること
上記1から4は
「被告が任意で提出した資料に原告患者が本人尋問で質問し、裁判長が裁判指揮で真実を見つけようとして原告患者が真実を証拠提出した。」というストーリーが綺麗に流れている。
この流れで裁判所が「証拠が無い」というのであればほかにどのような証拠が必要か。
以上
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