俳句日記

つれづれなるまゝに・・・一日一句

雁帰る





 日の暮るる指差す彼方雁帰る


 今見えし帰雁の列や点となり

 帰る雁江戸川空を今わたり

 綿雲をよぎる帰雁や消えゆきぬ

 雨けぶる数羽の帰雁川向う




囀り



 囀りの鎮守の杜や吾ひとり


 囀りや耳を傾げて目で追うて

 囀りや三羽に続き雀来る

 囀りのなほも続きぬ窓辺かな
  
 囀りや教室迄も届きをり






戸定邸



 

 ひこばえや小さき風に可憐なり

 春光や太き走り根土深く

 幼子のまろぶ芝生の温しかな

 玻璃越しの廊下の日差しうららけし

 門くぐり鹿威しにも春の風






春暁



 春暁の雨音しかと窓に聞き


 春暁の体内時計狂ひなし

 春暁の空に残るる星数へ

 春暁に車のドアの閉まる音

 春暁の夢うつつなり揺蕩へり






春ショール



 春ショール鈍色空に明るす


 見送れば明日を待らるる春ショール

 ふはふはと春のショールや背を流れ

 雑踏に春のショールのあでやかさ

 風まとひ嬉しさ包む春ショール




林檎の花



 近づけば触れて優しき花りんご

 みちのくの白雲染めて花りんご

 恋文をそつと手渡す花りんご

 手折るれば楚々とうつむく花りんご

 彩添へる林檎の花に朝日かな


椿



 紅椿女三人長居せり

 道すがら出会ひし乙女椿かな

 朝方の大地の紅や落椿

 紅白の椿一樹や華やげり

 つくばひに小波立ちて紅椿


双樹庵



 華やかに触れて優しき吊し雛

 つくばひに一葉やはらか水温む

 さわさわと春北風通す双樹庵 

 立ちどまる一茶の句碑や春の色

 江戸川の生き生き青や春の土




三椏の花



 山路ゆく三椏の花楚々として

 朝日差し三椏の花夢心地

 三椏の花の大樹や過疎の村

 雨けぶり垣の三椏花明かり

 三椏の咲いて垣越し明るうす




啓蟄



 啓蟄や男料理も板に付き

 啓蟄や江戸川土手は気配なし

 啓蟄の青信号や先競ふ

 啓蟄や走り根あたり土動く

 啓蟄に未だ続きをり太鼓の音




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