日の暮るる指差す彼方雁帰る
今見えし帰雁の列や点となり
帰る雁江戸川空を今わたり
綿雲をよぎる帰雁や消えゆきぬ
雨けぶる数羽の帰雁川向う
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囀りの鎮守の杜や吾ひとり
囀りや耳を傾げて目で追うて
囀りや三羽に続き雀来る
囀りのなほも続きぬ窓辺かな
囀りや教室迄も届きをり
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ひこばえや小さき風に可憐なり
春光や太き走り根土深く
幼子のまろぶ芝生の温しかな
玻璃越しの廊下の日差しうららけし
門くぐり鹿威しにも春の風
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春暁の雨音しかと窓に聞き
春暁の体内時計狂ひなし
春暁の空に残るる星数へ
春暁に車のドアの閉まる音
春暁の夢うつつなり揺蕩へり
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春ショール鈍色空に明るす
見送れば明日を待らるる春ショール
ふはふはと春のショールや背を流れ
雑踏に春のショールのあでやかさ
風まとひ嬉しさ包む春ショール
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