絶対絶命のチャーンス!

いたってフツーな日記調のブログです。ただ、「変わっているやつ」が書いているので、「フツー」じゃないかも・・・

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『所縁』 第七話

 昼休み。友則に指定されてやってきた食堂は混みあっていた。友則は窓側の席をふたつ、確保して待っていた。


 席に荷物を置いて食券機に並びながらメニュー表を見ると、ここのおすすめは「名物チヨガクランチ」であることがわかった。前に並んでいるひとの6割くらいも、これを買っていた。


「試してみるか。」異存はなかった。


チヨガクランチはごはんと味噌汁、それに鶏のから揚げがついて350円という値段だった。ただどうやら日替わりらしく、きょうはたまたま鶏のから揚げであるらしい。学食が安いと言うのはどうやら本当のようだ。


 「まずい。」それも異存はなかった。友則の言うとおり、たしかにうまいと言えたものではない。ただのごはんを、どうしたらここまでまずく炊くことができるのだろうか。



 「それで、氷見の件だけど。」友則が話し出した。「いとこの話だと、あいつは幼稚園のとき県外から越してきたらしい。」


 「富山県外?」直哉はから揚げを口に運んだ。しょっぱい。


 「ああ、よくわかんないんだけど、地主の子らしい。父親は会社も経営していて富山市では結構な資産家だそうだ。」


 「え、県外から来たんだろう。それで地主っておかしくないか?」


 「だからよくわからないって言ってるだろう。」友則は味噌汁をすすった。味噌汁は出てきたときから冷え切っている。


 「それでどうやら小中学校のときはいじめられていたらしい。」


 「あの性格だもんな。」塩をごはんにかけた。これで少しはましになるだろう。友則もそれに倣った。


 「それ以上のことはいとこも知らないってよ。」


 「県外ねぇ…。」ふっとよぎった。まさかな。いや、関係ないだろう。




 「父親は会社やってんだよなぁ?なにしてんの?」


 「タクシー会社らしい。」


 「うちのおやじは不動産屋だ。関係ないな。」


 「いや、氷見は地主の子だ。おやじさんの勤めている不動産屋がなにかしたんじゃないか?」気づいたら友則はもう食べ終わっている。



 「一介の営業マンがなにを恨まれるんだよ。それにおやじの会社の営業エリアは首都圏だ。」



そうは答えたものの、直哉はなにか引っかかった。家に帰って、その日は優一が帰って来るまで居間にいた。


 「父さん。」とは言うものの、優一は直哉の実の父親ではない。


 「なんだ。」


 「富山って行ったことある?」


 「富山?北陸のか?いやないけど、どうした?」


 「いや、富山から出てきたやつがいてさ、話をされたんだけどいまいちよくわかんなくって。」


 「まぁ、それはおれにとっても同じだ。どこにあるのかもよくわからない。」

そう言うと、台所に向かって叫んだ。母さん、風呂沸いてるか?食事の準備をしていた美里は、ああ、できてる!できてる!と面倒くさそうに叫んだ。


 「じゃ、風呂入ってくるか。大学はどうだ?」



 「楽しいよ。」それを聞くと優一は満足げに風呂場へ向かった。



どうやらおれは氷見から、おれ自身の問題で恨まれているようだ。でも、なんで?


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