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水環境の保全対策



第4節 水環境の保全対策

1 環境基準の設定等

 水質汚濁に係る環境基準のうち、健康項目については、現在、カドミウム、鉛等の重金属類、トリクロロエチレン等の有機塩素系化合物、シマジン等の農薬など、公共用水域において27項目、地下水において28項目が設定されています。さらに、要監視項目(公共用水域:26項目、地下水:24項目)等、環境基準項目以外の項目の水質測定や知見の集積を行いました。平成26年11月17日には、公共用水域及び地下水におけるトリクロロエチレンの基準値の改訂を行いました。
 生活環境項目については、BOD、COD、溶存酸素量(以下「DO」という。)、全窒素、全りん、全亜鉛等の基準が定められており、利水目的から水域ごとに環境基準の類型指定を行っています。また、底層溶存酸素量(以下「底層DO」という。)及び沿岸透明度に係る環境基準設定について中央環境審議会水環境部会において審議を進めました。

2 水環境の効率的・効果的な監視等の推進

 水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号。以下「水濁法」という。)に基づき、国及び地方公共団体は環境基準に設定されている項目について、公共用水域及び地下水の水質の常時監視を行っています。また、クロロホルムをはじめとする要監視項目についても、都道府県等の地域の実情に応じ、公共用水域等において水質測定が行われています。
 水濁法が平成25年に改正されたことを受けて、我が国は平成26年度から全国の公共用水域及び地下水それぞれ110地点において、放射性物質の常時監視を実施しています。モニタリング結果は、関係機関が実施している放射性物質モニタリングのうち、本常時監視の目的に合致するものの結果と併せて、専門家による評価を経て公表しました。

3 公共用水域における水環境の保全対策

(1)排水規制の実施
 公共用水域の水質保全を図るため、水濁法により特定事業場から公共用水域に排出される水については、全国一律の排水基準が設定されていますが、環境基準の達成のため、都道府県条例においてより厳しい上乗せ基準の設定が可能であり、全ての都道府県において上乗せ排水基準が設定されています。
 カドミウムについては、新たな排水基準を平成26年11月4日に公布し、同年12月1日に施行しました。その際、一般排水基準に対応することが著しく困難と認められる4業種について暫定排水基準を設定しました。
 また、平成26年に水質環境基準の見直しが行われたトリクロロエチレンに係る新たな排水基準の設定について中央環境審議会水環境部会において審議を進めました。
(2)湖沼
 湖沼については、富栄養化対策として、水濁法に基づき、窒素及びりんに係る排水規制を実施しており、窒素規制対象湖沼は320、りん規制対象湖沼は1,393となっております。また、湖沼の窒素及びりんに係る環境基準について、琵琶湖等合計119水域について類型指定を行っています。
 水濁法の規制のみでは水質保全が十分でない湖沼については、湖沼水質保全特別措置法(昭和59年法律第61号)によって、環境基準の確保の緊要な湖沼を指定して、湖沼水質保全計画を策定し(図4-4-1図4-4-2)、下水道整備、河川浄化等の水質の保全に資する事業、各種汚濁源に対する規制等の措置等を推進しています。また、湖沼の底層DOと透明度改善等の対策手法に関する検討を行いました。

図4-4-1 湖沼水質保全特別措置法に基づく11指定湖沼位置図

図4-4-2 湖沼水質保全計画策定状況一覧(平成26年度現在)

(3)閉鎖性海域
ア 富栄養化対策
 閉鎖性が高く富栄養化のおそれのある海域として、全国で88の閉鎖性海域を対象に、水濁法に基づき、窒素及びりんに係る排水規制を実施しています。
 また、平成17年の下水道法(昭和33年法律第79号)一部改正を受け、閉鎖性水域に係る流域別下水道整備総合計画に下水道終末処理場からの放流水に含まれる窒素・りんの削減目標量及び削減方法を定める見直しを進めるとともに、これらに基づく下水道の整備を推進しました。
イ 水質総量削減
 広域的な閉鎖性海域のうち、人口、産業等が集中し排水の濃度規制のみでは環境基準を達成維持することが困難な海域である東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海を対象に、COD、窒素含有量及びりん含有量を対象項目として、当該海域に流入する総量の削減を図る水質総量削減を実施しています。具体的には、一定規模以上の工場・事業場から排出される汚濁負荷量について、都府県知事が定める総量規制基準の遵守指導による産業排水対策を行うとともに、地域の実情に応じ、下水道、浄化槽、農業集落排水施設、コミュニティ・プラントなどの整備等による生活排水対策、合流式下水道の改善その他の対策を引き続き推進しました。
 そこで、平成26年度を目標年度とする第7次水質総量削減では、平成23年6月に策定した「化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減基本方針」に基づき、平成24年2月に関係20都府県において総量削減計画が策定され、平成26年4月1日より全ての事業場に対して新たな総量規制基準の適用が開始されました。
 これまでの取組の結果、陸域からの汚濁負荷量は着実に減少し、これらの閉鎖性海域の水質は改善傾向にありますが、COD、全窒素・全りんの環境基準達成率は海域ごとに異なり(図4-4-3)、赤潮や貧酸素水塊といった問題が依然として発生しています。また、「豊かな海」の観点から、干潟・藻場の保全・再生等を通じた生物の多様性及び生産性の確保等の重要性も指摘されています。

図4-4-3 広域的な閉鎖性海域における環境基準達成率の推移(全窒素・全りん)

 このような状況及び課題等を踏まえ、第8次水質総量削減の在り方について中央環境審議会に諮問し、総量削減専門委員会において審議を進めています。
ウ 瀬戸内海の環境保全
 瀬戸内海においては、瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和48年法律第110号)及び瀬戸内海環境保全基本計画等により、総合的な施策を進めています。瀬戸内海沿岸の関係11府県は、自然海浜を保全するため、自然海浜保全地区条例等を制定しており、平成25年12月末までに91地区の自然海浜保全地区を指定しています。また、同法に基づき、瀬戸内海における埋立て等については、海域環境、自然環境及び水産資源保全上の見地等から特別な配慮を求めています。同法施行以降、平成25年11月1日までの間に埋立ての免許又は承認がなされた公有水面は、4,925件、1万3,177.2ha(うち平成24年11月2日以降の1年間に15件、68.4ha)になります。
 瀬戸内海における生物多様性と生物生産性の向上等の新たな課題等に対応するため、平成25年4月に中央環境審議会水環境部会に瀬戸内海環境保全小委員会を設置し、瀬戸内海環境保全基本計画の変更の審議を進めました。その結果、平成26年10月に同委員会でパブリックコメントを踏まえた同計画の変更案が取りまとめられ、平成27年2月に同計画の変更について閣議決定がなされました。
エ 有明海及び八代海の環境の保全及び改善
 有明海及び八代海等においては、有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律(平成14年法律第120号)に基づき設置された有明海・八代海等総合調査評価委員会(以下「評価委員会」という。)が、国及び関係県が実施した総合的な調査の結果を基に有明海及び八代海等の再生に係る評価を進めました。
 また、評価委員会が平成18年12月に取りまとめた提言を踏まえ、有明海及び八代海等において、赤潮・貧酸素水塊の発生や底質環境、魚類等の生態系回復に関する調査等を実施しました。
オ 里海の創生の推進
 多様な魚介類等が生息し、人々がその恩恵を将来にわたり享受できる自然の恵み豊かな豊穣の里海の創生を支援するため、平成22年度に作成した里海づくりの手引書や全国の実践事例等の情報について、ウェブサイト「里海ネット」(http://www.env.go.jp/water/heisa/satoumi/(別ウィンドウ))で提供を行っています。
 また、里海づくり活動の状況を全国規模で把握し取りまとめるとともに、「豊かな海」の観点から着目されている藻場・干潟に関わる里海づくり活動の現状や役割等に関する検討を行いました。
(4)汚水処理施設の整備
 汚水処理施設整備については、現在、平成26年1月に国土交通省、農林水産省、環境省の3省で取りまとめた「持続的な汚水処理システム構築に向けた都道府県構想策定マニュアル」を参考に、都道府県において、短期的にはおおむね10年で汚水処理施設の整備を概成することを目指し、また中長期的には汚水処理施設の改築・更新等の運営管理の観点で、汚水処理に係る総合的な整備計画である「都道府県構想」の見直しが進められています。平成25年度末で汚水処理人口普及率は88.9%となりましたが、残り約1,400万人の未普及人口の解消に向け(図4-4-4)、「都道府県構想」に基づき、浄化槽、下水道、農業等集落排水施設、コミュニティ・プラント等の各種汚水処理施設の整備を推進しました。

図4-4-4 汚水処理人口普及率の推移

 浄化槽については、「循環型社会形成推進地域計画」等に基づく市町村の浄化槽整備事業に対する国庫助成により、整備を推進しました。特に、省エネ型の浄化槽の設置や単独処理浄化槽の転換などを促進する市町村の浄化槽整備事業に対しては、助成率を引き上げる等、浄化槽整備事業に対する一層の支援を行っています。平成25年度においては、全国約1,700の市町村のうち約1,300の市町村で浄化槽の整備が進められました。
 下水道整備については、「社会資本整備重点計画」に基づき、人口が集中している地区等の整備効果の高い区域において重点的下水道整備を行うとともに、閉鎖性水域における水質保全のため、既存施設の一部改造や運転管理の工夫による段階的な高度処理も含め、下水道における高度処理を推進しました。
 合流式下水道については、「合流式下水道緊急改善事業」等を活用し、緊急的・総合的に合流式下水道の改善を推進しました。
 また、下水道の未普及対策や改築対策として、「下水道クイックプロジェクト」を実施し、従来の技術基準に捉われず地域の実状に応じた低コスト、早期かつ機動的な整備及び改築が可能な新たな手法の積極的導入を推進しており、施工が完了した地域では大幅なコスト縮減や工期短縮などの効果を実現しました。
 農業振興地域においては、農業集落におけるし尿、生活雑排水等を処理する農業集落排水施設の整備を65地区で実施するとともに、高度処理技術の一層の開発・普及を推進し、遠方監視システムの活用による高度処理の普及促進を支援しました。
 また、緊急に被害防止対策を必要とする地区については、用排水路の分離、水源転換等を行う水質障害対策に関する事業を実施しました。さらに、漁業集落から排出される汚水等を処理し、漁港及び周辺水域の浄化を図るため、漁業集落排水施設整備を推進しました。
 水濁法では生活排水対策の計画的推進等が規定されており、同法に基づき都道府県知事が重点地域の指定を行っています。平成26年3月末現在、42都府県、212地域、336市町村が指定されており、生活排水対策推進計画による生活排水対策が推進されました。

4 地下水汚染対策

 水濁法に基づいて、地下水の水質の常時監視、有害物質の地下浸透禁止、事故時の措置、汚染された地下水の浄化等の措置が取られています(図4-4-5)。また、平成23年6月に水濁法が改正され、地下水汚染の未然防止を図るための制度が創設されました。改正後の水濁法においては、届出義務の対象となる施設の拡大、施設の構造等に関する基準の遵守義務、定期点検の義務等に関する規定が新たに設けられました(図4-4-6)。このため、我が国は制度の円滑な施行のため、構造等に関する基準及び定期点検について運用のためのマニュアルを策定するとともに、対象施設からの有害物質を含む水の地下浸透の有無を確認できる検知技術についての事例集を作成するなど、地下水汚染の未然防止施策を推進しています。

図4-4-5 水質汚濁防止法の地下水の規制等の概要

図4-4-6 水質汚濁防止法の地下水の新たな措置の概要

 また、地下水の水質調査により井戸水の汚染が発見された場合、井戸所有者に対して飲用指導を行うとともに、周辺の汚染状況調査を実施し、汚染源が特定されたときは、指導等により適切な地下水浄化対策等が行われています。
 さらに、環境基準超過率が最も高い硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素による地下水汚染対策については、過剰な施肥、家畜排せつ物及び生活排水が主な汚染原因であることから、地域に応じた総合的な対策を行うための支援制度の検討及び技術マニュアルの改訂を行いました。

5 環境保全上健全な水循環の確保

(1)水環境に親しむ基盤作り
 関係機関の協力の下、全国水生生物調査(水生生物による水質調査)を実施しました。
 また、平成24年6月3日を中心に、全国のおよそ5,600地点で約900の市民団体と協働して、身近な水環境の全国一斉調査を実施し、その結果を分かりやすく表示したマップを作成しました。
 さらに、子供達の水環境保全活動を促進するため、全国から取組を募集し表彰する「こどもホタレンジャー」事業を実施しました。
(2)環境保全上健全な水循環の確保
 平成26年7月に、水循環に関する施策を総合的かつ一体的に推進し、健全な水循環の維持又は回復等を図ることを目的とした水循環基本法(平成26年法律第16号)が施行されました。これを受け、広く国民に向けた情報発信等を目的とした官民連携プロジェクト「ウォータープロジェクト」を法律で定められた初めての「水の日」(平成26年8月1日)に発足させ、多くの企業の参加・協力の下、全国的に展開し、水循環の維持又は回復に関する取組と情報発信を促進しました。
 流域別下水道整備総合計画等の水質保全に資する計画の策定の推進に加え、下水道法施行令等の規定や、下水処理水の再利用の際の水質基準等マニュアルに基づき、適切な下水処理水等の有効利用を進めるとともに、雨水の貯留浸透や再利用を推進しました。

転載元転載元: 底質汚染を綺麗にしましょう。海ごみも大変。


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