|
全部離婚前の昔話だけど、Yちゃんの事を思い出したから書きます。
高校の時の友達Yちゃん。
大人しくてあんまり友達居ない感じのコで、クラスも1度も同じになった事ないのに、なぜかいつも私の近くにいた。
凄く男運が良くないと言うか、やたら惚れっぽいコで、目が合っただけで男の子好きになっちゃうし、その度に告白して、フラれては私に泣きついてきた。
凄く純粋なコだと思ってたから、毎回フラれて傷付いてるのが可哀想で、私は何時間でも話を聞いてあげて、慰めてあげてた。
私は友達が多かったから、彼女の事が特別ってワケじゃなかったけど、引っ込み思案な彼女は、私しか友達が居ないんじゃないかって位、いつも私の後をついて来てた。
クラスが違うのに、休み時間は必ず私のクラスに来た。
私が理系クラスで、彼女は文系クラスだったから、教室も近くないのに、必ず来た。
私が通ってる塾にも通い始めたし、自転車通学してたのに、私が電車だからって彼女も電車通学に変えた。
いつも一緒に居るのにしょっちゅう手紙を書いてきた。
私が返事を書かなくても、「今日はあんまり話せなかったから」で始まる手紙を書いてきた。
私から見たらただ大人しいだけの彼女、ある時クラスでいじめにあっているって聞いた。
クラス中の女の子達から無視されていたらしい。
でも私にはそんなの関係なかったし、他の女子が無視してても私は普通に今まで通り接した。
私が彼女と普通に接してても、彼女をいじめてた女の子達は別に私に何もしてこなかったし、彼女と仲良くする事で私の友達が減るって事も全く無かった。
そういう事もあって、彼女の中で私の存在はどんどん大きくなっていったみたい。
卒業してからも手紙と電話はしょっちゅうだった。
こっちから連絡した事は1度も無いのに、全然連絡は途絶えなかった。
卒業してからの彼女は合コンにハマって、「コンパ大王」って名前で有名になった。
彼女主催のコンパはしょっちゅう行われてたみたいで、私も何度も誘われたけど、興味無かったから1度も行った事はない。
合コンなんて私は好きじゃないけど、引っ込み思案の彼女が初対面の人達と楽しく過ごせる様になったのは成長かも知れないと思ったので、皆は彼女の事を「男好き」とか悪く言ったけど、私は悪口を言わなかった。
私が結婚した後も、彼女からの連絡はずっと途絶えなかった。
彼女は合コンで彼氏をGET。
彼女ののろけ話は何時間も続いたが、今までは悩み相談ばっかりの電話が、のろけ話になったのは良い事だと思ったので、ずっと聞いてあげた。
ある日彼女はWデートをしたいと言ってきた。
自分は彼氏を連れてくるから、私には旦那を連れて来て欲しいと言った。
別に構わなかったので了解し、一緒にカラオケに行った。
そこでの彼女は高校時代とは何か違った。
自分の彼氏がその場に居るのにウチの旦那の横に座り、やたらベタベタ触る。
私はその当時から旦那の事なんて好きじゃなかったから、彼女にデレデレになっている旦那を「馬鹿な男だ」と思っただけで、別に彼女の事をどうとか思ったりはしなかった。
でもその後から、旦那の様子が変わった。
夜11時になると必ず誰かから電話がかかってきて、外へ出て行く。
さすがに毎日なので気になってはいたが、元々女好きな男だったから、問い詰めて喧嘩になるのは面倒だったし、怒らせて殴られるのも嫌だった。
そんな日が続いたある日、彼女から電話が来た。
悩み相談だった。
「サキの旦那が毎晩電話してくんの、ウザくて困ってるんだよね〜」
彼女は言った。
電話の相手がYちゃんだったとは。
それに、自分から毎晩電話してるのに、その言い方は何なんだろう?
「サキの旦那ねぇ〜夜勤の日は毎日電話かけてくんの〜」
どうやら旦那から電話する事もあったらしい。
私が知らない夜勤の夜に。
夜勤の日は普通の昼ご飯と夕ご飯、私は朝3時に起きて弁当を作っていた。
2つ持っていく弁当に、同じ品が入るのは良くないと思って、昼と夜の弁当の中身が重ならない様なメニューを作っていたから、時間も2倍かかったし、夜までもたせなければならないから、傷みにくい素材や味付けに気を付けていた。
料理が苦手な私にとって、本当に大変だった。
でも旦那は夜まで頑張って仕事するんだから、私は弁当作りくらいは頑張らなきゃって思ってた。
なのに旦那は夜勤を楽しんでいた。
私の高校時代の友達と夜の電話で盛り上がってた。
彼女は夜は旦那と喋り、朝になるとその内容を私に電話してきた。
「サキの旦那と○○の話をした」
「サキの旦那に○○って言われた」
それは迷惑そうに話してはいるけれど、ただの「のろけ話」だった。
長年彼女ののろけ話を聞いていれば、それ位は分かる。
どうして逐一私に報告してくるのか不明だったけど、彼女は私の旦那が自分の事を好きだと確信していて、それがとても嬉しいみたいだった。
毎日電話の内容はエスカレートしていったし、こっちは全然面白くも何とも無い話なんだけど、陰でコソコソ電話されるよりは報告して貰った方が良いし、全部私に筒抜けだと知らずに歯の浮く様な馬鹿なセリフを毎晩並べている旦那の馬鹿さがマヌケだったから、とりあえず毎回聞いてた。
でも彼女は毎回聞いてくれる私に心を許したのか、麻痺してきたのか、ついに重大な秘密をバラしてきた。
「サキの旦那と今度不倫旅行行く約束しちゃった〜」
その時彼女は酔ってたのかも知れない。
彼女は純粋だけど、旦那と同じ、ただの馬鹿だった。
「あ、そう。あんたは独身だから、他人の旦那と毎晩電話したり、不倫旅行するのがどういう事なのか分かんないのかな。」
って私が言うと、
「え〜だってサキは旦那のコト好きじゃないんでしょ〜」
って彼女は答えた。
好きじゃなくても籍が入っている以上、そういうのは困るんだ。
好きじゃないからこっちは嫉妬しなくても、旦那は離婚話を切り出すと暴力を振るうんだ。
彼女は何も分かっちゃいない。
夫婦って何なのか。
籍を入れるってどういうコトなのか。
彼氏と付き合ってるだけなら、嫌いになったら別れれば良い。
でも旦那って嫌いでも、別れるのは本当に大変なんだ。
戸籍も、親戚も、全部絡んでるんだよ。
子供だっている。
その日、旦那はピンクのジャージを着て、大きな鞄にお泊りセットを入れて、「仕事に行って来る」って言って家を出た。
殴られたくないから黙って見送った。
でも彼女とは会えなかったと思う。
私が彼女に言ったから。
「どういう事か、ちゃんと考えてみろ」
って。
初めて私に怒られて、彼女は何て思っただろう。
彼女は泣いた。
それから旦那は夜11時になっても電話で外に出て行く事が無くなった。
一件落着だと思ってた。
でも、何日か経ったある日、彼女から電話が来た。
昼間、旦那が家に居る時だった。
旦那が電話を見て嬉しそうな顔をしたのですぐ分かった。
携帯電話の声は私に丸聞こえだったけど、声が漏れている事に、彼女も、旦那も、気付かず、私の横で丸聞こえのまま話は続いた。
電話の向こうで彼女は泣いてた。
彼女って分かってたから私は耳をすませてた。
「彼氏と別れた」
彼女が言った。
彼女は彼氏と別れた事を、私の旦那に泣きついてきた。
旦那は嬉しそうだったが、良い人ぶって慰めていた。
電話が終わってから、私は旦那に「どうしたの?」って聞いた。
「男友達がさ、フラれたってんで慰めてやった」
旦那は言った。
もうこの2人、馬鹿同士くっつけば良いって思った。
旦那が彼女と結婚したいって言えば、私は離婚できるんじゃないかと思った。
でも旦那に離婚話を切り出しても、旦那は離婚を嫌がった。
離婚はしないで私に家事をさせ、遊ぶ女はキープしたいんだな、って思った。
彼女は確かに奥さんにしたいタイプじゃないだろうから。
その後も何事も無かったかの様に彼女は私の携帯に何度も電話をかけてきたけど、私は全部無視した。
同窓会で会った時も、泣いて謝ってきたけど、勝手に泣かせておいた。
信じてやる気は全く無かったから。
離婚を嫌がる旦那とは、調停を使ってやっと離婚できたけど、彼女と仲直りする気は無い。
私の中では縁を切った。
「あんたとは前みたいに友達でいる事なんて出来ないから」
って彼女にもキッパリ言った。
元旦那と同じくらい、顔も見たくも無い人間。
せっかく離婚してやったのに、全然くっつかない2人。
私と彼女を知る高校時代の友達が言った。
「何をしてもサキに勝てないYちゃんが、サキの旦那をたぶらかすのが、唯一サキに勝てたって優越感だったんだろうね」
|