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「過去10年間と今後10年間の大きな違いは、かつて経験したことのない人口減少時代に入ったこと、従って当然歳入は減り財政的には苦しくなる」という書きぶりで始まる「基本構想」「基本計画」だが、具体的な施策の方針を見る限りにおいて前段で市民へあおる危機感とは齟齬を感じるような旧来型の縦割り総花的な内容だ。
人口減少→歳入の減→市の活力低下というステレオタイプの発想から抜け出せない。だから、いかに人口減少を食い止めるか、税金を落としてくれそうな企業に来てもらうかという他力本願の施策になる。人口減少になった自治体はいつの時代にもあり、それら自治体が衰退の一途だと決めつける発想こそパラダイムシフトすべきだろう。
人口が減ることで環境や生活にかかる負荷がどの程度軽減されるのか、暮らし方の新たなスタイル提起していくこと、それこそ「歴史・自然・文化」のまちと謳うのならプラス要因としての発想の転換が求められる。
全体的に拡大志向のまちづくりからの脱却をどうはかるのかのビジョンが全く欠如していないか?いやむしろ「昔の夢をもう一度」という「産業振興策」「企業誘致策」にとどまっている。
基本的な人口の予測についても、これまでと同じ発想の分析しかしていない。
人口構成の内容を分析してもらいたい。
どういう人たちが多く住むことになるのか?分析は年齢層の違いだけである。
総合計画策定の前年度の基礎調査の人口データとの比較で、総数としての人口は、減少だが、増えていく層がある。「高齢者」これは計画の中で盛んに指摘しているが、そのほかに「障がいをもつ人」「外国籍」の人たちは、総人口に占める割合がおそらく1.5から2倍になるだろう。これを「民生費」の増で困ったことと捉えるのか?
ここからどういうまちづくりを模索していくか?で大きく施策が変わる。
ところが、相変わらず「障がい者への啓発」とか「国際交流」という従来からの施策の繰り返しで、まちづくり・地域づくりにまで踏み込んだ方向性が示されない。
根本的な問題は、総花・縦割りの章立てに象徴され、施策横断的な発想がないことにある。
高齢者・障がい者・外国籍の方たちが地域でともに暮らせるまちづくりに欠かせないサポート事業を地域の人材活用と絡めたコミュニティビジネスとして転換させるための大胆な支援とマネジメント体制を行政は行うべきではなかろうか?
それには「地域内循環型経済」→地元で働き地元で消費するための仕組み作りを行うことが必要だ。サポートが必要な方たちを支援し、ともに暮らすための仕組み作りに行政として何ができるのか?支援事業が地元での雇用施策としてあるいは地域コミュニティの振興策として持続的に安定して運営するための仕組みをどう構築していくのか?
「福祉」部門「教育」機関との連携、あるいは空き店舗活用など産業振興との関わりも生まれてくる。あるいは環境保全と観光をセットにしたエコツーリズムは、印旛沼が広がり、谷津田が多い佐倉では体験学習型の昼間交流人口の増につながるだろうし、地域総合型スポーツの振興と合宿所整備は若年層の長期滞在を促すだろう。耕作放棄地対策や里山保全は、これも滞在型の農業体験や里山の守人事業という形で新たな事業を提案する団体を巻き込んでいくことができる。アイディアはおそらく市民活動団体から様々寄せられるのではないか?佐倉市が他の自治体より一歩進んでいる点は市民活動が盛んなことである。行政はそれら市民活動をコミュニティビジネスとしてどう施策に取り込んでいけるのか?真剣に考えるときではないか?人口減少時代における新たな生活スタイルの提案となる。
税収の減少→経常経費の削減→職員人件費の削減つまり職員減、結果、仕事は増えるが職員は足りず、まじめな職員ほど精神的にも身体的にも追い詰められていく。非正規職員を劣悪な処遇で使うということが行われ、職員の意欲も含めて「公共サービス」の「質」が危うくなっている。
ここも発想の転換をしてもらいたい。役所は市の一番の大企業ではないか?
できるだけ市内に住んで市民としても地域の活動に関わり、公平公正な行政サービスを行うため現場からの視点を持った職員力を活かせるような仕組みをつくることが必要だ。
約1000人の正規職員には市内に住むためのインセンティブをもうけること、非正規職員のほとんどは市民であることからもその賃金や待遇を改善し、有能な人材を募り、安定的に高いサービスを提供できるようにすることが、多少増加する人件費以上の付加価値をつけることになる。新たな転入者を増やすことは自治体間競争の中で難しいのが現実だ。むしろ今いる市民を大切にする方策へとシフトすることが持続可能で住み続けたいまちづくりになるはずだ。
同じ発想で業務委託に対しての労賃を底上げする施策が求められる。佐倉市は全国の同規模の自治体に比べると財政的に余裕がある。その税財源のほとんど90%以上が個人市民税であり法人市民税はわずか数%にすぎない。個人所得にかかる税金で潤ってきた自治体である。裏を返せば個人所得が低くなるほどに税収は少なくなる。地域の中で、余裕をもって暮らしていける賃金が保障されることは引いては地域の消費力を高め税へと還元される。大手企業の誘致策に年間1億円以上の税を使うのなら、別な発想で地域経済を立て直す施策を行うよう発想の転換をすべきである。
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