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『オデッセアズ/シンドーネ』
①ミューズへの祈り
②私のいない時
③フォーカス
④ペネロペ
⑤キルケー
⑥ハーデス
⑦ポセイドン
⑧ネメシス
⑨最後の晩餐
⑩エロスとタナトス
⑪逆風
⑫自由
⑬ダイモネス
本作は、イタリアのプログレッシヴ・ロック・バンド、シンドーネが14年にファディング・レコードからリリースした彼等通算5枚目のアルバムです。92年と93年に1枚ずつアルバムをリリースしたあと消滅したシンドーネが、10年に復活してからは3作目に当たるアルバムで、これまでリリースされた全イタリアン・プログレ作品の中でもその最高峰に位置する大名盤と言っても過言ではない傑作です。ゲストにはスティーヴ・ハケットの弟として有名なジョン・ハケット(flt)、ゲスト参加した作品は数知れずとして知られる名手マルコ・ミンネマン(ds)ほか15名+弦楽オーケストラの陣容とのことで、サウンドについては推して知るべしです。
さて本作の内容ですが、①「ミューズへの祈り」は、いきなりEL&Pに迫るような緊迫感に包まれた楽曲。タルカスほどではありませんが、ドラマチックなところやトリッキーなところはかなり肉薄しているように感じます。最初からこういった曲を出されては、ファンとしてはそれ以後に対して過分な期待を持ってしまいます。ところが、その期待をあざ笑うかのようにトーン・ダウンした叙情曲に仕上げて見せたのが②「私のいない時」。しかしオペラチックに歌われるこの曲の出来はまさしく本作のハイライト、絶品名曲です。イタリアン・プログレが生んだ1つの頂点とも言えるこの曲に対する賛辞は筆舌に尽くしたいものがあります。オーケストラやアコギの美しさもドラマチックさも超一級品。これを聴かずしてイタリアン・シンフォを語ることなかれ…です。
また、③「フォーカス」は、リッカルド・ルッジェーリの熱唱とブラスを含めたジャッジーなサウンドにウットリするナンバー。そして④「ペネロペ」は、エスニックなメロディが魅力的で、アルゼンチンのアナクルーサのような妖艶さも漂います。ここから数曲はギリシャ神話の神々などがモチーフとなった曲が続きます。ペネロペは本作の主人公オデッセウスの妻と言う事になりますか。キルケーは魔女。ハーデスは冥府の神で全知全能の神ゼウスと海神ポセイドンの兄。メネシスはゼウスに追い掛け回された女神。絶対神のゼウスがストーカー&強姦魔と化しただなんて誰も信じられませんね。エロスは愛の神。タナトスは死の神。ダイモネスはギリシャ神話では神的なるものたちを指しますから、キリストが関係する「最後の晩餐」という邦題の⑨は、違和感・異物感を感じる訳となります。
何れにしましても、④「ペネロペ」から⑬「ダイモネス」までは組曲のような一大叙事詩となっていますので、こちらも堪能いただければと思います。とにかく文句のつけようのない作品に仕上がっていますので、プログレ・ファンの方は必ず聴くべき名作です。
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