桜田少年追憶記

学生時代までの自伝です。いよいよラストスパートです。

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大学の友人で最も親しかったのは、シューゾーという同級生だった。
シューゾーは、東北の港町出身で、家は民宿を経営していた。

口が悪いけど人懐っこくて、自分に自信がなくて根気もないけど、意外に短気。
そんな面倒くさい奴だったけど、ボクが最も気が合った友人がシューゾーだった。

3年になるとゼミが始まる。
ゼミの仲間はみんな良い奴らで、いつも一緒に行動したけど、
シューゾーと会えば、授業をサボっていつもシューゾーを連れ回した。
遠慮容赦なく、ボクにツッコミを入れてくるシューゾーが、ボクは大好きだった。

他のクラスメートの奴と出版社でバイトしていたシューゾーは、
天皇のように君臨する編集長に向かって、

「テメエみたいなのを井の中の蛙っていうんだよ!
オメエみたいな器の小さい野郎に命令されるなんて真っ平だね。
偉そうにしているけどな、お前も所詮、奴隷なんだよ、奴隷!
よく考えてものを言え、このボケ!」

と暴言を吐き捨てて、辞めたと聞いた。

優柔不断で自信がない。シューゾーは就職活動もロクにせず、
卒業ぎりぎりで飲食業界に就職が決まった。

「お前、今度は暴言を吐くなよ」

と、助言した。
4月から入社し、まだ1ヶ月も経たない頃、シューゾーから留守電が入っていた。

「ゴメン。オレ無理だったわ。実家に帰る。お前は頑張れよ、じゃあな」


それから1年半後、久しぶりにシューゾーから連絡が入った。
地元では就職先がなく、東京で転職先が見つかったという。

シューゾーが東京に来てくれたのは、ホントに嬉しかった。
大学時代、最も気が合った友人だったので。

しかしシューゾーは、またしてもわずか1年で辞めてしまった。
社長と専務が夫婦の会社で、ガミガミうるさい奥さん(専務)にキレて。
ケツをまくる際には、もちろん暴言を吐いて。

それからシューゾーは、しばらく東京にいた。
ある時「この日は空けておいてくれ」との連絡が入ったけど、理由を言わない。
シューゾーはパチンコで数十万も儲けたらしく、
ボクシングの辰吉の試合を見に連れて行ってくれた。

たまにシューゾーと会ったいたが、ある日、急に連絡が取れなくなった。
自宅に電話したら、すでに引き払っていて、今でもシューゾーの居場所は分からない。

シューゾーは長続きしない自分に対してコンプレックスを持っていた。
大学時代、変なところで突っ張ってしまうのもコンプレックスだったという。
そんな性格だったから、就職しているボクを含めた友人に対しても、
会うのが苦痛になっていったことが容易に想像できる。

おそらくもうシューゾーと会うことはないと思うけど、
ボクの中ではずっと大切な友人であり続ける。
友だちに社会的な地位を求めるという概念はない。
「オレはそんなクソ野郎じゃないぞ」って言いたいところだけど、
こればっかりは当人の捉え方だからしょうがない。

シューゾーは、きっと今でもあんあり変わらないだろう。
仕事が長続きせず、同僚とも揉め、フテ腐れてやけ酒を飲んで・・・
奥さんじゃないんだから、ボクはシューゾーに成長を求めない。
そんなダメな部分もひっくるめて友だちだと思っている。

会いたくなったら連絡をくれればいい。会いたくなければ、それでも構わない。
ボクの友だちに対するスタンスは、今でもこんな感じだ。

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