桜田少年追憶記

学生時代までの自伝です。いよいよラストスパートです。

幼年期

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一緒に暮らしていたお袋の姉妹だった3人の叔母。

長女のトミコ叔母さんは、姉妹の中で一番の美人で、甥っ子のボクや姉ちゃんは滅法可愛がってもらった。

トミコ叔母さんがお店を支えていた、と言っても過言ではないくらい、子供の目にもそれはスゴイ働きようだった。

トミコ叔母さんが高校生の時に通っていた高校は進学校で、叔母さん自身も成績は上位クラスで、大学に進学したかったらしいが、「店を誰かが継がなくちゃならない」ってことで、妹たちに不憫な思いをさせたくなくて店を継いだとお袋から聞かされた。

そのため、付き合っていた彼氏からのプロポーズも断り、店の大黒柱として切り盛りしていた。
とにかく犠牲の精神を持った人で、妹たちが困ることやイヤがることは一切させなかったそうだ。

ボクや姉ちゃんがお袋をキレさせてしまったときは、必ずトミコ叔母さんが最後に助けてくれた。
ボクが悪さをして、お袋に2階へ連れて行かれる時は、必ずトミコ叔母さんに助けを求めて泣き叫んでいた。

ボクと姉ちゃんはトミコ叔母さんに小学校まで、いろんなところに連れて行ってもらった。
映画や銀座への買い物は、必ずトミコ叔母さんが連れて行ってくれた。
「小遣い」と言ってもおかしくない給料を、ボクと姉ちゃんのために惜しみなく注いでくれた。
ボクと姉ちゃんは、子供の甘えを許さないお袋とは必須の用事以外は、まず出かけることがなく、トミコ叔母さんと一緒に出かけていた。
お袋自身も楽だったんじゃないかな。




お袋のすぐ下の妹のレイコ叔母さんは、曲がったことが大嫌いで、
気の強い叔母だった。
ボクは幼稚園の頃、レイコ叔母さんに上野動物園によく連れて行ってもらった。
当時はパンダのカンカンとランランが話題を独占していたんで。
気の強いレイコ叔母さんは、列に割り込んでくるオバサンと年中ケンカしていた。

気が強い者同士だから、ウチのお袋とは犬猿の仲。
凄まじい口論を何度も見てきたけど、親父とは相性が良く、お爺ちゃんと3人で旅行とかしていた。
レイコ叔母さんはトミコ叔母さんほど、ボクを甘えさせてくれなかった。
出かけても、わがままは許さない。
それでも、美味しいレストランや好きなおもちゃを買ってくれたんで、お袋と出かけるよりは全然楽しかった。
大人しい姉貴は、このレイコ叔母さんと気が合って、よく一緒に旅行に行ったりしていた。




末っ子のミツコ叔母さんは、平日のボクらの担当者。
買い物とか公園は、大体ミツコ叔母さんが一緒だった。

ミツコ叔母さんは子供の扱いが上手く、Iやモミはミツコ叔母さんに会いたくてボクんちに来ていたフシがある。
Iはウチに来るとよくミツコ叔母さんにジャンプして抱きついていた。
モミの子分みたいにくっついていた4人兄弟の次男だったヒロも、
ミツコ叔母さんの作るゼリーが食べたくてウチに来ていたそうだ。

姉貴の友だちもそうで、近所の姉貴の同級生がウチに遊びに来て、
ミツコ叔母さんが寝込んでいたら、そのまま帰ってしまったそうだ。




お袋の従兄弟で、ウチの店で働いていたトシちゃんが、ある日突然、
ボクの前から姿を消した。

後で聞いた話では、爺ちゃんに内緒で独立したらしい。
爺ちゃんはそんなことは気にしない人だったんだけど、何も言わずに突然辞めていったことと、自分が独立を反対すると思われていたことがショックだったようだ。

トシちゃんはその12年後に店をたたみ、田舎に帰って今もタクシーの運転手をしている。

もう一人の従兄弟のヤッちゃんは、結婚して家を買い、通いで店に来るようになった。

ボクは優しいヤッちゃんより、ケンカっ早いけど構ってくれるトシちゃんがいなくなったほうがショックだった。




幼稚園と小学校は同じ敷地内にあったし、ほとんどのクラスメートがそのまま
小学校に行くし、保母さんともいつでも会えるわけで、卒園する寂しさとかは全くなかった。

いろんな友だちが出来る楽しい1、2年生時代の話は・・・
ある日突然ボクらの前に現れた、謎の少年が主人公となります・・・☆

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健ちゃんとW

従兄弟は全部で8人だけ。
その中でも最も親しかった兄弟で、今でも仲がいいのが、
健ちゃんとWの年子の兄弟だ。

健ちゃんとWは、親父の弟であるMさんの子供たち。
写真を見ると、もっと小さい頃から会ってはいたんだけど、
記憶にあるのはボクが幼稚園の時、MさんがWを連れてきた時が初めて。
その時ボクはまだ5歳で、Wはまだ4歳だった。

それまで会った記憶はないんだけど、親父がよくこの兄弟の話をしていたんで、
やたら親近感があった。
そんなボクに目もくれず、Wはボクのおもちゃに夢中になって遊んでいた。



今もWには、目の眼球に茶色い斑点がある。
それは兄貴の健ちゃんと鉛筆を取り合ってる時に、目に突き刺さってしまった時の傷跡。
ご飯がなく、味噌汁しかない生活が結構あったらしく、外で遊ぶとおなかが空くからと、
家でお絵かきをしようとして、鉛筆が一本しかなかったから、取り合いになった時に突き刺さってしまったそうだ。
あいにく失明はしなかったし、視力が落ちることもなく、今も生活している。



WがMさんとウチに来た2年ほど前、健ちゃんとWのお母さんは、
二人の息子を捨てて家を出て行った。
二人をタクシーから降ろし、

「あそこの赤い屋根がお婆ちゃんち。二人であそこに行きなさい」

そう言い残して、一人タクシーに乗って去っていったそうだ。
だからこの兄弟は兄貴の健ちゃんが1年生の時まで、親父方の婆ちゃんに育てられた。

Mさんはロクに働かず、飲み歩きまくって、、外食は寿司屋やうなぎ屋で済ませ、
借金が雪だるま式に増えていき、奥さんと子供を残して借金取りから逃げるため、
行方をくらますことが頻繁にあり、奥さんが愛想をつかして出て行ったという次第。
婆ちゃんちに行く前、彼らを捨てたお母さんも既に家を留守にしがちだったと聞いている。
Mさんはサラ金から逃げ回っている時は、知人から寸借詐欺まがいのことを繰り返していて、その間、子供たちは放ったらかしにされていたそうだ。

で、ウチの親父が乗り込んで行って、弟のマモさんをよくボコボコにしていたらしい。

「てめえ!!息子たちがおなかを空かしているのに、何をやってやがんだ!!」

と。
この時、Mさんの言ったセリフは、

「オレだって自由が欲しいよ!」

だったそうで、親父が呆れて、さらにタコ殴りにしたそうだ。

そんな父親でも二人にとっては、大事なお父さん。
だから二人は最初の頃、ボクの親父を「パパをいじめる怖いおじさん」と呼んでいたらしい。

それからこの兄弟は、何度もウチに遊びに来るようになった。
ボクと一緒に住んでいた母方の叔母さんたちも、この兄弟を可愛がって迎え入れていた。
兄貴の健ちゃんはこの頃、笑顔の無い子供で、ボクは「なんで健ちゃん、笑わないの?」と聞いた記憶がある。
そんな健ちゃんを、ウチの親父がとりわけ可愛がっていたのを覚えている。



ボクの洋服のお古はWが着ていたけど、兄貴の健ちゃんはボクと同い年だから、ボクが着れなくなった頃には、健ちゃんも着ることが出来ない。
Wがボクのお古を試着しまくっていると、兄貴の健ちゃんがベソをかいていた。

「Wだけズルイよ!」

と。そんなとき、ウチの親父は、

「男が服のことくらいでガタガタ言って泣いてんじゃねー!!」

と健ちゃんを怒鳴りつけていたんだけど、後で健ちゃんに好きな洋服を何着も買ってあげていたと、健ちゃん本人から聞かされたことがある。

ひもじい思いをしてきたからか、この兄弟は食べ物の好き嫌いが全く無い子供たちで、
ボクはよく比較されて怒られたもんだ。

ガスと電気が同時に止められることは無い、とこの兄弟は言っていた。
ガスが止められた時は、湯沸かし器で味噌汁を沸かしていた、と述懐していた。



Mさんはダメ親父。
その後も定職に就かず、戦死した爺ちゃんの遺族年金を婆ちゃんにせびりまくり、
実兄のTさんを勝手に連帯保証人にして、サラ金から借金を連発。
その金は飲み代と外食代に消えていたそうだ。

そんなどうしようもない男だったけど、子供と女の扱いは抜群で、人見知りの激しい子供だったボクが家族と離れていても、Mさんといる時だけは泣かなかった。
幼稚園の時、親父に怒られてイジけていたボクを、電気アンマにかけて構ってくれたり。
のちにMさんは、ヒモ男としての才能を開花させることになるんだけど、
その話はまたの機会に。。。
そして健ちゃんとWの苦難の道は、まだまだ続くことになる。



次回は、ボクと姉ちゃんを可愛がってくれた3人の叔母の話で、
幼年期の話を終わりにしたいと思います☆

(続く)

リアちゃん

Jちゃんとマー坊の兄弟がいなくなった直後に、青い目の女の子が編入してきた。
名前はリアちゃん。
最初は日本語が話せなかったけど、あっという間にペラペラに喋っていた。

金髪のショートカットの女の子はワイルドな女の子で、遊ぶときはいつも男の子と
遊んでいたし、喧嘩も滅法強かった。
Iとつかみ合いになったまま、階段を転げ落ちていったけど、二人とも泣かなくて、
お互いの髪の毛を引っ張り合っていたのは凄かった。

ボクが隣のクラスの子と揉めていると、リアちゃんはよくボクに加勢してくれた。
キックにパンチ、もしくは唾吐きで相手をドン引きさせまくっていた。

ある日、隣のクラスの子と喧嘩になって、ボクがマウントを取られてしまったら、
リアちゃんが来て、そいつの髪の毛を掴んで離してくれた。
その相手が、今でも仲がいい若旦那のヒロキ。
ヒロキが怒ってリアちゃんに罵声を浴びせたら、キレたリアちゃんが指を鼻に突っ込んで
鼻水をかけたときは、何をしたのか分からなかった。
そんな方法で鼻水をかけるなんて知らなかったから。
当然、保母さんから猛烈に怒られていたけどね。



リアちゃんのお母さんは、いつもサングラスをしている人で、
最後まで日本語を覚えず、笑顔だけが親同士のコミュニケーション手段だった。

Yちゃんとのキスに飽きた?ボクは、このリアちゃんと毎日のように遊ぶようになる。
ウチに来る前に、毛虫やバッタを手土産に持って来てくれるリアちゃんと
遊ぶのは、本当に楽しかった。

「アタシ、大人になったら○○(ボクの名前)と結婚してやるよ」

そんな上目線の少女は荒っぽい性格だったけど、やっぱり女の子だったんだろう。
ウチに来るとボクとの遊びではなく、姉ちゃんのリカちゃん人形に夢中になっていた。




リアちゃんが幼稚園にいた期間は4ヶ月くらいで本国に帰って行ったけど、
幼稚園を去る前に、

「“バカ”って英語で何て言うの?」と聞くと、

「フ○ッキン」

と教えてくれたリアちゃん。
そうボクに教えて、ボクが質問した日本語を知らないお母さんからド突かれていました。

お別れ会では、お母さんがチョコレートクッキーを焼いて、クラスのみんなに配ってくれた。
リアちゃんは、そのクッキーを指差して「ウ○コだよ。ウ○コ、ウ○コ!」と
言ってはしゃいで、クラスの女の子たちから大ひんしゅくを買っていたなあ。




お別れの前日、ボクは一人でリアちゃんの家の前まで行った。
幼稚園のお別れ会ではなく、ひとりでお別れというか、見送りをしたくて。
Jちゃんとマー坊の引越しの時は、見送ることができなかったからね。

ところがリアちゃん一家の引越しは、前日ではなくその日だったようだ。
家の前には近所の人たちやYちゃんやYリンたちが、リアちゃんを囲んでいた。
ボクはその出来上がった輪の中に入れなかった。
ボクはダッシュで家に戻り、姉ちゃんのリカちゃん人形を一体握って、
再びリアちゃんちへ。

向かいからYちゃんたち女の子集団が、お別れが終わって歩いて来るのに
出くわさないよう物陰に隠れ、近所の人たちがいなくなるのをじっと待った。
ところが、リアちゃん一家はタクシーに乗り込もうとしている。
慌ててダッシュしてタクシーの前まで行ったはいいが、声がかけられない。
窓越しにリアちゃんのお母さんがサングラスを取って、なにやら英語で話しかけてきて、
笑顔で手を握ってきた。
はじめて素顔を見るリアちゃんのお母さんはかなりの美人だった。
そして奥に座っているリアちゃんを呼び、無言でリカちゃん人形を突き出した。

きっと「ちゃんと挨拶をしなさい」と言ったんだと思う。
リアちゃんの妹を抱えながら、助手席に座っているお父さんがリアちゃんに何か話しかけると、リアちゃんがボクをハグしてきた。

リアちゃんも、なんて言っていいのか分からなかったんだと思う。
数秒の沈黙の後に、耳元で聞いたお別れのセリフは、

「○○、ありがとう・・・ばい菌ウジャウジャ!ウ○コ、ゲロゲロ〜!」

そしてタクシーは発車。
リアちゃんはボクに目もくれず、リカちゃん人形に夢中になったまま、去って行った。




家に帰ると、もうリカちゃん人形が行方不明になっていることがもうバレていて、
被疑者としての尋問が待ち構えていた。
照れ臭くて「リアちゃんにあげた」と言えず押し黙っていたら、お袋から張り倒され、
親父からゲンコツを食らい、叔母さんたちからも罵倒され、この波状攻撃に耐え切れずに、
とうとう白状。
すると姉ちゃん以外、みんな押し黙ってしまった。
一人怒りが収まらないでヒステリー全開の姉ちゃんに、

「・・・また買ってやるから、もうガタガタ言うな!!」

と親父が一喝。
その後、風呂に入ってる時に親父が聞いてきた。

「なんで、お姉ちゃんのモノを勝手にあげるんだ。
お前の玩具をあげればいいじゃねーか」

「・・・」

「・・・ま、しょーがねーか・・・」

と言って、

「だけど人のモノを勝手にあげるのは、これで終わりにしろよ。ったく、バカヤローが」

と言って、笑いながらボクの頭を軽く小突いた。




親父方の従兄弟は全部で8人いる。
中でも最もよく遊んで、今でも唯一付き合いがあるのは、
従兄弟たちの中で、最も過酷な生活を強いられた年子の兄弟でした。

(続く)

年長組になると、物心ついた頃から一緒だったJちゃんとは、
幼稚園でも幼稚園が終わってからでも、一緒に遊ぶことが極端に減っていった。
ボクはIやモミたちと。
Jちゃんはニシちゃんたちと。
Jちゃんはニシちゃんのほかに、ブーちゃんというあだ名の洋裁屋の子供とも仲が良かった。

ボクもニシちゃんやブーちゃんと遊んだことはもちろんあったが、今思い出すと、
親が決めた遊び以外をしない子たちだった。
子供たちが遊ぶのを親が決め、子供たちはそれに忠実に従う。
公園で遊んでいても、滑り台から降りる順番を忠実に守る。
Jちゃんもそういうタイプだったのか、とにかくJちゃんはニシちゃんたちと気が合って、幼稚園から帰ってきた後は、彼らと遊ぶことが多かった。




かたやボクがいつも一緒に遊んでいたIやモミは、子供同士の遊びの中で、
親を意識することがない子供たちだった。
公園なんか行くと、Iは知らない子供たちとよく揉めて泣かせていた。
モミはどんな小さなスペースでも、みんなでする遊びをズバ抜けて知っていた。
ニシちゃん一派と違って、滑り台やトイレの順番を巡っていつも揉めていた。
Iもモミも、抜け道をよく知っていて、悪さをして小学生たちから追いかけられると、
民家の庭や塀をスルスルと縫うように走って逃げていった。




同じガキ大将なんだけど、Iやモミと違ってニシちゃんは、
運動がからっきしダメな子だった。
そしてガキ大将なんだけど、ものすごく繊細な子供だった。

幼稚園の運動会の徒競走で、ニシちゃんはブッチ切りのビリになったことがある。
ニシちゃんはスネてしまって、その後の競技は全てボイコット。
お母さんとのフォークダンスの時になって、ようやく機嫌を直して参加してきた。

ニシちゃんにいつもくっついていた金物屋のヤッシは、お母さんが病気のため、
一人だけお父さんとフォークダンスをすることになって泣き叫んでいたけど、
お父さんが無理矢理手を取ってダンスをして、みんなの笑いを買っていた。




Iやモミたちの家の近所で遊ぶ時、外で遊ぶことが多かったのは、
彼らの家はおやつを出せない家庭だったから。
Iに至っては高校を卒業するまで、おやつはおろか誕生日ケーキすら買ってもらえなかったらしい。
モミは、自分の家でおやつを出せないことがコンプレックスだったと、
大人になってから述懐していた。

ボクの家にIやモミが遊びに来るときは、Jちゃんはいないけど、弟のマー坊は一緒に混ざって遊んでいた。




そして年長組になってすぐの頃、Jちゃんとマー坊の兄弟が神奈川県へ引っ越して行くことになった。
幼稚園に入園してからも、年長組のボクのクラスに来ては、金魚のフンみたいにくっついてきていたマー坊とのコンビもこれで解消だ。

引越しの一週間前、Jちゃんの家に遊びに行った時、
お母さんが写真を撮ってくれた。
この頃にはマー坊は、既にボクとJちゃんの身長を抜いていた。




ボクにとって初めて、仲のいい友だちが目の前からいなくなった。
遠いところに行ってしまったんだから、そう簡単には会えないのは分かっている。

「でも遊びに行ったら、Jちゃんもマー坊がいつものようにいるかもしれない」

そう思ってJちゃんが住んでいたマンションへ行くと、
業者の人が内装工事を始めていた。
それ以来、家から2軒目のマンションに入ることはなかった。




それから3年後、ひょっこりJちゃん家族が、何かの用事でこっちに遊びに来たことがあった。
マー坊は小学1年生になっていて、さらに身長が高くなっていた。
だけどボクもJちゃん兄弟も照れてしまって、一言も話さなかった。




さらにそれから10年の歳月が流れ、高校生のボクがあいにく留守にしていた時に、
マー坊がお母さんと一緒にウチに来たことがあった。
マー坊の身長は185cmに達していたらしい。

マー坊はボクと一緒に遊んだことを、こと細かく覚えていたそうだ。
自分が転げ落ちた石の階段が、とてつもなく長い階段だと思っていたのに、
10数段の階段だったことにショックを受けていたらしい。
そしていつも遊んでいた駐車場が、広大な敷地面積だと思っていたのに、
意外に小さかったことにも驚いていたそうだ。




さらにそれから6年が経過したある日のこと。
突然、マー坊から電話が来た。

マー坊はボクんちで食べてから焼き鳥が大好きになって、
焼き鳥屋で修行を積んでいる最中で、いつか自分の店を開きたい、
そしてまたいつかボクに会いたいと言ってきた。

・・・それがマー坊と19年ぶりに交わした会話で、
きっと最後の会話になるんだろう。
会わなくてもこの頃の思い出が色褪せることは、これからもないだろうから。
マー坊は今頃、念願の焼き鳥屋を開いて、きっと大繁盛しているはずだ☆




次は、Jちゃん兄弟が引っ越してすぐに入園してきた、青い目の女の子との思い出を。(続く)


↓(Jちゃん兄弟の引越し一週間前。真ん中がマー坊)

イメージ 1

幼稚園の頃まで、隣のアパートに住んでいた「コマキさんちのお兄ちゃん」と
呼んでいたお兄ちゃんが大好きで、よく遊んでもらった。

コマキさんちのお兄ちゃんは、ボクが幼稚園の時にはすでに中学生で、
亀梨君みたいな顔をした美形のクールな少年だった。

口数の少ないお兄ちゃんは不良少年で、リーゼントに竜の刺繍の入ったスタジャンを着て、
中一なのにいつもセブンスターを吸っていた。
たまに怖そうな不良たちがお兄ちゃんちに遊びに来て、
駐車場でヤンキー座りをしながらタバコを吸っていた。

不良だったけど、きっと子供好きだったんだろう。
ボクも姉ちゃんも、コマキさんちのお兄ちゃんが大好きだった。




コマキさんちのお兄ちゃんは、男の子がエキサイトする遊びをしてくれた。
知らない場所に連れて行ってくれたり、抜け道と言って人んちの庭を通ったり。
ある日、ちょっと離れた屋外の駐車場に連れて行ってもらったんだけど、
ほとんど知らない道を通って歩いて行った。
コマキさんちのお兄ちゃんは、ボクをワクワクさせて退屈しないように
してくれていたんだと思う。

だけどこの時は駐車場の警備員に見つかり、なにやら揉め始めた。
上から物を言う警備員の態度が、反抗期の少年を刺激したんだろう。
不機嫌そうにタバコを吸おうとして激しく注意されたら、
お兄ちゃんは噛んでいたガムを警備員の顔に吐きつけてしまった。
そしてボクをおいて駐車場を一直線。
塀を飛び越えて、追いかける係員を振り切って逃げていった。

置いてけぼりを食らったボクが泣きながら歩いて帰ろうとしていたら、
お兄ちゃんが追いかけてきて、何度もボクに謝ってくれた。
泣き止まないボクに困ってしまったコマキさんちのお兄ちゃんは、

「アイスを食べさせてあげるから。すぐ戻ってくる。だから泣くなよ!」

と言って、また走ってどこかへ行ってしまった。
しばらくすると血相を変えて物凄い勢いで戻ってきて、
ボクを抱えたまましばらく走り続けた。
きっと盗んできたんだろう。
ボクがアイスキャンディーを食べていたら、嬉しそうに笑ってセブンスターを吸っていた。




そんなお兄ちゃんに憧れて、リーゼントにしたかったんだけど、
子供に整髪剤をつけてくれる親なんていない時代。
何とか少しでもお兄ちゃんに近づきたくて、お兄ちゃんの顔を思い出してみると、
目の下にボクロがあったことに気がついた。
どうしたら、自分にもホクロが出来るか?

「きっとお兄ちゃん、子供の頃は泣き虫だったのかもね〜」

と、叔母さんたちが言ったセリフを聞き逃さず、
それから毎日、些細なことで何度も泣くようにした。
それから数ヶ月後、見事に泣きボクロは完成。
しかし、今となっては苦い勲章として、ボクの目の下に残ってしまっている・・・。

この頃はホント、年中泣いていた。
最初は無理に泣いていたんだけど、それはやがて習慣となってしまったようだ。
このモヤシっ子ぶりに閉口した親父が、ボクシンググローブを買ってきたり、
プロレスごっこをしたりして、ボクを鍛えようとしていたんですが、。
おかげでプロレスにハマってしまうことになり、あとで親父は自らの過ちに
反省してたみたいです。





雪が少ない東京で雪が降ったら、子供たちはハイテンションになって外に出る。
ところが5歳の時に雪が降った日、ボクは熱を出して布団の中で愚図っていた。

何時くらいだったんだろう。
もう22時を回っていたと思う。
寝ているボクをお袋が起こして窓際まで抱いて連れて行ってくれた。

「コマキさんのお兄ちゃんが○○ちゃん(ボク)に雪だるまを作ってくれたんだって!」



見ると幼稚園の子供が作るには、絶対に不可能な巨大な雪だるまがそこにあった。

一生懸命作ってくれたんだろう。
一階にお袋がボクを抱きかかえたまま降りていくと、お兄ちゃんがお店の椅子に腰掛けて、
汗びっしょりになって、お茶を飲んでウチの家族に囲まれていた。
無口で照れ屋だったこのお兄ちゃんは、ボクと目があっても何もいえなかったが帰り際、


「今度は一緒に雪だるま作ろうな。早く元気になれよ」

と小声で頭を撫でて、ものすごい勢いで走り去って行った。




ボクが小学生になると、お兄ちゃんは高校生になったし、もう遊ばなくなったけど、
ボクを駐車場で見かけると「オス」と小さな声で必ず声をかけてきてくれた。

自分のお婆ちゃんが階段を下りる時は、いつも横にいた優しい不良少年は、
ボクが5年生になったくらいの時、家族で引っ越して行ってしまった。
お兄ちゃんは大学生になっていて、

「・・・じゃあな」

と、小声で声をかけてくれたけど、なんだか照れて「さようなら」がいえなかった。
ハンサムでクールで無口だったから、きっと女性にモテたんだろうな。




幼稚園では年長組になり、いつもの生活を送っていた春のことだ。
ボクんちからコマキさんちのお兄ちゃんのアパートを挟んだマンションに住んでいた、
Jちゃんとマー坊のイタズラ兄弟が、この街から引越して行くことになった。
そしてこの兄弟と入れ替わりで入園してきた子は、青い目の女の子でした。

(続く)

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