東日本大震災 未来への祈りと伝承〜「みちのく巡礼」

みちのく巡礼は、東日本大震災の祈りの場創設と記憶・教訓の伝承、防災精神の啓発、復興に寄与する活動を行っています。

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知り合いになったおじいさんとの縁がその後も続きます。

大雁塔からの眺め  〜玄奘三蔵と大雁塔2〜  
イメージ 1ここで、先ほどのおじいさん再登板。
ブログでは再登場だが、ずっと話ながらついて来た。
実はこのおじいさんは、若い頃、旧満州地区にいたので、日本語が話せたのだ。
案内してやると言う。
「忙しいでしょう? それに申し訳ないから…」
「いやいや、暇だから太極拳をやっていたんだよ」
ひとりのほうがよかったが、せっかく仲良くなったので、むげにも断れない。
同行することに…

入場券売り場へ行って料金を見る。
慈恩寺すべて見学55元、大雁塔のみ15元だ。
「案内してもらうお礼に、私に払わせてください」と申し出ると、
おじいさんは「悪いね。高いから…わしは大雁塔だけでいいよ」と言う。
私はすべて見たいので、55元なり。
イメージ 3
塔を指差しながら、おじいさんは説明を始めた――
慈恩寺は、唐の3代皇帝高宗が母の追善のために建立しました。
寺は消失し、現在は塔だけが残っています。
玄奘三蔵がインドから持ち帰ったサンスクリット語の経典を保存するために建立されたものです。
建立当初5層だった大雁塔は、8世紀、則天武后の頃には10層にまで積み上げられました。
その後8層以上の階が倒壊したため、現在は7層の構造となっています。
四角七層で高さ64mです。
この塔は、中国独特の「黄土煉瓦」を積み上げたものですが、その内部構造は柱が使われていません。
――どうやってこの高い棟を柱なしで支えているのですか?
それか謎に包まれるのです。
黄土を餅米で突き固め、外側をレンガの壁で覆った分厚い構造になっているのですが、
詳しいことはわかっていません。
その構造自体が非常に特殊な建築技術によるものだそうですので、このあたりもじっくり味わってください。

「おじいさんはなかなかの博学ですね」と言うと、
「実は、私はここのガイドをしていたことがあるんだよ」
「どうりで詳しいと思いましたよ」
「あんたが自転車で来たとき、色は白いし、腰のバッグを見てすぐに日本人だとわかったよ。西安にはあんたのような色の白い人はいないからね」
「15元のガイド料じゃ安かったですね」と冗談ぽく言うと、
「そんなことないよ。時々、奉仕でガイドをやっているんだよ」
「私はSといいます」と名乗ると、
「私は潘(パン)といいます」
と言って、ノートに書いてくれた。

聞いた話を、帰国後に一応本で調べてみたら全部正しかった。
もちろん本に書いていないことも教えてくれた。
イメージ 2 
まず、大慈恩寺入口の山門をくぐり、
大雄宝殿の脇を進んでいくと大雁塔の登り口があった。
イメージ 4切符を切ってもらって、中に入る。
最上階まで螺旋階段が続いていて、全部で248段ある。
かなりの急階段だ。
周囲の人たちは必死の表情で上っている。
階段は幅が狭く先がつかえてなかなか前に進めない。
幸い、私は四国歩き遍路で歩きなれているので、さほどの疲れはなかった。
潘さんもなかなか達者だ。

イメージ 5最上階に登り詰め、小さな窓から西安の町並みを眺めると、
何ともいえない達成感があった。
玄奘三蔵も、経典の翻訳の合間にこの塔からに賑わいを見せる国際都市長安の街を眺めたのであろう。
シルクロードも一望できる。
潘さんは、「ここからはローマが見えますよ」と言う。
どういう意味かはわからなかったが……、
たぶん、ここからローマに想いをはせると、想像のローマがありありと浮かんでくるのだろう。
そんな気がした。

潘さんの説明再開――
イメージ 6玄奘が漢訳した教典の数たるや、20年間で1200巻を超えたと言われています。
この玄奘のインドへの遙かなる旅をモデルにした小説が「西遊記」なのです。
ただし「西遊記」が書かれたのは後の時代、明代のことです。
大雁塔の南側入口に玄奘三蔵の偉業を讃えた唐の高宗碑文があります。
ここは牡丹の名所としても有名です。
「科挙」(昔の役人である官史の採用試験)に合格すると「進士題名」といって、
塔に登り漢詩を刻む栄誉が与えられます。
入口や壁に往事を偲ぶ新進気鋭の進士詩文も刻まれています。

塔を下りて潘さんと別れた。
ところが潘さんとは、思わぬことで縁がつながるのである。
イメージ 7
ひとりで大雄宝堂と2003年新たにオープンした玄奘三蔵院を見学した。
玄奘三蔵院には、ほぼ等身大の玄奘の旅姿のレリーフがあった。
自分も、しばらくは玄奘三蔵の歩んだ道を辿るのか…。
そう思いながら感慨深くしげしげと眺めるのだった。

「1西安とその周辺(遙かなり長安)」書庫の記事一覧

閉じる コメント(6)

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moriizumi araoさん、私も2年前に西安を訪れ、大雁塔へ行ったと思いますが、ほとんど覚えていません。
「塔からローマが見える」とは歴史の重さを感じ、とてもおもしろいですね。そのガイドさんすばらしい。

2009/2/18(水) 午後 5:48 [ Leally Lilly ]

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「ここからはローマが見えますよ」←これは素敵な言い回しですね。 「すべての道はローマに通ず」は、西洋的な言い回しですが、「ローマが見える」だと、「見える見えないは、あんたの自由」に聞こえて、ぴょんぴょんジャンプしてでも、ローマが見たくなります(笑)

2009/2/19(木) 午前 7:25 [ 天心 ]

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いろいろな出会いと体験なさっていて、とてもうらやましい!
すてきです。私はできませんが気分を味わっています。毎日の更新楽しみにしてます。
れにしても「ここからローマがみえますよ」はロマンチックですね。

2009/2/19(木) 午前 11:27 [ melf ]

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支心 さん 私のシルクロードの旅のゴール・イスタンブールから帰国する時、そのままブルガリアからギリシャなどを通ってローマへ向かおうかな、とも思ったんですが、マルコ・ポーロは往復とも地中海方面は海路だったのやめて、飛行機で帰りました。

2009/2/19(木) 午後 1:50 [ moriizumi arao ]

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melfさん 期待に沿えるといいですね。

2009/2/19(木) 午後 1:53 [ moriizumi arao ]

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Leally Lillyさん 「もは目で見るものではない。精神で見るものだ」という言葉が印象にあります。大雁塔に上って、シルクロード方面を眺めた時に、この言葉が思い浮かびました。

2009/2/19(木) 午後 1:57 [ moriizumi arao ]


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