東日本大震災 未来への祈りと伝承〜「みちのく巡礼」

みちのく巡礼は、東日本大震災の祈りの場創設と記憶・教訓の伝承、防災精神の啓発、復興に寄与する活動を行っています。

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 牧童が馬を鞭で追う。走る馬のアップをやっとの思いで捉えることができた。顔、たてがみ、脚、ひずめ――私は、天馬の血を引く山丹馬にあの「飛燕をしのぐ馬」の躍動感を完全に重ね合わせていた。感動がビリビリと心にも体にも伝わってきた。

2009年7月20日(月)
[コメント]  このシルクロードブログは旅の流れ沿ってリアルタイム的に紹介してしております。ひとつの記事はそれぞれ独立していますが、初めて訪問される方は、「すべて表示」や各書庫で初めの方の記事からご覧いただければ、より楽んでいただけると思います。 書庫の番号はほぼ旅の日程順に並んでいます。
'''また、「シルクロードを詩う」をご覧いただくと、これからの旅(中国篇)の雰囲気をご覧いただけると思います。(題目をクリック

山丹軍馬場

 さわやかな風を浴びながら、祁連山脈のふもとへ向かって大草原の中を走り続ける。太陽が斜め前方から強い光を浴びせかける。この辺はもう標高2千メートル以上なので、紫外線も強い。
 対向車はほとんどなかったが、時折、解放軍の兵士を荷台いっぱいに乗せたトラックに出会った。私の目的地、山丹軍馬牧場は人民解放軍が管理する牧場なのである。

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 次第に雪冠の祁連草原が眼前に迫り、胸が高鳴る。
 
 軍馬場近くまで来ると、遠方に集落が見え出した。Tさんは「あれが私の村です」と指指した。今日の宿泊地である。
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 河西回廊を外れて約2時間で山丹軍馬場へ到着した。ここは一応軍事施設なので、建物や施設の写真撮影はご遠慮くださいと、事前に注意を受けた。馬や訓練風景の撮影はかまいませんかと聞くと、いいですよとの返事。一般観光客の場合には、牧場内への立ち入りはいっさい禁止になっているが、Tさんの兄の紹介状一枚でまったく待遇が違う。

 お腹が空いているのではありませんか、とTさんが聞いた。そういえば、山丹長城でスイカを食べただけで、景色に夢中になって何も口にしていなかった。昼の残りですがと言って、牧童ががふかしたジャガイモとトウモロコシを出してくれた。それに岩塩をふりかけて食べた。腹が減っていたことより、こうした素朴な心遣いが、3倍にも美味しく感じさせてくれるのであるた。デザートにはスイカが出た。

 案内人が一人付いて、Tさんと3人で馬に乗って牧場内を回った。
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 はてしなく続く大草原。三方は空の青と草の緑の2色の世界だ。。南には祁連山脈の白い峰々がくっきりと見える。ここは海抜二千メートルを越える。薄紫の蓮華の絨毯が一面に敷き詰められている。
ここに2万頭の軍馬が養育されている。
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 紀元前漢帝国の若き武将、霍去病はすでにこの地に陣を構え、軍馬の牧場を設けた。
5世紀の魏の時代の史書には、
 「河西水草美しく、放牧の基地となす。畜産滋息し、馬二百余万匹にいたる」
 と記されている。
 そして6世紀、この牧場の馬の数は10万頭にも及んだといわれている。当時、軍馬は今でいうならば、戦車1台にも匹敵する位置にあり、時の権力者は、漢の武帝以後も馬の繁殖だけでなく、馬種の改良にも力を入れたのである。そして「胡種を雑ふれば馬益々壮んなり」(『新唐書』兵士)の伝統は、今でも続いている。

 現在は、まず、体は小さいが登坂力、耐久力のある蒙古馬と、馬体の大きいハザクの馬とがかけ合わされる。その間に出来た馬に再び蒙古馬がかけ合わされて、現代の天馬ともいうべき山丹馬が生み出されている。もちろん人工授精である。
 しかし、ミサイルの時代に軍馬は必要なのだろうか。ゲリラ戦や山岳戦用なのだろうか。私のこの疑問に、牧場の幹部は笑って答えた。
「軍馬として養成しますが、平和が続く現在、その多くは各部隊が駐屯する農村に送り込まれ、優秀な農耕馬として働きます」
 戦争という二文字は彼の口からは出なかった。

 
 
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 集団訓練の時には、常に、馬群の中から1頭の馬が引き出された。

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 調教師がこの馬に乗って先頭に立ち、他の馬はこれに付きしたがって集団で走る。実にみごとというほかはない。北海道の牧場でもこうした訓練を観たことはあるが、こちらは馬の数が桁違いに多い。多いときには数百頭が同時に走っている。

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 夕日に向かって走る馬、その燃えるようなたてがみ、丘を駆け下って来る馬軍、そのしなやかな脚。私は遠い昔の天馬をレンズで追い続けた。
間近に迫って迫ってくるに連れて、着実に切迫感が増してくる。まるで、自分ひとりで敵の騎馬軍団に対峙するかのような恐怖心をおぼえる。

 
 訓練エリアを出ると、先ほどの迫力に満ちた世界がまるでうそのようなゆったりとした空間が広がっている。馬たちが三々五々草を食んでいる。彼らにとっては、食事中はのんびりとした憩いの時なのに違いない。
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 この牧場では馬に混じって牛も放牧されている。食糧にでもするのだろうか。それとも、農耕用なのだろうか?
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 軍馬として調教された駿馬たちも、この牧場を出ると、もうここにいるときのように原野を駆けることはないだろう。
 2千年の血統をになう駿馬にとっては、ここにいて訓練を受けているときこそが、晴れ舞台なのかもしれない。そんな思いのする山丹軍馬場であった。
 

「4河西回廊(蘭州〜武威〜酒泉~)」書庫の記事一覧

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天馬・・・・・・。

ところで、環境問題として、牧草地が砂漠化していることが、問題となっておりますが、その事はどうなんでしょうか???

2009/7/20(月) 午後 5:00 [ がらくた・おやじ ]

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雄大な草原で訓練を受けた、駿馬たちのその後が農耕馬というのは喜んでいいやらちょっと複雑ですね。

2009/7/20(月) 午後 6:55 [ s.fujie ]

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我楽苦多・おやじさん
中国のシルクロード地域ではかなりのところで、遊牧禁止になっていました。政府では、その保証金を出していますが、それだけではやっていけないので、若い人たちは西安、蘭州、武威、酒泉などに出稼ぎに出ているようです。さらには、沿岸の広州、上海などを煮出ているという話を実際に聞きました。
さて、この記事の山丹軍馬場についてですが、幹部の話では、日本では考えられないほどの広大な土地なので、2万頭の馬が食べきれないほどの草が生えるので、ここに関しては砂漠化の心配はないとのことでした。それでも牧草地を区切ってローテーションしながら草を食べさせているとのことでした。
しかし別な情報では、、山丹軍馬場の生態系の保護の問題の検討が急務だ、という声もあるそうです。

2009/7/20(月) 午後 11:06 [ moriizumi arao ]

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馬にも乗れるんですか?凄いですね。楽しみが増えていいですね。
素晴らしい景色に感激です。僕もファン登録をさせて下さいね。
ポチ!

2009/7/21(火) 午前 6:06 [ dongabacho47 ]

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がばちょさん ファン登録ありがとうございます。
10数年前に趣味と将来のシルクロード旅行に備えて
半年ほど乗馬倶楽部に通ったことがあったんです。忙しいし高いのでやめていたのですが、1回目のシルクロード旅行のときに中央アジアで乗って勘を少し取り戻しました。疾走はやはり怖いです。

2009/7/21(火) 午前 6:27 [ moriizumi arao ]

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こんにちは。いま書いているブログで天馬を登場させ、参考にと「天馬の故郷」で探していたら、久しぶりに、お邪魔いたしました。以前、乗馬をされるとの事で、感心したことを思い出しました。

2018/6/13(水) 午後 5:03 [ kouwann ]


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