東日本大震災 未来への祈りと伝承〜「みちのく巡礼」

みちのく巡礼は、東日本大震災の祈りの場創設と記憶・教訓の伝承、防災精神の啓発、復興に寄与する活動を行っています。

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     写真1    「遍路ころがし」という厳しい山道には、教えや励ましの札がぶら下がっています。
             これを見ると勇気がわいて、またがんばるぞ〜という気になってってしまいます。

最大の難関焼山寺越え −案ずるより生むが易し

イメージ 3「遍路ころがし」というのは、急で険しい坂道のあるへんろ道を言う。
 その上り口に差し掛かると、いつも期待感とちょっぴりの不安感がある。
 
 最初に出くわす「遍路ころがし」が焼山寺越えだ。
 これが最大の難関といわれている。
 上りと下りを5度繰り返す、全長が約十二キロの道である。
 健脚でも5時間程度はかかり、普通の人は6〜8時間かかるといわれている。
 この道は、最後に残った「空海の道」といわれている。

 三回目の焼山寺越えの様子を書いてみます。

 三日目の朝、いよいよ最難関への挑戦だ。
 不安よりも〈自分ならば必ず乗り切れる〉という自身と意欲のほうが先に立っていた。
 幸いに昨夜激しく降っていた雨もすっかり上がった。
 6時30分宿を出発して、十一番藤井寺から標高九百三十八メートルの山腹に建つ焼山寺へ向かう。
 
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       藤井寺から焼山寺へ向かう道の入り口付近には八十八ヶ所のご本尊の像がたっている。
       これをすべて礼拝すると八十八ヶ所を巡ったと同じご利益があるといわれている。

 上り口に差し掛かると、ところどころに「空海の道」や「空海ウォーク」と書いた三角の布が木の枝に掛けられている。
 
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            弘法大師を意識させてくれる道でもある「空海ウォーク」の三角の布

 今までの道が足慣らしだとすれば、いよいよ修業の道だ。
 山道は、高い杉の木立に覆われ、いかにも修業の地という雰囲気をかもし出してくれる。
 
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 厳しくて音を上げたくなる所にさしかかると、「がんばって、さあ前進」、「一歩一歩を大切に」などという、励ましの言葉が書かれた札や布が掛けてある。
 「南無大師遍照金剛」、「お大師様の通られた道」「遍路して彼岸を目指す有難き」などの宗教的な言葉や訓えも多い。(写真1)
 立ち止まって、これをすべてノートにメモした。
 ペースに乗ってきたところで立ち止まるので、よけいにつらい。
 だが、これらのことばに励まされ、導かれるようにして、あえぎながら歩いていく。

 焼山寺の遍路ころがしも半分以上過ぎたところに、急な石の階段が突然現れた。
 そこを上りきったところにみごとな杉の巨木があり、その前に大きな大師像がでんと立っている。
 
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 そこは、「一本杉庵」と呼ばれている。
 大師像は、下から見ると我々の前に立ちはだかって、怖い顔で 私を見据えているように感じた。
 まるで、心の中まで見透かされているようだった。
 そういえば、少し気力が薄れて中だるみ気味だった。
 ところが、近づいていてみると、「お前が来るのを待っていたぞ」と話しかけてくれそうな、
 静かな雰囲気に変わった。
 そしてゆるぎない信頼感を与えてくれた。
 思わず、「これからの道中をお守りください」と、つぶやきながら合掌した。
 
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           巨杉の前に立ち遍路を大きな心で迎えてくれる大師像

 最もつらいところに差し掛かった時、ふと、
 箱根駅伝の5区山登りの伝説の区間記録を持つ、立教大学OBの浜崎真造さんの言葉を思い出した。
 彼は、途中ブレーキを起こしたが、そのときはペースを落として回復を待った。
 そして、区間記録を2分30秒も塗り替えた。
 彼はその時の心境を、――
  苦しいときは神に祈るような気持ちでしたね。
  そのときもがかなかったのがよかったんでしょうね。
  走っている時は、こんなところを二度と走りたくないと思ったが、
  終わってみれば、よくこういういいコースを走らせていただいたと、
  感謝以外のなにものでもないその点は感慨深いですね――と、後にテレビで話していた。
  これをよく覚えていた

 〈この気持ちを味わいたかったら、がんばれ!〉と自分を鼓舞した。
 ――私はこれまでの人生で、何かつらいことがあるたび、
 高校時代の陸上競技での苦しい練習を思い起こして、心の支えにしてきた。
 
 この焼山寺越えは、苦しくなったり、楽になったりを何度も繰り返す。
 〈やっぱり遍路は、人生と同じだなあ!〉なんて感じながら歩き続ける。
 一方では、〈たかが三日目なのに、いかにも悟ったようなことを、考えたりもするものだ〉と、
 覚めた目で見ているもう一人の自分もいる。
 
 歩きながらいろいろと自分に励ましの言葉をかけた。
 それを五七五調でつぶやくと、気がまぎれて、歩みが少し快調になった。
 「出る荒い息 出ぬ元気」
 「荒息と汗が吹き出る焼山寺」
 「もう少しと、自分に言い聞かせてがんばった」
 「急な坂、もう少ないぞ、がんばろう」
 「同行二人 上りきったら下り待つ」
 「なんだ坂こんな坂 みんな通ったへんろ道」
 「同行二人 お大師様も上ったこの急な坂」
 などなど…。

 そうこうするうちにいつしか焼山寺にたどり着いた。
 
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 境内からの眺めは雄大で、疲れをいっぺんに忘れさせてくれる。
 
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 ここまで到着した自分が少したくましくなったと感じた。
 そして、〈これからの長い旅も必ず乗り切っていける〉という強い確信を持った。

 遍路ころがしは、遍路の覚悟を試される道なのだ――。

 

「四国遍路の魅力にふれて」記事一覧

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1.心癒される出会いとふれあいの旅        2.お遍路さんとの始めての出会い     3.お遍路との共通点を感じた山伏修行     4.私の発願1   5.私の発願2     6.人生リセットの遍路旅へ     7.新人生への旅立ち     8.富士山からのお接待     9.大阪で道案内のお接待         10.四国入り早々「お四国病」に出会あう     11.人生リセットの遍路旅へ      12.一番霊山寺その1 始めは驚き…そしてとまどい     13.一番霊山寺その2 納経所 納経帳に両手で墨書と語朱印     14.ドイツ館と撮影モデル   15.般若心経のふとん     16.子供たちから元気をもらう     17.黄金の井戸に映った顔  〜三番金泉寺〜     18.「私のライフスタイル」と黄金の井戸 〜三番金泉寺〜     19.ひきこもりを直すために遍路にきました〜人生を変えた遍路     20.三番の奥の院愛染院を経て四番大日寺へ〜こころ和んだ遍路道〜     21.やさしさに甘えた特権意識  五番地蔵へ向かう道すがら     22.四国遍路 〜思いと感動の発露(その1)  遍路の世界・自分の世界     23.私の四国遍路 思いと感動の発露(そ2)     24.すがすがしい夜の目覚め  解き放たれた世界1      25.私の四国遍路 〜想い、感動、そして魅力 センテンス集〜


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三回目の遍路 またまた 楽しみに 訪問させて頂きます

2011/5/2(月) 午後 8:34 [ オエニム旭 ]

藤井寺へお参りしたとき、焼山寺へのへんろ道を垣間見ました。
そのあとバスで向った焼山寺は老杉が茂りまさに深山幽谷の世界でした。
下を見下ろしこの難儀な道を歩き遍路さんは
どんなにか苦労して登ってこられるのだなと思いを馳せたものでした。
足、大丈夫でしたか。本当に本当にお疲れ様でした。ポチ☆

2011/5/2(月) 午後 9:06 まりん

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。。山越えは 人生に 似ていますね。

達成した時の 心地よさは なんとも言い表せません。

そう。。自信につながり。

やがて 感謝に。。

私も 7月に 3度目の 七面山へ 参拝登山して参篭して

参ります。

お山は そのときの心を 映しますね。

毎回 新鮮な 感覚を 教えてくれます。 ポチ

2011/5/2(月) 午後 10:02 真砂女

今まさに歩き遍路の繋ぎ中で38番金剛福寺さんにお参りして、明日は打ち戻り、明後日は39番さんへ、
修業の道を歩いて行きます
海を眺め山を越え様々な思いを胸に一歩また一歩です

2011/5/2(月) 午後 10:19 mannmaruogojyo

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fuk**su_6*さん

訪問とコメントありがとうございます。

お待ちしていますね。

2011/5/2(月) 午後 11:04 [ moriizumi arao ]

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やはり一歩一歩歩いてのお参りが大切なんですね。
苦しさを味わってこそのお遍路参りですね。
私のように車だと、自分を試す事もできません。
moriizumiさんのように素敵な句も浮かびませんよ(笑)

2011/5/3(火) 午前 7:04 moriの熊さん

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おはようございます。
お遍路の道といっても、標高1000mそして細く険しい登山道のような道もあるのですね。
階段の上で迎えてくれる、大師がありがたくみえます。
ポチ☆

2011/5/3(火) 午前 7:10 [ バタフライ ]

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真砂女さん

歩きながらお参りしながら、つくづくと「遍路は人生のミニ版」だと感じます。

ポチありがとうございます。

2011/5/3(火) 午前 10:50 [ moriizumi arao ]

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まりんさん

ありがとうございました。
確かに難儀なのですが、何度かやっているうちに、登山と同じように難儀をたにしむ心も出てきたように思います。
ポチありがとうございます。

2011/5/3(火) 午前 11:03 [ moriizumi arao ]

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おタケさん

こんな話を聞くと、すぐにでも行きたくなりますね〜

「お気をつけて!」がんばってくださいね。

ではまた…

2011/5/3(火) 午前 11:53 [ moriizumi arao ]

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moriの爺さん

お褒めの言葉ありがとうございました。

確かにあるいているといいことはいっぱいありますね。

だけど人それぞれのお遍路ですからね〜

2011/5/3(火) 午前 11:57 [ moriizumi arao ]

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バタフライさん

たしかに、山登りと遍路には共通した麺がおおいですね〜

それを次にアップします。

ポチありがとうございます。

2011/5/3(火) 午後 0:00 [ moriizumi arao ]


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