津波からの命がけの逃避行桟橋付近の海面を見ると、水がぐんぐん引いてゆき、数分のうちに海底の砂が見えてきた。誰からともなく、「津波が来る。とにかく逃げなくちゃ」という声があがった。 黄金山神社へ上るのが一番よいが、そこまでの道は未だに崖崩れが続いていた。 避難場所として、待合室の屋根か、すぐそばにあるお土産屋の2階が候補に挙がった。 ところがその直後防災無線のスピーカーから 「6メートル以上の津波が来ます。全員高台に非難してください!」という放送が鳴り響いた。 これとほぼ同じ時間に、南三陸町の亡くなった遠藤未希さんも同じ台詞を絶叫していたにちがいない。 全員が、――こりゃー 大きいぞ。大変なことになったぞ、と驚いた。 これで我々の行動意思は決定した。 リーダーの「黄金山神社に逃げるぞ」の指示で、11名は上り口を目指して走り出した。 時計を見ると、14時58分だった。 上り口に立つ鳥居付近は、すでに大岩や木で埋まっており、道はところどころ半分ほど海側に崩れ落ちていた。 そんな中をときどき落ちてくる岩や木を避けながらひたすら上った。 13分ほど上ったところで、船が再び桟橋方向へ向かって戻りはじめ、 スピーカーで「乗る人は急いでくださーい!」と叫んでいる。 我々もいったん坂を下り始めたが、せっかく高台に向かっているのだから、 このまま上り続けようということになった。 それを見た船は再び沖へ方向を変えて猛スピードで逃げ去った。 後から聞くと、その船には、地震前から桟橋に出ていた二人の仲間が乗っていた。 完全に退路が立たれた状態でひたすら上る。 右手の崖に注意を払い、左手の崩れた道から海へ落ちないようにしながら、 倒れた木や岩の上を乗り越えなければならない。 途中で小さな余震が何度も起こり、そのたびごとに岩や石が落ちてくる。 再び大きな地震が起これば、まちがいなく岩の下敷きになるか海へ転落するだろう――。 そう思うと、生きた心地がしない。 神に祈る気持で上り続けた。まさに命からがらの逃避行だ。 ただ、この状況を記録に残しておかなければならない、 これが現場 に遭遇した者の使命だ――という意識が働き、危険を冒しながらときどきシャッターを押した。 撮影のお陰で命を救われた瞬間があった。 立ち止まって後方を撮影して、再び進行方向に向きを戻した瞬間、 ドーンドン、ドドドドーッという音を立てながら大きな岩が、 前方数メートルにわたって7つ落下してきた。 私の2メートル前方に落ちた岩は2メートル近くある大物だった。 ぎくりとして思わず後ずさりした。 体は硬直し、目が見開いた状態になった。 撮影せずに歩いていたら確実に直撃されていたにちがいない。 そこを過ぎると崖崩れが少ない道になった。 それから数分後に広い高台にたどり着いた。 この瞬間、“助かった”と、体から力が抜けた。 まさに「命からがらの逃避行」とは、このことだ。15時15分だった。 ほっとして海を見ると、先ほど桟橋付近にはまったく姿を見せなかったうみねこたちが、 何か落ち着かないように上空でざわめいていた。 やはり本能的に津波の襲来を感じているのであろう。 次回は、「大津波の激突」をアップします。 「東日本大震災に遭遇して」 記事一覧記事は題目をクリックしてご覧ください。1.金華山で命がけの避難 2.金華山 地震と津波の爪跡 3.予期せぬ救出 4.鯨の町鮎川・凄惨な津波の傷跡 5.避難所生活1 震災翌日 孤立無援の鮎川 6.避難所生活2 鮎川では早くも復興への動き 7.鮎川での避難所生活3 再び津波警報発令 8.さようなら鮎川 お世話さまでした。 がんばってください! 9.凄惨な被災地を通り 徒歩で石巻から東松島へ向かう 〜自然の前に謙虚であれ 10.仙台への帰還への道1 〜仙石線の被害を目の当たりにしながら野蒜・東名へ向かって歩く 11.仙台への帰還の道2 〜野蒜・東名地区の津波被害と消防隊員の強い使命感 12.元気をくれる言葉たち 13.被災地三陸漁師〜「自粛をしないで欲しいです」 14.我が家の地震被害 15.震災ごみ仮置き場が満杯 「ルール守って」 16.津波に水没して生還した1本の奇跡の桜〜ついに満開に〜「岩手・田野畑村被災地からの報告」 17.命尽きるまで避難を呼びかけた南三陸町女性職員・遠藤未来さんの死を悼んで 18.2ヶ月の3月11日に振り返る。14時46分に犠牲者、行方不明者に黙祷。 19.東日本大震災チャリティーイベント 「井上ひさしさんに捧ぐ&学ぶ街づくり」 ご案内 20.金華山の復興に向けた検討に入る 21.漁師復帰に向けて・・。 新しい光が照らされたような事がありました。 22.【3.11大震災 証言・焦点】:証言/気仙沼・大島の津波/伝説の「島三分断」寸前 23鹿やうみねこはは地震を予知する? 〜金華山と鮎川での体験を通して 24.大地震 恐怖の戦慄 〜震源地に最も近い金華山での被災体験iを語る1 |
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迫真の体験記録に脱帽!ポチ☆です。
何はともあれご無事で何よりでした。
2011/6/6(月) 午前 4:40
おはようございます。この素晴らしい記事に応援の☆ポチですよ!
2011/6/6(月) 午前 9:03 [ 清水太郎の部屋 ]
大変な体験をなさいましたね!
貴重な記事と写真を拝見いたしました(^^♪
2011/6/6(月) 午前 9:59 [ #&%$ ]
♪おはようございます。
撮影せずに歩いていたら確実に直撃されていた・・・。
まさに危機一髪。
金華山神社の ご利益 ポチ!
なにが起こるかわかりませんね。
人生 生きるを放つ 祇園放生会を トラバさせてもらいます。
2011/6/6(月) 午前 10:52 [ EGACITE ]
何度読ませて頂いても、九死に一生を得られた体験談ですね。
大切な命、これからも大事になさってください。
2011/6/6(月) 午前 11:17
arasusさん
生き残ってみれば貴重な体験でした。
2011/6/6(月) 午後 10:13 [ moriizumi arao ]
三原色さん
人間究極になると落ち着けるということがまたわかりました。
ポチありがとうございます。
2011/6/6(月) 午後 10:17 [ moriizumi arao ]
gloriosa036さん
あまりに生々しくてちょっと抵抗がありました……
というより懐かしく思い起こしことが出来るようになったということかもしれませんね。
2011/6/6(月) 午後 10:25 [ moriizumi arao ]
こんばんは。
改めて、地震津波の恐ろしさを感じさせてもらいました。
araoさんも九死に一生を得たような気持ちに、なられたことでしょう。
ポチ☆
2011/6/7(火) 午後 10:09 [ バタフライ ]
お父さん
大震災だけまとめて、一冊にしてみましょうかね。
アドバイスありがとうございます。
ポチありがとうございます。
2011/6/7(火) 午後 10:36 [ moriizumi arao ]
バタフライさん
いまだにいただいた命だと思っています。
この命を大切に……ちょっと格好良すぎるかもしれませんが…
2011/6/7(火) 午後 10:39 [ moriizumi arao ]
金華山に訪れられていた時がちょうど地震の時だったなんて・・、
本当に凄い体験をされましたね。
ご無事であったことがなによりです。
画像で語ることがmoriizumiさんに与えられた使命なのかな・・・、
なんて思ってしまいました。ポチッ!
2011/6/7(火) 午後 11:35
迷えるオッサンさん
シルクロードでの体験が、ピンチの時のとっさの判断の役に立っているのかもしれませんね〜。
ポチありがとうございます。
2011/6/8(水) 午後 0:39 [ moriizumi arao ]
怖いですね〜(ーー;) 運が良かったというより、何かに守られた感じがしますね。
生きててよかった。。。
2012/1/17(火) 午後 7:55 [ があぁおパパ ]
ちぃやば
2012/10/3(水) 午後 3:14 [ じょ ]
あなたのおかげでいろいろしれたよ
2012/10/3(水) 午後 3:17 [ クミコ ]
ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
2012/10/3(水) 午後 3:19 [ じょ ]
じょさん
ちぃやばさん ありがとう! \(^o^)/ 元気で帰ったよ〜
ありがとうね〜
2012/10/3(水) 午後 7:41 [ moriizumi arao ]
クミコさん
今思えば人様にはできない体験したよ〜
神様に感謝かな?
2012/10/3(水) 午後 7:43 [ moriizumi arao ]
じょさん
思わずぎゃあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ですか? (´∀`)
そこで義経少しも騒がずでしたよ(^−^)
2012/10/3(水) 午後 7:50 [ moriizumi arao ]