東日本大震災 未来への祈りと伝承〜「みちのく巡礼」

みちのく巡礼は、東日本大震災の祈りの場創設と記憶・教訓の伝承、防災精神の啓発、復興に寄与する活動を行っています。

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一本杉の弘法大師像
 柳水庵から上りが続きます。
 雪は途中でほとんどやみましたが、吐く息が白く見えます。
 最後はこれでもかというようなジグザグのきつい坂を上って、遍路ころがしの最高点一本杉にたどり着きました。
 
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 石段の上で弘法大師像が待っています。
 「あの弘法大師の像を見て、どんな感じがする?」と孫に聞いてみましたが、
 「う〜ん、何も感じないよ」と、そっけない返事です。
 「実は、おじいちゃんが この前の遍路に来たときには、上から睨みつけられているような気がして、ハッとしたんだよ。その時には、疲れて、気持ちが中だるみしていたんだ。緩んだ気持ちを弘法大師が見抜いているんだな、と思ったよ。今日は、そんな感じがしないよ」
 
 石段を上って、弘法大師像に二人で手を合わせてから、ゆっくりと眺めました。
 
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 「どうだ? 何か感じたか?」
 「わかんない」
 「もしかしてどう表現したらいいかわからないのかもしれないな〜。まあ、まだ子供だからいいよ…」
 「優しそうに見えないか?」
 「そう言われればそうだね」
 「よく頑張ってここまで来たなと、歓迎してくれているように、思うんだ。そして、ほっと安心するんだよ」
 「二人で旅の無事を祈ろうよ。ところで弘法大師を拝むときにはなんと唱えるんだっけな?」
 「南無大師遍照金剛でしょう」 
 
 孫の興味は、大師像よりも一本杉の方にが向いているようです。
 「これって一本なのかな〜」と、不思議がっていました。
 
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 雪の急坂を下り、けわしい坂を上って12番焼山寺へ
 雪で滑る急坂を注意しながら下りているうちに膝が痛みだしました。
 「ゆっくり下りるから先に行って…」と言うと、
 孫はどんどん下って行きます。
 残念ながら山道は孫に負けそうです。
 孫において行かれるのは、少し悔しくもあり、うれしくもありで、複雑な気持ちです。
 標高差350m下って左右内(そうち)集落に到着です。
 
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 孫は、ちょっと心配そうに待っていました。
 「こんなに下って、なんだかすごく損したみたいだね」と言うので、
 「お遍路は人生と同じだって言われているんだよ。生きていると、良いときも悪い時もあるし、損をすることだってもちろんあるさ。それが逆に後から役に立つことも結構あるんだよ。苦しいことがあるから、楽しいことが余計に楽しく感じるんだよ」
「こうやって苦しんでおくと、何か苦しいときにぶつかっても、なんだ、こんなことって思えるんだよ」と、話しました。
 目下苦しみに直面している孫としては、それに手放しで賛同できないようでした。
 複雑な表情で、聞いていました。 それは、もちろんですよね〜。
 じいちゃんは、〈後でわかればいいさ〉と、心の中で思っていました。
 
 孫は、上手に話題を切り替えました。
 「おじいちゃん、さっき膝が何になるって言ったの?」と、訊きました。
 「関節炎だよ」と言うと、「それになるとどうなるの?」と、聞くので少し説明してやりました。
 
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 左右内谷川にかかる橋を渡ると、再び急坂が始まりました。
 道端に「へんろころがし6/6」と書かれた札が立っています。
 「6つの坂のうちの6番目ということだよ。これが最後の坂だ。頑張ろう!」
と声をかけると、
 「おじいちゃん膝大丈夫?」と言います。
 結構やさしい所があります。
 「下りは痛いけど、上りは大丈夫さ」と言うと、安心したようでした。
 
 
 おめでとう! 焼山寺到着
 これが最後の上りだとわかると、孫の足取りは早くなりました。
 足の方も少しずつ慣れてきたなと感じます。
 1時間足らずで参道へ出ました。
 
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 11番藤井寺へ出発して、休憩も入れて6時間ほどで到着したことになります。
 ほぼ標準的な時間です。子供の足としたら、上出来でしょう。
 
 孫の顔は、途端に赤みが差しました。
 すごくうれしかったのでしょう。
 私は20歳の時、この場へ辿り着いたときには、言いようのない感動を覚えたものでした。
 孫の場合、無理に連れてこられた格好なので、よりいっそう思いが深いに違いありません。
  
 すぐほめてあげよう。二人で、喜びをかみしめながら参道を歩もう――。
 そう思った矢先、前方からやってくるバス遍路のおじいちゃんやおばあちゃんから、一斉に声をかけられました。
 
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  じいちゃんとしてはここでクライマックスシーンを味わいたかったのです。すぐに褒めてあげられなかったのは残念でした。
 しかし、孫にとっては、みんなから声をかけられて褒めてもらう方が、むしろ至福の時だったに違いありません。
 
 長い参道を歩いてゆくと、山門の前には長い石段が待っています。
 最後のしめくくりです。
 安心して気が抜けたところでの急階段は、どのお遍路さんにとっても厳しい試練です。
  これがあってこそ、お参りのありがたさがいっそう増すのでしょう。
 
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 遍路後、孫にいろいろ聞いた時、
 「一番うれしかったこと」、「焼山寺に到着した時」 
 「一番つらかったこと」「焼山寺の遍路ころがし」だ、と答えました。
 
 いずれにしろ、焼山寺の山越えは、孫にとっては強い印象を持ったことは確かです。
 
 このことが、大きな財産として将来に好結果をもたらすことを強く願っています。 
 
 
 孫と爺ちゃんの四国歩き遍路前回までの記事記事はクリックしてご覧ください
 
みなさん!
いつも孫へのたくさんの応援や励ましのコメントありがとうございます
 
 
 

閉じる コメント(26)

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嵐子さん

うれしいコメントありがとうございました。

私も孫にとって財産になると信じています。

2012/4/30(月) 午後 9:02 [ moriizumi arao ]

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清水太郎の部屋さん

わがままで甘えっこですが、野菜い心も持っているようです。

応援の(〃^∇^)o彡☆ポチありがとう!!

2012/4/30(月) 午後 9:21 [ moriizumi arao ]

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山登りさん

一も温かい励ましありがとうございます。

私も自然のものからパワーをいただいたという感覚を時々感じます。

2012/4/30(月) 午後 9:24 [ moriizumi arao ]

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らくがき楽ちんさん

子どもなので歩きにむらがありますが、あの年齢にしては強い方ではないでしょうか。

がんばりに対するポチありがとうございます。(^−^)

2012/4/30(月) 午後 9:28 [ moriizumi arao ]

1−焼(焼山寺) 2−鶴(鶴林寺) 3−太龍(太龍寺)は遍路泣かせと聞いていますが
その中でも一番の難所を10歳の諒くんがクリアされたことにもう大感動ですよ♪
またバス遍路では出会えない石段の上のお大師様、一本杉を見せていただき有難うございます
諒くんは本当によく頑張りましたね。ポチ☆

2012/4/30(月) 午後 10:25 まりん

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今晩は。
羨ましいです。
私もこんな体でなければ、孫に経験させてやりたかったです。
お孫さん素晴らしい経験を致しました、いつか人生の中できっと役に立つと思います。

2012/4/30(月) 午後 10:33 [ reikun11 ]

こんばんは〜(^-^)

子供の足としたら、上出来でしょう・・・とおじいちゃんが
感じたくらい、孫君はどんどん強くなっていますね。

流石、強いおじいちゃんの孫君です。

それまでの険しい遍路道の最後だ「頑張れよ!」と言っている感じがする山門の石段ですね。この石段だから達成感が倍増するのかもしれません。ポチ!

2012/4/30(月) 午後 11:51 [ あゆみ ]

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こんばんは。

遍路ころがしの踏破、おめでとうございます!

良い事も悪い事も、嬉しい事もつらい事も・・・
早くも人生訓を教えられたようですね^^;

6時間での到着とはお見事としか言えません!
本当にすごい経験をされたものです(^0^)/
頭が下がりますm(_ _)m

傑作の大ポチ☆です!

2012/5/1(火) 午前 1:13 fum*kom*n*er

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おはようございます。
悪い時のあれば、良い時もある、まさに人生苦あれば、楽もあるですね。
雪の中、お孫さん頑張りましたね。
ポチ☆

2012/5/1(火) 午前 6:47 [ バタフライ ]

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まりんさん

この焼山寺越えは、本当に頑張ったと思います。

一番きつい日に泣き言をいわなかったことは、じいちゃんも褒めてあげたいと思います。

おほめのポチありがとうございます。(^−^)

2012/5/1(火) 午前 7:47 [ moriizumi arao ]

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reikun11さん

健康はありがたい―― とつくづく感じます。

あなたにとって、現在の体はさぞかし悔しいことでしょう。
お察し申し上げます。
しかし、reikun11さん、裏返しに考えれば、今の体だからこそできること、味わえることもあるんだと考えることもいいんじゃありませんか?(´∀`)

生きておられることを勿怪の幸いと考えて、リハビリに専心なさってください。

日々の健康回復をお祈りいたします。

2012/5/1(火) 午前 8:01 [ moriizumi arao ]

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あゆみさん

山の札所では、どこのお寺でも「簡単にお参りさせないぞ」とばかりに最後にきつい階段が待っています。
それで余計にありがたみが出ますね。
孫へのポチありがとうございます。(^−^)

2012/5/1(火) 午前 8:11 [ moriizumi arao ]

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確かに,お孫さんの心底に大きな感動を与えたと思いますよ(^_^)

2012/5/1(火) 午前 8:41 [ おとうさん ]

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moriizumi araoさん、おはようございます♪

お孫さん本当によく頑張りましたね。
素敵なおじいちゃんとお孫さんにポチ☆

2012/5/1(火) 午前 8:43 静岡市葵区自治会連合会

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わくわくさん

心からの祝福ありがとうございます。

もちろんすぐには変わらないわけですが、骨にまで浸みこんでいると思いますので、
何かにつけて少しずつ変わっていくのではないでしょうか。
私も孫に(〃^∇^)o彡☆ポチ ですね。

2012/5/1(火) 午後 3:03 [ moriizumi arao ]

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おとうさん

私もそう思います。
我々よりず〜っと感受性の強い子供のことですから、強いインパクトだと思います。

2012/5/1(火) 午後 3:15 [ moriizumi arao ]

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バタフライさん

孫への頑張りポチありがとうございます。(^−^)

2012/5/1(火) 午後 4:02 [ moriizumi arao ]

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葵区さん

孫のおかげで、私も素敵なおじいちゃんに昇格しましたね。

ポチありがとうございます。(^−^)

2012/5/1(火) 午後 4:03 [ moriizumi arao ]

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♪こんばんは。
孫と爺ちゃんの四国歩き遍路・・・
随所に ポチなところあり候。
お孫さんには 杜泉爺ちゃんが 弘法大師に見えて 幸せ候。

幸せの彩雲を トラバ候。

2012/5/1(火) 午後 10:20 [ EGACITE ]

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EGACITEさん

こんばんは、 結構遅くまでパソコンに向かっているのですね。

私が孫から弘法大師に見えるなんてことは今のところなさそうですね。
さしずめ、「お遍路はいいことは分かるんだけど、早く帰りたい」と、昨日までは思わせていた元凶ですからね。
ポチありがとうございます。(^−^)

2012/5/1(火) 午後 10:38 [ moriizumi arao ]

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