さらば西安 いざシルクロードへ
さらば西安 さらば藩さん 西の城門で送別会
7日間滞在した西安とも今日でおさらばだ。
3度の西安で16日滞在したが、物足りない。
贅沢をいえば1か月くらいはのんびりとしたいですね。
今回の西安滞在中に大変に御世話になった潘さんとお孫さんと、
古式にちなんで西の城門でお別れすることになっている。
二人が来る前にもう一度西安の街を眺めたかった。
一歩一歩城門の階段を踏みしめながら城楼の最上階まで登る。
これからシルクロード2万キロへの「夢の一人旅」かという浮き立つ気持と、
出発前にいにしえの長安をもう一度偲んでみたいという感傷的な思いが複雑に交錯していた。
西安へ来て初日に登った時とはまったく思い入れが違っていた。
城楼から改めて市街を眺めてみる…
昔の長安を偲ぶよすがのないほどに、現代の西安は近代化が進んでいる。
だが想いを巡らしさえすれば、古き長安が目に浮かんでくるはずだ。
西の城門(安定門)から西安の中心部を望む
ここ西の城門は、昔の長安城の西の端にあたる。
東側に回れば長安を偲ぶよすがに出会えるに違いない。
現代の風景からいにしえの情景をイメー ジすることは、
けっこうわくわくする楽しい業(わざ)だ。
長安の推定地図を広げてみた。
現在の西安は紫の部分だけだ。長安の広大さが偲ばれる。
この城門から見えた長安の朱雀通り。
朱雀通りを往来して皇城(現在の官庁)の門・朱雀門をくぐった人びとの姿が目に浮かんでくる。
そして、阿倍仲麻呂、空海、吉備真備といった、遣唐使の人びともここを通ったのか……、こんな想像をめぐらせながらながら眺めるとわくわくしてきた。
西側へ移り、西方を見ると道がまっすぐ延びている。
――ああ、これがシルクロードなのだ。
はるかローマまで続く交易路だったのだ……。
唐代の人びとは、ここへ上ってはるか先まで延びるシルクロードを眺めて
何を想ったのだろうか。
玄奘もここから国禁を犯してインドに向かったのか…、
すさまじい決意と信仰でインドを目指したのだろうなあ……
こんなことを想いながら唐代の世界に入り込んで、
現実からすっかり離れていた。
すると、背後から肩をぽんとたたく人がいる。
驚いて振り返ると。潘おじいさんの笑顔があった。
――Sさん、なにを考えているのですか?
やっぱりシルクロードのことですか。
こちらが西へ延びるシルクロードの方向です。
あなたののシルクロードの旅は、この西安から
蘭州、トルファン、敦煌、ウルムチを通って、
ゴビ砂漠、タクマラカン砂漠を越えて、西の国境カシュガルまでの旅です。
そこから、中央アジア、イランを越えてトルコまでの長い旅なんですね……。
いい旅を楽しんでください
と、微笑んだ。
そして、すかさず「今度はローマが見えましたか?」と、
得意のジョークを飛ばした。
この人がよもや高級官僚だったとはまったく感じさせない気さくさだ。
その後すぐに真剣な顔に戻って、
「昔の人はどんな思いで、この門を旅立ったのでしょうね?」と、
いつもの彼らしくないしんみりした調子で言った。
この西の城門に立つとみな同じようにシルクロードのロマンに駆られるのだろうか。
孫の偉華さんは、今日は真っ赤なチャイナ服を着てきた。
このごろは中国でも、めったにチャイナ服を着ているのを見かけない。
門出を祝ってくれる心遣いなのだろう。
ささやかだがとても心がこもった送別会をしてくれた。
西安の人たちは、長期で外国へ行く人がいると、
わざわざ西門で出発式をやって前途の無事を祈念することがあるそうだ。
少しではあるが、昔の名残が残っているようだ。
潘さんが持ってきてくれた蘭州の名酒「シルクロードの春」で乾杯した後、
王維の詩を三人で朗読した。
私の提案で、初めは中国語で、次は日本語で読み上げた。
送元二使安西 元二の安西に使するを送る 王維
渭城朝雨浥軽塵 渭城の朝雨 軽塵を浥す
客舎青青柳色新 客舎 青青 柳色新たなり
勧君更盡一杯酒 君に勧む更に盡せ一杯の酒
西出陽関無故人 西のかた陽関を出ずれば 故人無からん
二人の心遣いとそのときの涙は一生忘れないだろう。
名残は尽きなかったが、固い握手をして別れた。
意識的に後を振り返らず、
寂しさを振り払うようにひたすらペダルをこいだ。
唐代のシルクロードへの出発点開遠門
この日で7日間の西安滞在を切り上げて、西へと旅立つ。
いにしえの唐代の気分を味わうために、遠回りではあるが、
開遠門を通過することにこだわった。
近年開遠門跡にシルクロード起点群像が造られた。
群像は東に向いており、商隊が西安に到着しようとする姿を現したものである。
群像の西側にわずかに残る古い門
隊商がこの門をくぐって長安に入城したとき、歓呼で迎えられたにちがいない。
その声が今にも聞こえてきそうだ。
われわれ旅人や観光客が現在、南門や西門から入城するときに賑々しく出迎えられるのとはけた違いの深い思いがあったに違いない。
何せ、命がけの厳しい旅を経ての到着だったからだ。
この門は、私にとっては大きな意義を持つものだった。
宵の光景に長安を想う
西安の夜の街をそぞろ歩くと、そこはかとなく長安の風情が漂ってくるから不思議だ。
その趣はいにしえをひたすら想う心から生まれてくるのかもしれない。
西安で最も深く心に残った情景でした。 阿倍仲麻呂がしみじみと偲ばれました。 吉備真備も空海も…、遣唐使たちすべてがこの月を眺めて涙したに違いありません。
心に残る大雁塔の光景
大雁塔は日々、刻々と姿を変える。
時には、まるで千数百年もタイムスリップして長安の顔を見せていると感じさせてくれるときがあった。
朝日を浴びて勇壮な姿を見せ始めた大雁塔
夕陽を浴びて幻想的な姿を見せる。
今日も素晴らしい記事をたのしませてもらいましたよ〜
ありがとうございます。イイね!
2012/7/9(月) 午前 11:29 [ chama ]
杜泉新生(もりいずみあらお、旅行作家)さん・・ 西安には1ヶ月ー3ヶ月滞在してみたいですね。
楽農家(らくのうか)です。
2012/7/9(月) 午後 1:27
chamaさん
また楽しみに来てください。
「イイね!」ありがとうございます。
2012/7/9(月) 午後 5:25 [ moriizumi arao ]
楽農家さん
本当ですね。
長くのんびりしながら回りたいですね。いたいですね。
見飽きるまで西安を堪能してみたいですね。
人々との触れ合いもしたいですね。
2012/7/9(月) 午後 5:28 [ moriizumi arao ]
「きみにすすむ さらにつくせ 一杯の」
中学校で最初に習った漢文です 好きです
思い馳せる心情 共感する人とそうでない人の温度差が激しいです
これで躓くと 嫌いになってしまうものです
2012/7/9(月) 午後 6:32
こんにちは〜(^-^)
こうして記事を読ませていただいていると、
杜泉さんには大陸の血が流れているのではないかと
感じてしまいます。
私自身も海外に行ったときはそう感じてしまうのですが、
血ははるかに杜泉さんのほうが濃いでしょう。(笑)
いつも壮大な大陸の記事をワクワクしながら読ませて
いただいています。イイね!
2012/7/10(火) 午前 10:01 [ あゆみ ]
あらおさま
こんばんは。
あらおさまのロマンに癒やされに来ました♪
絵画と見違えるほどの、この世のものとは思えない画像の数々。
素敵過ぎ!
イイね☆
2012/7/10(火) 午後 9:44
karato.さん
コメントありがとうございます。
わたしの思いを組んでいただく人が多いことを願っております。
これからもよろしくお願いします。
2012/7/11(水) 午前 9:13 [ moriizumi arao ]
あゆみさん
現地で想いに浸ると、俺のDNAの源流はここにるのかな? なんて思うことがありますよ。\(^o^)/
2012/7/11(水) 午前 9:25 [ moriizumi arao ]
あゆみさん
「イイね!」ありがとう!
2012/7/11(水) 午前 9:26 [ moriizumi arao ]
。。araoさん。
どこか 繋がっているのでしょうか。。
リンクしましたね。
キイワードは シルクロード。。なのかもね。
2012/7/12(木) 午後 1:33
真砂女さん
リンクありがとうございます。
シルクロードを通って日本へたくさんの文化が伝わってきますね。
2012/7/12(木) 午後 4:36 [ moriizumi arao ]