東日本大震災 未来への祈りと伝承〜「みちのく巡礼」

みちのく巡礼は、東日本大震災の祈りの場創設と記憶・教訓の伝承、防災精神の啓発、復興に寄与する活動を行っています。

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 牧童が鞭をふるって馬を追う。
 走る馬のアップをやっとの思いで捉えることができた。
 顔、たてがみ、脚、ひずめ――私は、天馬の血を引く山丹馬にあの
「飛燕をしのぐ馬←クリック)の躍動感を完全に重ね合わせていた。
  感動がビリビリと心にも体にも伝わってきた。

山丹軍馬場

 さわやかな風を浴びながら、祁連山脈のふもとへ向かって大草原の中を走り続ける。
 太陽が斜め前方から強い光を浴びせかける。
 この辺はもう標高2000メートル以上。紫外線が強い。
 対向車はほとんどなかったが、時折、解放軍の兵士を荷台いっぱいに乗せたトラックに出会った。もちろん撮影は遠慮した。こんなところで貴重なカメラを取り上げられてはたまらな。
 私の目的地、山丹軍馬牧場は人民解放軍が管理する牧場なのである。

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 次第に雪冠の祁連草原が眼前に迫り、胸が高鳴る
 
 軍馬場近くまで来ると、遠方に集落が見え出した。Tさんは「あれが私の村です」と指さした。
 今日の宿泊地である。
 
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 河西回廊を外れて約2時間で山丹軍馬場へ到着した。
 ここは一応軍事施設なので、建物や施設の写真撮影はご遠慮くださいと、事前に注意を受けた。
 「馬や訓練風景の撮影はかまいませんか?」と聞くと、いいですよとの返事。
 一般観光客の場合には、牧場内への立ち入りはいっさい禁止になっているが、
 Tさんのお兄さんの紹介状一枚でまったく待遇が違う。
 (ここまでの旅の中でも、以前の記事でのべたPさんのおじいさんのお墨付きの威力をまざまざと感じることがあった)これからもしばしば感じることがあるだろう。
 お腹が空いているのではありませんか、とTさんが聞いた。
 そういえば、山丹長城でスイカを食べただけで、景色に夢中になって何も口にしていなかった。
 昼の残りですがと言って、牧童ががふかしたジャガイモとトウモロコシを出してくれた。
 それに岩塩をふりかけて食べた。
 腹が減っていたことより、こうした素朴な心遣いが、3倍にも美味しく感じさせてくれる。 
 デザートにはスイカが出た。

 案内人が一人付いて、Tさんと3人で馬に乗って牧場内を回った。
 以前のシルクロードの旅では、玉門関で初めて馬に乗った。
 この時に快感を覚え、旧ソ連領の中央アジアの大草原を馬で駆け回ったらどんなにか爽快だろうと、ときめきを感じたものだった。
 そんなわけで、帰国後乗馬クラブへ入会して練習を続けてきた。
 今回はその腕試し第1号である。おかげで馬とのコミュニケーションの取り方も身についたな〜と感じた。 
 
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はてしなく続く大草原。三方は空の青と草の緑の2色の世界だ。
南には祁連山脈の白い峰々がくっきりと見える。
ここは海抜二千メートルを越える。薄紫の蓮華の絨毯が一面に敷き詰められている。
ここに2万頭の軍馬が養育されている。
 
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イメージ 1紀元前漢帝国の若き武将、霍去病はすでにこの地に陣を構え、軍馬の牧場を設けた。
5世紀の魏の時代の史書には、
「河西水草美しく、放牧の基地となす。畜産滋息し、馬二百余万匹にいたる」
と記されている。
 
そして6世紀、この牧場の馬の数は10万頭にも及んだといわれている。
当時、軍馬は今でいうならば、戦車1台にも匹敵する位置にあり、
時の権力者は、漢の武帝以後も馬の繁殖だけでなく、馬種の改良にも力を入れたのである。
そして「胡種を雑ふれば馬益々壮んなり」(『新唐書』兵士)の伝統は、今でも続いている。
 
現在は、まず、体は小さいが登坂力、耐久力のある蒙古馬と、
馬体の大きいハザクの馬とがかけ合わされる。
その間に出来た馬に再び蒙古馬がかけ合わされて、
現代の天馬ともいうべき山丹馬が生み出されている。もちろん人工授精である。
 
しかし、ミサイルの時代に軍馬は必要なのだろうか。ゲリラ戦や山岳戦用なのだろうか。
私のこの疑問に、牧場の幹部は笑って答えた。
「軍馬として養成しますが、平和が続く現在、その多くは各部隊が駐屯する農村に送り込まれ、優秀な農耕馬として働きます」
戦争という二文字は彼の口からは出なかった。
 
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 集団訓練の時には、常に、馬群の中から1頭の馬が引き出された。

 
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 調教師がこの馬に乗って先頭に立ち、他の馬はこれに付き従って集団で走る。実にみごとというほかはない。
 北海道の牧場でもこうした訓練を観たことはあるが、こちらは馬の数が桁違いに多い。
 多いときには数百頭が同時に走っている。
 
 
 
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   私は遠い昔の天馬をレンズで追い続けた。
 間近に迫って来るにつれて、着実に切迫感が増してくる。
 まるで、自分ひとりで敵の騎馬軍団に対峙するかのような恐怖心をおぼえる。

 
 訓練エリアを出ると、先ほどの迫力に満ちた世界がまるでうそのようなゆったりとした空間が広がっている。
 馬たちが三々五々草を食んでいる。
 彼らにとっては、食事中はのんびりとした憩いの時なのに違いない。
 
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  この牧場では馬に混じって牛も放牧されている。
 食糧にでもするのだろうか。それとも、農耕用なのだろうか?
 
 夕暮れが近づく訓練場で想いにふける
 牧場をひと通り巡り終えた後、再び訓練エリアに戻りしばらく訓練の様子を眺めながら物思いにふけっていた。
 少しずつ日の光が薄くなるのを感じられるようになってきた。
 
  
 
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 軍馬として調教された駿馬たちも、この牧場を出ると、もうここにいるときのように原野を駆けることはないだろう。
2千年の血統をになう駿馬にとっては、ここにいて訓練を受けているときこそが、晴れ舞台なのかもしれない。
 
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 夕日に向かって走る馬。その燃えるようなたてがみ、丘を駆け下って来る馬軍、そのしなやかな脚―― この幻想的な光景はわすれられないものとなるだろう。
 そんな思いのする山丹軍馬場であった。
 
 やがて夕暮れが近づいたので、その日の宿泊場所である。牧場の宿泊施設へ入った。
 
 22日目も実に充実した1日であった。
 朝にバスで武威から山丹長城へ向かい、さらに山丹牧場まで足を延ばした。
 簡単な食事のあと、武威で買い入れてきたビールを飲むと急に眠気を覚え、バタンキューと深い眠りについた。
  
本日のシルクロード美人
 
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      祁連草原の村にて
 
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閉じる コメント(9)

こんにちは

「馬踏飛燕」と言う馬は、もう滅んでしまったのでしょうか、赤い汗を出すなんて、雄雄しいです
記事を作るため競馬場に言ったことがありますが、
馬の群れが走る姿は圧巻でした

2012/12/8(土) 午後 1:35 [ - ]

顔アイコン

素晴しい景色ですね!
心まで晴れ渡りますね。

そして馬の美しいこと…!!

こんな旅をしたら、一生心に焼きつきますね。

2012/12/8(土) 午後 5:47 [ jun ]

こんばんは。素敵な音楽と、雄大で優しい画像。

介護をしていて・・・なかなか訪問できなく損した気持ちです。

今度は何か、気にいった日には、是非遊びにいらして下さい。

末筆ながらご返事の遅れをお詫びします。素敵ナイスです

2012/12/8(土) 午後 6:48 [ - ]

✲;:*ヾ(✷♛‿♛✷)ノ*:.。♪コンバンワァ✲;:*
京都も随分寒く為って来ました
風景;最高に素敵ですネ(*´∀`*)
(✿◕ ‿◕ฺ)ノ))ナイス

2012/12/8(土) 午後 6:53 雅(みやび)

顔アイコン

嵐子さん

馬に乗り始めたらとても好きになりました。

感動のナイス☆ありがとうございます。

2012/12/10(月) 午前 11:29 [ moriizumi arao ]

顔アイコン

♪こんにちは。
広大で勇壮 天馬を育てる山丹軍馬場 シルクロード・・・ナイス!で候。
本日のシルクロード美人も ナイス!で候

勇壮な 京芸大の美人画を トラバ候。

2012/12/10(月) 午後 0:02 [ EGACITE ]

顔アイコン

ティンさん

訪問とコメントありがとうございました。

介護の毎日、私も経験がありますので、大変さがよくわかります。

これが自分の日常だと思うようになってからは少し気分が楽になりまあした。

感動のナイス☆ありがとうございます。

2012/12/10(月) 午後 1:09 [ moriizumi arao ]

顔アイコン

素晴らしい写真とコメント、有り難うございます。もうかなり前ですが玉門関を訪れたことを思い出しました。

この西域の地の少数民族と文化がこれからもずっと輝きを持って残ることを祈っています。

匈奴は栄枯盛衰を繰り返したけど、ちゃんと中部ヨーロッパ辺りのハンガリーにその血を残しています。
私らがこれらの国に行くと歓待されるのも同じアジアの血を持っているからかと思います。

2012/12/10(月) 午後 1:13 [ ロートル ]

顔アイコン

junさん

こんばんは

やっぱり一人旅だと穴場に行けますね。

ときどき我ながら予感たな~と思いますよ。
ナイス☆ありがとうございます。

2012/12/10(月) 午後 10:21 [ moriizumi arao ]

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