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滑って石に尾てい骨を打つ 仏陀石からの下り道、夕日が沈みかけてきた。
〈急がなくては…〉と、気がそれた瞬間、右足の踵がずず〜っと前方に滑った。体勢を立て直す間もなく、しこたま尻もちを着いてしまった。着いた場所が悪かった。角が少し尖った石に尾てい骨が当たってしまった。軽い貧血状態に覆われた。すぐに立ち上がることができない。 〈今日は杖は忘れて、8キロも歩く羽目になったし、ついていないな〜。こんなのを弱り目にたたり目と言うんだな。だけどお前自身が悪いんだぞ!〉 と自分に言い聞かせながら、しばしその場に寝転んでいた。だが、こんなことはしていられない、山道で日が暮れたら大変だ―― そう思って、自分を叱咤激励して起き上がった。癪なので滑った場所を撮影してやった。
幼子の励ましに涙
県道近くまで下ってくると、時計はすでに6時を回いた。あたりは薄暗くなった。
すっかり疲れ果てて、何も考える気力もなく、ただ黙々と下見がちに歩いていたと思う。 そのようなちょっと孤独な時、前方から「お遍路さ〜ん」と呼ぶ幼ない声がした。 ふと我に返った。 声の方に目をやると、「がんばって!」と、見上げるようにして、声をかけてくれた。
まだ、小学校にも上がっていない幼子だった。 なんだか気の毒そうな顔で私を見ているではないか。 突然だったので、一瞬は情けないような気持になったが、 すぐに笑顔を作って「ありがとう」と答えると、 「どこから来たの?」と子どもがたずねる。 「仙台だよ。仙台って、知ってる?」 「ううん」と首を横に振った。 「東京よりもずっとむこうだよ」
「ずいぶん遠くから来たんだね」 こんな会話を交わしてから、「さようなら」と言うと、 今度は「気をつけて」と言ってくれた。 これで、すっかり元気な気分を取り戻した。 あと二キロ弱だだ、がんばろう、と足取りが少し軽くなった。 ただ、目には涙がこぼれていた。 どんな涙だったのか、自分でもよくわからない。 先ほどまではY君のことが全く浮かばなかったが、宿が近ずくにつれて気になりだした。この宿で会えるとしたら、おそらく彼の遍路はこれからも続くだろう。「三日区切りで歩いてみてはどうだろうか」という私の提案の3日目なのだ。彼に出会った場合こちらの心づもりを固めておかなければならない。「情に流されては絶対に彼のためにはならない」ということを強く自分に戒めておこうと思った。
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♪こんにちは。
滑って石に尾てい骨を打つ・・・読んでいても痛く候。
自分を叱咤激励して起き上がって、
おさなごの励ましに涙・・・が出て候。
「気をつけて」 ナイス! お遍路候。
世界遺産 お遍路文化人を トラバ候。
2013/4/26(金) 午前 11:18 [ EGACITE ]
EGACITEさん
歩いているといろいろなことが起きますね。
まさに人生ってやつですね。
2013/4/26(金) 午前 11:37 [ moriizumi arao ]
幼い子から元気をもらったのですね。
子どもというのはソバにいてくれるだけでありがたい存在だと、最近感じる事が多くなりました。気が弱くなってきたのでしょうか?
転ぶハプニングがあっても、励まされる偶然。こうして人生ってうまく運ばれていくものだとしたら、不安に負けずに挑戦できるような気持ちになりますね。
2013/4/26(金) 午後 1:38
おふみさん
遍路は人生と言われますが、本当にいろいろな出会いがありますよね。
こうして我々は人生勉強をさせてもらっているんだな〜と思います。
2013/4/26(金) 午後 5:49 [ moriizumi arao ]
尾てい骨の傷みはその後如何ですか。ひびが入っていなかった


でしょうか。歳を取ると反射神経が鈍くなるのでバランスを
崩しやすくなりますね。ひきこもり青年との再会、出来たん
でしょうか。続編を早く読みたいですね。
全ぽち
2013/4/26(金) 午後 9:01
Kasayさん
やはり年齢になってくるとバランス感覚が衰えてきますね。
幸い2,3日痛みががありましたが、それ以後は気にならなくなりました。 ありがとうございます。(´∀`)
2013/4/27(土) 午前 11:08 [ moriizumi arao ]