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わたしも消防士との出会いで感情が高ぶった。
一時も早く自宅へ帰って妻を安心させたい、という気持でいっぱいになった。 ところが気持ちが焦るせいかそこからがきつかった。 走っている時と同じで、力むと足も体も固くなってしまう。
重い足、固い筋肉を運びながらさらに歩き続けた。
追い抜いてゆく自動車が恨めしくさえなった。
ここからは中略。書いても愚痴っぽい話になるだけだから・・・・・・
8日ぶりの懐かしい我が家
夕方5時30分ごろ、やっとの思いで懐かしい我が家が見える坂道にたどり着いた。
13時間以上かかったことになる。
もしも、消防士に乗せてもらわなかったら…、夜中になっても、真っ暗闇の中を歩いていたことになる。
いや、下手すると野宿ということになったかもしれない。
8日ぶりに見た我が家は、坂道から見おろすと、屋根一面に青いビニールシートがかぶせてあり、傾いているように見えた。
瞬間的に、<住めるのかな?>と思った。 それと同時に、家族はいるのかな? と思った。
近づくにつれて、被害の状況が見えてきた。白い外壁は何箇所も壊れ、大きく落ちて、黒い地肌を見せている箇所も見えた。
やっぱりやられたか…、と思いつつも、久しぶりの我が家に胸が躍った。 とにかく急いで我が家へたどり着いてみると、 やっぱり大きな被害を受けていた.。
だが、津波被害の惨状を見続けてきただけに、平静に受け止めることが出来た。
それ以上に、五体満足で帰ったのだから、家ぐらいどうということはないさ―― と、何も気にならなかった。
息子が頼もしかった
ゆがんで開きづらくなっていた玄関ドアを力ずくでどうにか開けて中を覗いてみると、まさに人の気配がしたので、とにかくほっとした。
妻と息子が夕暮れの薄暗い中で片づけに追われていた。
「ただいま!」という私の大声に気づかないほどだった。
すでに前日、私の無事が確認できたので安心して復旧に専念していたのだろう。
感動の再会シーンを演じるなどというロマンチックな雰囲気ではなかった。
息子が震災の日にすぐに、千葉県から15時間かけて駆け付けて復旧に専念してくれたとのこと―― 実に頼もしく感じた。
息子の友人や近所の人が屋根に上がって、シートをかけたり、割れた瓦を降ろしたりしてくれたそうだ。ありがたさが身に染みた。
それに引き替え、肝心の時に不在で、おまけに心配までかけてしまった自分に大きな引け目を感じた。とにかく、台所と居住部分はどうにかスペースが確保できるほどには片付いていた。
その晩は、金華山から帰ったら飲もうとわざわざ残していった、一本の350mℓ缶ビールで無事の帰還を祝った。震災以後停電だったので、ビールは少しなまぬるかったが、震災後の唯一の贅沢だった。
「よくお父さんが1本だけ残していったね」と言う息子に、
「これが神のなせる業だよ」とちょっと外れたジョークで応じながら、3人で紙コップを合わせた。
「こういうのを音なし乾杯というのかしら」と、妻も調子を合わせ、顔を見合わせて笑った。その時、シルクロードの遊牧民が薄暗いテント中で、質素な食事を和気あいあいとしながら食べていたことが思い出された。
それから、アルミ製のプリンカップにわずかばかりの水を入れてローソクの火で沸かし、インスタントコーヒーを作って3人でちびりちびりと回し飲みをした。すごくリッチな気分になった。
これをみじめとみるか、リッチと感じるかはその人次第だろうね。
3人でゆっくりと語り合ったのは何年ぶりだっただろうか。
薄暗い雰囲気での語らいは最高だった。
この時の幸福感は忘れられない。こんなささやかさが実は大きな幸せなのだと心から思った。「不幸の中にこそ幸福が存在するのだ」という真実を、大震災で教わったのである。
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こんばんは
皆さん無事で何よりでしたね。
私は徒歩で2時間だけでしたが、
ローソクの温かさがありがたかったです。
2014/5/6(火) 午後 8:53 [ デコニちゃん ]
デコニちゃん
震災の時には普段は何も感じなかったことが、すごく大切なんだとお感じました。
2014/5/6(火) 午後 9:33 [ moriizumi arao ]
閑寂庵主人 さん namihei さん
ナイス!&村ぽち ありがとうございます。
2014/5/7(水) 午前 5:43 [ moriizumi arao ]
♪こんにちは。
8日ぶりに 被災しても五体満足で 無事帰り、
「不幸の中にこそ幸福が存在する」音なし乾杯ナイス!候。
夢をかたちに 天国に召されたお方を トラバ候。
2014/5/7(水) 午前 11:54 [ EGACITE ]
こんにちはがんです〜
この記事3年前に拝見しました〜
たいへんだったですねえ〜
もうちょつと記事を拝見します〜^^。
2014/5/7(水) 午後 0:18 [ gann ]
ご無沙汰しています。
昨年10月末、南三陸町など数カ所の被災地を訪ねましたが、
今だに26万人以上の方が避難生活を余儀なくされ、
震災関連死の方も3千人を超えるなど、
まだまだ厳しい現実がありますよね。
スピード感をもって、復旧・復興が進むことを念願しています。
2014/5/8(木) 午後 7:39