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ユーストリームですからインターネットで全国どこからでも無料でご覧いただけます。 ■今週の土曜日、6月29日(土)夜10時から はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る 石川啄木『一握の砂』 人間の五体の中でも「手」は大切な機能を持っています。 「手」により、モノを掴み握り、働くことの原点です。 また。「手」はその人のさまざなな心の表現を現す機能もあります。 産まれたばかりの赤ちゃんを抱き、頭を撫でる行為。 愛する人を愛撫するのも「手」です。 はたまた怒りで他人を平手打ちする殴るのも「手」であります。 要するに【手】は心の表現の手段だと云えましょう。 そんな【手】への想いの詩、短歌、散文の投稿をお待ちしています。 メッセージからご投稿ください。 ゲスブでも構いません。 この番組はあなたと一緒に創ってゆく番組です。 ================================ ================================ 魂の短歌アーティスト&癒しのココロニストの関節夫が お届けする癒しの番組です。 恋愛から心の悩みまで、時には世相を鋭く切り取ります。 まさに、心からの言葉「ココトバ」をお届けいたします。 ================================ お聴きになる皆さまとツーウェイコミュニケーションで、 あなたと一緒に創ってゆく番組です。 ツイッター、facebookなどからチャットでお気軽に参加してください。 なお、ツイッターでチャットの場合には ハッシュタグ #kokotobaをつけてください。 ランキングが落ちています。応援のぽちを。 あなたの愛の応援のクリックをお願いいたします。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
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2013年06月29日
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Y君は、よほどうれしかったのだろう。挨拶もなしに自分のことを話し始めた。いかにも彼らしい。いちずな思い込みと無邪気さが人間関係や社会への対応につまずいた理由なのだろうと、可笑しくなった。
「あれから、また三日歩けました。焼山寺の山越えもできたし、何とかここまで来れました。最後まで歩けるという自信はまだ十分にはないんですが、少しは自信らしいものが出てきました。やっぱり、Sさんに焼山寺越えはきついって言ってもらってよかったです」
といったような、一気呵成の話しぶりだ。
「よかった、とにかくよかった!君が歩き続けてほんとうによかった」
「もう食事が始まっているんだから、早く風呂に入って、食事にしましようようよ。宿に迷惑になりますからね。食事が終わったら私の部屋へいらっしゃい」と言うと、彼は「お先します」と言って、ちょこんと頭を下げて浴室から出て行った。これからの遍路でいろいろな人と出会って社会性を学んでほしいな〜。
私も急いで体を洗って風呂を切り上げ、部屋へ戻ってから食事の大広間へ向かった。広間はおおぜいの団体遍路さんで埋まっていた。Y君を見つけたが、となりの席はすでにふさがっていた。彼はとなりのおばさん遍路から話しかけられて、まだ面倒そうだったが、どうにか会話をしているようなので安心した。こうして少しずつ人間慣れしていくことだろう。
先に食事を終えたY君は、私をみつけて近寄ってきた。私の部屋の名前を教えると、「僕の隣ですね」と言う。やはり予想したように、私の隣の部屋だった。あの、ぎしぎしっという音は私のカン通り、おデブちゃんのY君の足音だったのだ。
Y君は私の部屋へ入るや否や話し始めた。まるで小学生だな~と、思わず苦笑いが出た。子どもが学校から帰ってからすぐ、その日の出来事を夢中になって母親に報告するときのようだった。
「僕は、もう二度とSさんとは会えないだろうと思っていたんです。お風呂で声をかけられたときにはほんとにびっくりしました。思わず涙が出そうでした」
「いやいや、完全に出ていたよ!」
わたしの冗談めかしの笑顔が、彼の心をいっそう解きほぐしたようだ。さらにエンジンがかかる。 「Sさんが、焼山寺を上り終えてこれ以上続けられないと思ったら帰ってもいいんじゃないの。そこまでやれれば立派なものだよ! 四年間ひきこもっていた君が普通の人がやらない焼山寺越えを成し遂げたということになるんだもの…と言ってくれたおかげで、僕は迷いながらも、少し安心したんです。
僕はあの夜、床へ着いてからこんな事を考えていました。
―― 明日は最難関へ挑戦しなければならない。僕はまともな山登りなんかしたことがない。はたして僕に上れるのだろうか。不安ばかりが先立った。幸か不幸か夜中に雨が激しく降った。内心このまま降り続けばいいなとも思った。このまま戻っても、雨で登れなかった、という言い訳が立つし、三日というノルマは果たしたし…。いろいろ考えて、僕の気持は複雑に揺れていた。Sさんの言った「越えれば人生が変る」という言葉が、妙に僕の心を後押しした。結局、「もしも、晴れたら登ろう」と、自分に言い聞かせた。
翌日は雨もすっかり上がった。《人生を変えるために頑張れよ》と、無理に自分を励まして、6時30分に宿を出発した。標高938メートルの山腹に建つ焼山寺へ向かって、挑戦の山越えが開始された。
(続 く)
いっぱいの不安とちょっぴりの期待で焼山寺へ向かって上り始めた |
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