東日本大震災 未来への祈りと伝承〜「みちのく巡礼」

みちのく巡礼は、東日本大震災の祈りの場創設と記憶・教訓の伝承、防災精神の啓発、復興に寄与する活動を行っています。

0シルクロードへの熱い想い

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シルクロードへの熱き想い  2.引くに引けない『東方見聞録』

イメージ 1 高校の世界史の教諭Y先生はなかなかの実力者で、歴史好きの私には聞き応えのある授業だった。待ちに待った『東方見聞録』が出てきた。Y先生にいろいろと質問すると、「君はよく『東方見聞録』の中身を知っているなあ。読んだことがあるようだね」と言うので、ついそれに引きずられて「はい」と応えてしまった。そのあとで、お調子づいてつい口が滑ってしまい、「『東方見聞録』についてはオレのほうが先生よりも知っているかもしれません」と続けてしまった。一瞬,Y先生の顔がこわばった。<しまった>と思ったが,後の祭り。
 だが、さすがY先生だ。さりげなく「それじゃ次の時間には、君に『東方見聞録』の話をしてもらおう。みんなも質問したいことを準備してこいよ」と何食わぬ顔で言った。ずしりとした重いパンチだった。それを聞いて教室中に茶化すような笑いが響いた。これには思わず頭にきた。こうなったら後へは引けない。これでかえって腹が据わった。
 
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 実は、私がそれまでに読んだこのがあるのは、子供向けの『マルコ・ポーロの冒険』と、東方見聞録の解説書だけだった。さっそく図書館で『東方見聞録』を借りて、受験勉強をそっちのけにして必死に読んだ。皮肉なものだ。そのことが「シルクロード」への関心によけいに火をつけた。それ以後は、シルクロードに関する情報にはアンテナを張り巡らせていた。
 
 
 私が興味を持ったのは――「シルクロード」という言葉は、いったいいつごろから誰が言い出した言葉なのだろう、ということだった。今でこそシルクロードといえば、たいていの大人は、少なくても言葉は知っている。
 だが、当時はシルクロードという言葉はあまり使われていなかった。聞いても「それってなに?」って感じだった。
 世界史や地理の教科書には、「『絹の道』は西域を横断する古代の東西交通路」と説明されていた。 ちょっと専門的になってしまうが…、「西域」という言葉は、 紀元前1世紀頃から中国で一般的に使われるようになったもので、狭い意味では現在の「新疆ウイグル自治区」を指し、もう少し拡げれば「西トルキスタン」――わかりやすく言うと「中央アジア」までも含むが、広い意味では、「中国から陸続きの西方の諸地域」ということで、ヨーロッパまでも含まれる。「シルクロード」は広い意味での西域を横断する古代の東西交易路である。

イメージ 4 ドイツの地理学者リヒトホーフェンがザイデンシュトラーセンSeidenstrassen(絹街道)という語を使ったのが始まりで、この道を通って、古代中国特産の絹が西へ運ばれたために名づけられた。リヒトホーフェンは、中央アジアのオアシス群を結ぶ道(オアシスルート)をシルクロードと考えていた。だが、その後、東西交易についての研究が進むと、シルクロードの概念は西へ西へと拡大して、中国の西安(= 長安 =)から西アジアを経て、イスタンブールやローマに達する交易ルート全体をさすようになった。そこには、ユーラシア北方の草原地帯を通る「ステップルート」や、中国の広州あたりから東南アジア、インド洋を経て紅海にいたる「海のシルクロード」(南海ルート)も含まれる。
 だが、わたしにとっては、子供の頃にあこがれた、マルコ・ポーロが辿った砂漠の道が「シルクロード」なのだ。キャラバンといえば、やはり砂漠の道が絵になる。

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シルクロードへの熱想い  1.マルコ・ポーロとの出会い

イメージ 1 シルクロードに興味をいだく人間で「マルコ・ポーロ」の名を知らない人はいないだろう。『東方見聞録』の中で、日本を「黄金の国・ジパング」と紹介した男である。――わたしが彼と初めて出会ったのは、小学5年生。担任のF先生は、わかりやすい面白い授業をする先生で、人間的にも立派で、学校中の生徒から人気があった。特に歴史が好きで、手振り身振り、ユーモアたっぷりで、社会の授業を盛り上げていた。いつもは隣とおしゃべりをしたり、おとなしいと思えば寝ている悪ガキどもも、社会の授業だけは楽しみにしていた。いつもとは打って変わって、教師のほうへ顔を向けて、たまには「はあ〜、それからどした…」などと、合いの手を打つほどの変身ぶりだ。

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 先生はマルコ・ポーロの『東方見聞録』(実は、マルコ・ポーロがアジア諸国で見聞した内容口述を、ルスティケロ・ダ・ピサが採録編纂した旅行記である)の話になると、いつもにも増して熱が入った。旅の話はことさら面白くて、多少の作り話も混じっているとは思っても、ついつい引き込まれて、目を輝かせて聞いていた。マルコ・ポーロが東洋に夢を膨らませたように、私もシルクロードの世界に夢とロマンを広げていった。『アラビアンナイト』や『シンドバッド』、はたまた「月の砂漠をはるばると、旅のラクダがゆきました…」を思い浮かべながら、夢と想像を広げていった。

 
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 『東方見聞録』には、日本は「ジパング(日本)は、カタイ(中国大陸)の東の海上1500マイルに浮かぶ独立した島国で、莫大な金が採れて、宮殿や民家は黄金で出来ているなど、財宝に溢れている。人々は信心深く、仏様の崇拝者で、外見がよく、礼儀正しいが、人肉を食べる習慣がある」と書かれているという。
 
 旅の話ならば少しくらいのウソが入っていたほうが却って面白がって聞いていたが、さすがに自分の国のこととなるとそうは行かない。少し抗議口調で「鎌倉時代には、ほとんどの民家が貧しかったので金なんかでできているわけはないし、宮殿だって平泉の金色堂くらいしかないんじゃないですか。それに、日本人が人食い人種だなんて、まったく面白くありません。先生はどう思うのですか?」と尋ねた。
 
 すると先生は「私もそう思っている。宮殿や民家は黄金でできている、というのは、中尊寺金色堂についての話を聞いたものだといわれているんだ。実際、マルコ・ポーロは日本には来たことがないので、中国で聞いた噂話として書かれているんだ。

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 「東方見聞録」の黄金の国ジパングのモデルになったといわれている中尊寺金色堂

 ところで、『ジパング』は日本の英語名「ジャパン」(Japan)の語源になっているんだよ。当時のヨーロッパの人々も、マルコ・ポーロの言っていた日本についての内容はあまり信じなくて、彼は嘘つき呼ばわりされたそうだよ。だが『東方見聞録』は、その後多くの言語に翻訳されて、手写本としていろいろな国に広まっていったん
 だ。これがアジアに関する貴重な資料として重宝されて、後の大航海時代に大きな影響を与えるようになったのです。ジパングを目指して出航し、アメリカ大陸を発見したコロンブスも、この書を手元から離さなかったそうだ。なんと366箇所も書き込があったそうだよ」と答えてくれた。
 
イメージ 2 こんなわけで、私はマルコ・ポーロに強い興味を持った。さっそく、1時間以上電車に乗って仙台の書店まで出かけた。なかなかいいものが見つからなかったので,書店のおねえさんに「マルコ・ポーロの本を探してるんだけど」というと「あなた小学生でしょう! これがいいんじゃない」と言って『マルコ・ポーロの冒険』という少年少女向けの本を出してきてくれた。本での最初の出会いだった」
 
 1271年、イタリアのヴェネチアに暮らしていた17歳の少年マルコ・ポーロは父ニコロと叔父マテオに随行して東方へ旅立つことになる。道中でマルコは様々な体験や色々な人々との出会いと別れ、冒険を繰り返しながら成長していく。未来に向かって、理想に向かって突き進んで行くマルコ・ポーロ。未知の世界を切り開く意思の強さ、何処までも希望を捨てない精神の強さ……。感動で時には涙をためながら、一気に読みきってしまった。'''「大人になったら絶対にシルクロードに行ってやる!」"""――そう決意した。

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