ここから本文です
『一服 』 /宮城県柴田郡大河原町・齋藤畳店3代目の記録
宮城県柴田郡大河原町・齋藤畳店・三代目の記録 / HP: http://www.maruharutatami.com/

書庫全体表示





 


 屏風には、和襖(本襖)や額装等の伝統的かつ本格的な下地の作りや下張りの張り方の要素が詰まっております。





 今回はそんな屏風作りの工程について…。



イメージ 1




 ↑表具職人の作る屏風や和襖(本襖)、額装は基本的に組子骨下地となります。



 組子骨下地は軽量で、湿度の吸放出性に優れ長持ちし、部分的にパーツを取り換えることも可能です。



イメージ 2




 ↑初めに、骨を紙の張力で固定するため、骨縛りを施します。




 今回は予算の関係上、石州代用紙を使いました。




イメージ 3




 ↑次に骨縛りの紙の上に、同じ代用紙をベタ貼りしました。



 これを打ち付け貼りといい、骨縛りをさらに補強します。




 ベタ貼りの為、糊の被膜が加わりさらに強度を増します。




イメージ 4



 ↑続いて次の工程の「蓑張り」をする為の下準備を行います。



 反古紙と呼ばれる古い和紙を使用します。



 昭和初期〜明治時代頃の勘定元帳や土地坪帳などの紙を使用します。



 昔の帳簿は、天然素材を漉いた和紙でできており、100年前の紙でも非常に強靭で、いい具合に枯れており、伸縮も少ないようで、且つリーズナブル。



 現在の主流の、普及襖紙等の再生紙は、50年もたてば触るとポロポロ剥がれるでしょう。



イメージ 5



 ↑数百ページに及ぶ古い帳簿をばらし、和紙を一枚一枚継いで、作業がしやすいよう巻物にしていきます。



 この作業は、昔は表具職人見習いが残業で行っていたようです。





イメージ 7




 ↑準備が整い、ようやく蓑張りです。


 ミノムシの巣のように、巻物にした反古紙をずらしながら骨の四方に糊付けして、中央は浮かせながら張って行きます。


 今回は三遍蓑張りと言って、反古紙(丈8寸〜1尺位)を三分の一にして、三分の一づつずらしながら張って行きます。


 これにより、下地の透き止め&下地のクッション効果&骨下地の捻じれ防止&穴あき防止&襖・屏風の吸放湿性が増す上、最後の上張を施した際、風合いよくふっくらとした張り上がりに仕上がります。昔の墨は防虫効果もあったようです。



イメージ 10



 ↑襖の蓑張り場合だと、張り上がりに迫力があります。


 今回は三遍蓑張りですが、文化財等の襖だと十遍以上蓑張りを施している物もあるようです。



 現在出回っている襖の多くは、この蓑張りは省略されているようです。



 私はご師事頂いたこの蓑張りに、昔の職人の知恵や技術、工夫、機能を感じております。



 一般の方でも見て触れば、紙の力を感じて頂けると思います・・・。




イメージ 6


 

 ↑蓑張りの後は蓑抑え


 蓑張りの上に、反古紙でベタ糊して蓑張りを固定していきます。



イメージ 8




 ↑蓑抑えの糊が完全に乾いた後は、骨の四方を小刀や鉋を使い平削りして、紙の段差を無くし平らにしていきます。



 ちなみに骨は、通称サル取りされている物を使い、骨内側にかけてなだらかに傾斜しており、張り重ねていく紙の段差や、骨組みが暴れて表に出てきにくいようサル取りされた木材を框に使います。



 
イメージ 9



 ↑続いて屏風の命である紙蝶番の羽付け。ここが襖にはない部分です。



 屏風のサイズに合わせて羽紙を割り付けます。写真は6つに割れていますが、4つ割りでも十分です。




 さらに羽紙の上に包み貼りを施し、紙蝶番を補強します。


 

イメージ 11





 ↑続いて下袋、上袋と2回袋張りをします。



 上袋は喰い裂きにして張ります。



イメージ 12




 ↑続いてようやく上張りを施し…。





イメージ 13




 ↑縁を取り付けて完成です。




イメージ 19




 ↑裏面


イメージ 14
 


 ↑今回作ったのは、枕屏風と言って昔は枕元の風よけに作られていたようです。



 現在は、畳の部屋のインテリアや、装飾品としても使われております。



イメージ 17



 ↑こちらは枕屏風に裂地で縁まわしをしたもの。



イメージ 18



 ↑裏面



イメージ 15




 ↑写真は訓練校で作った、茶室の風炉先屏風。



 屏風はサイズや使用用途によって呼び方も変わる模様。




イメージ 21



 ↑写真は、お客様の書を額装したものです。



 屏風は、各工程間に糊を乾かす間があるので、畳作りの合間にちょこちょこ作り続けていけ、且つ襖・屏風・額装などの骨下地の物全般に技術が応用できます。




イメージ 16



 ↑どっさり反古紙を仕入れました。




イメージ 20



 ↑表具用の刃物です。



 



 畳のある部屋の魅力を引き出すプラスアルファの装飾としてご提案したいと思っております。



この記事に

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事