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西岡常一
『棟梁のいうものは何かいいましたら
「棟梁は、木のクセを見抜いて それを適材適所に使う」ことやね
木というのは まっすぐ立っているようで
それぞれクセがありますのや
自然の中で動けないんですから 生きのびていくためには
それなりに土地や風向き 日当たり まわりの状況に応じて
自分に合わせていかなならんでしょ
例えば いつもこっちから風が吹いている所の木やったら 枝が曲がりますな
そうすると木もひねられますでしょう
木はそれに対してねじられんようにしようという気になりまっしゃろ
こうして木にクセができてくるんです
木のクセを見抜いてうまく組まなくてはなりませんが
木のクセをうまく組むためには人の心を組まなあきまへん
絵描きさんやったら 気に入らん絵は破いてまた描けばいいし
彫刻家だったら出来損ないを壊して作り直せます
しかし 建築はそうはいかん
大勢の人が寄らんとできんわな
だから できそこないがあっても簡単に建てなおせません
その為にも「木を組むには人の心を組め」というのが まず棟梁の役目ですな
職人が50人おったら50人が わたしと同じ気持ちになってもらわんと建物はできません
実際の仕事は設計から選木 木組み 立てあげ と
これを全部やるのは私だけや
今は設計事務所 清算屋など分業です
♢ ♢ ♢
堂や塔を作る技術というのは 細々とひきつがれてきたんです
なにも私らが 新しく考えたのとは違います
飛鳥時代の工人たちがやったこと
そのまんまやろうとしてるんですが
それができませんのや
宮大工いうてもわたし一人ではなにもできません
それで全国から寄ってくるわけです
地方から寄ってくる人は腕に自慢の人ですわ
塔をやってみよう 堂をやってみようという気持ちで来ますわな
そういう人はクセが強いわな 木とまったく一緒や
ところが木は正直だが 人間はそうやない
私の前ではいい顔してるけど かげでどう動いているかわからん
だから 木を組むより 人を組めと言ったんですわ
そこへいくと 飛鳥の大工はえらかった
なにせ 仕事が早い 今の人は便利な工具持ってるのに時間がかかるわな
飛鳥の時代に 薬師寺七塔伽藍を全部と他に14棟の建物をつくったんですが
それが14年でっせ
私らは19年かかってやっと 金堂と西塔と中門しただけですわ
昔は工具かて今のようなもんやなくて
全部人の手でやってたんでしょ
優秀な人が沢山いたんですな
総棟梁が一人おって 「おまえ東塔やれ おまえ西塔やれ」
と言うただけででけたんや 今はできませんわな 昔の人は立派です
こうやって1300年の建物がちゃんと建っておるんですから
どこも間違っておりません それだけの人がおったんですな
♢ ♢
この5年か10年のうちに 大きな地震があって
東塔が歪んで 西塔がちゃんと建ってたということになれば
仕事をやったなと得心できるけど
さもない限りは もしも東塔がまっすぐで 西塔が歪んだとなれば
腹を切らなならんわ
この西塔は今 基壇が高くなって塔も一尺高くなってるけど
500年もたつと 東塔と同じぐらいまで沈むんですわ
そして1000年経って 東塔と西塔が並んでたっておりましたら
ええですわな
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こういう人が、どんどんいなくなっちゃいましたね…
日本の建物は、偽物の木で建てて、10年で曲がって、20年でダメになって壊されるようになってる。
2010/10/30(土) 午後 5:51
Likaママ
どんなものであれ 本物は残りますねえ
その場しのぎや 見栄えだけは長続きしませんし
最後にはバレます
生活していると そんなことを感じることばかりです
人生も本物の思想 宗教によって 輝くのでしょうね
月月日日に強りたまへ です(^^)
2010/10/30(土) 午後 9:48