国が定めた被爆地域の外側にいたため被爆者と認められない 「被爆体験者」395人が
国と長崎県、長崎市に被爆者健康手帳の交付などを求めた訴訟の判決が25日、長崎地裁であった。
井田宏裁判長は「原告は原爆の放射能の影響を受けるような事情にあったとは言えない」などとして、
被爆者と認定するよう求めた請求を棄却。被爆体験者が当時いた地域を被爆地域とすることや、被爆者健康手帳の交付を求めた請求は「不適法」として却下した。原告は控訴する方針。
訴訟は
(1)被爆地域(爆心地から南北に約12キロ、東西に約7キロ)設定の妥当性
(2)原告が受けた原爆放射線による健康被害の有無
(3)被爆者援護法の解釈−などが争点。
判決は「原爆の放射線被害があったのは爆心地の半径5キロ以内」とする国の主張に沿った科学的知見を採用。
その上で、被爆地域が5キロを超えて広がったのは、「当時の長崎市の行政区域で定めたためで、科学的知見が根拠ではない」として、原告が原爆投下時にいた地点を被爆地域に含めなかったことは合理性を欠くとは言えないと判断した。
原爆放射線による健康被害については、原告は原子雲の下で呼吸や食事により放射性物質を体内に取り込み、内部被ばくによる健康被害が生じたと主張。
判決は「原告が急性症状と主張する、脱毛や下痢などは放射線以外に多種多様な原因で発症する」
「原爆から50年以上たって行われた聞き取り調査なので、記憶の混乱や変容の恐れが低いとは言えない」として退けた。原告側の専門家の見解も「合理的根拠を欠く」と否定した。
また、被爆者援護法の解釈では、原告側は「被爆体験者は同法に規定された被爆者に当たる」と主張したのに対し、判決は、原告の立証は不十分と指摘した。
今回の原告は67〜97歳の男女。ほかに、長崎県内外の164人が同様の訴えを長崎地裁に起こし、係争中。
原告団事務局長の岩永千代子さん(76)は「あってはならない判決だ。内部被ばくは明らかで、誰が見ても不合理な被爆地域の線引きが、どうして正当化されなくてはならないのか。これからもひるまず勝つまで闘う」と話した。