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知日から在日本へ進化しています。
日本の「反日報道」の愚かさも露呈していくでしょう。
「これは単なる雑誌ではない。中国人が日本を知るための『社会運動』だ」
中国の若者をターゲットに日本の文化や伝統、習慣などをさまざまな角度から掘り下げ、じっくり紹介する月刊誌「知日」の主筆で神戸国際大学教授の毛丹青氏(53)は、上海の日本総領事館が主催して18日に開いた講演会で日中の学生ら約100人を前にこう話した。
好奇心そそられる文化
2011年1月に北京で創刊された「知日」。毎号1つのテーマを特集しており、この夏は「怪談」を取り上げている。これまでも「萌(も)え」「偶像(アイドル)」といったサブカルから、「武士道」「礼儀」といった伝統文化、さらに「鉄道」「設計(デザイン)」といった硬いテーマのほか、中国の若者には想像もつかない「暴走族」にも迫っている。 多くの日本人には見慣れた現象や当たり前のことであっても、中国の若者には好奇心をそそられる不可思議な文化が、日本にはあるというのだ。
昨年11月号では「手帳最高」と題し、デジタル時代の今も、ビジネスマンから学生まで手書きの手帳をなぜ愛用し続けるのか、どう使いこなしているのかなど、その実用性と遊び心について写真やイラストをふんだんに使いながら、1冊丸ごとで解説している。
広告は掲載しない。1冊39元(約780円)と高めながら、毎月10万部前後も売れているのだという。
毛氏は「創刊した4年前の日中関係は戦後、最も緊張していた時期で周囲から猛反対されたが、奥深い文化を知ることに政治や経済とは違う第3の道があると考えた」と振り返る。
10年9月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で起きた中国漁船衝突事件で緊迫したが、反日感情が高まるタイミングだからこそ逆に「日本を知りたいと考える中国の若者が出てくる」と見立てたのが当たった。
コアな読者およそ10万人が支持する月刊誌の存在感は侮れない。そこには「反日」の気配は感じられないが、だからといって「親日」とはニュアンスも異なる。あくまで知的好奇心の対象としての日本文化がそこにある。
一方通行に近い意思疎通
この日の講演会に参加した上海理工大学3年生の張錦程さんは「高校生のときに『知日』を読んだことが日本語の独学を始めるきっかけだった」という。ネットワーク技術が専門の張さんは9月から福井大学に留学予定。「知日がかつて特集した『鉄道』に出てきた列車や路線を日本各地に訪ねたい」と目を輝かせた。
北京生まれで北京大学を卒業後、日本に留学し、そのまま日本に在住する毛氏。「知日」が中国で巻き起こした新たな現象を日本人にも伝えようと、今年1月に日本語によるダイジェスト版「知日 なぜ中国人は、日本が好きなのか!」を書籍として出版した。
反日デモが吹き荒れた創刊当時も、改善の兆しが見えたとはいえ必ずしも関係が順調ではない今も「それでも日本を知りたい」と考える中国の若者が少なくない事実を訴えたかったという。
一方、講演会後のパネルディスカッションに登場した愛知大学4年生で上海留学中の吉田龍史さんは「中国に来て分かったのは、日本人が考えている以上に中国人は日本のことを知っていること。日本人は中国のことをニュース報道くらいでしか知らないのではないか」と発言した。日中間の意思疎通はなお“一方通行”に近いのだろうか。
紛争を遠ざける「知恵」
毛氏は次なるステップも準備中だ。神戸国際大学に在学する中国人留学生らが自分の足で日本をリポートする内容をまとめる新たな月刊誌の「遊日通道」を年内にも上海で発行する。
例えば中国でも知名度の高い村上春樹さんの小説に出てくるスポットを中国人留学生が訪ね、その意味を探るといった切り口で、日本語に関心の高い10代から20代向けに編集する。毛氏は「『知日』を上回る読者の数を中国で獲得したい」と意気込んでいる。
毛氏の以前の教え子で中国に戻った留学生の李淵博氏(26)が編集プロダクションを上海で立ち上げ、版元となる上海の華東理工大学出版社と協力していく。
毛氏は「互いに知ることはバランスを取ることにもなる」と強調した。「知ること」こそが紛争を遠ざける民間ベースの「知恵」と言いたげだ。その意味から日本人も好き嫌いの感情論を脇に置き、より冷静に中国を知る努力をすべき時にきていることは確かだろう。
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放談「文化・歴史」
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