エクセルシア Season 12

大震災 原発災害 東北を忘れない

要談「海外被災地」

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再々掲載

ボクはおとうさんと山奥の村で幸せに暮らしていました。毎日畑で採れたトウモロコシとイモを食べて、川で魚を捕まえ、山で鹿を狩り、一日中一緒に過ごしていました。 
しかしある日、村にボランティアというやつが来ました。そのボランティアはニホンという海の向こうから来ました。そして、ボランティアはボクたちにこう言いました。 
「トウモロコシとイモばかり食べていたら栄養不足になる。これからはヤサイを育てて食べなさい」 

その日からおとうさんはヤサイを育てるために、一日中畑で働かなければならなくなりました。トウモロコシとイモは育てるために手間はかかりませんが、ヤサイは毎日世話をしなければいけません。おとうさんと一緒に川で魚を捕まえる時間はなくなりました。 
食事にはトウモロコシとイモの代わりに、ヤサイが出てくるようになりました。ヤサイとは、葉っぱが何枚も重なった丸い草やとても苦い緑色の実でした。ヤサイは初めて食べる味と触感で、また食べたいとは思いませんでした。それに我慢してヤサイを食べても、トウモロコシとイモと違ってすぐにお腹が空いてしまいます。 
またボランティアが来て、言いました。 
「君たちは貧乏で何もモノを持っていない。次はヤサイを売ってお金を稼ぎなさい」 
おとうさんはヤサイを売るために、毎日町と村を往復しなければならなくなりました。しかも、今までは自分たちで食べる分だけのヤサイを育てていましたが、これからは売るためにもっとたくさんのヤサイを育てなくてはいけません。おとうさんはヤサイを売ったお金でテレビを買いました。しかし、おとうさんと一緒に山で鹿を狩る時間はなくなりました。 

ある日、またボランティアが来て言いました。 
「もっと幸せになりたかったら、もっと働いてもっとお金を稼ぎなさい」 
おとうさんは一年中お金のことを考えるようになりました。今は昔よりもたくさんモノが家にあります。しかし、もうおとうさんにボクと一緒に遊ぶ時間はありません。ボクのことを考える時間もありません。おとうさんは朝早くから夜遅くまでお金を稼ぐために働いています。 

その様子を見て、ボランティアが満足そうに言いました。 
「この山奥の村も、ようやく幸せな暮らしに変わった」 
ボクの大好きだったおとうさんはもういません。ボクのおとうさんは、ボランティアというやつに殺されました。 
めでたし、めでたし?
 
 
これは「しあわせ」をテーマにした新聞広告コンテストの最優秀賞のコピーを見て、思いついた話だ。このコピーは、見方を変えると幸せの定義は変わることを表現している。
ある人にとってしあわせと感じることでも、別の人からみればそう思えないことがあります。反対の立場に立ってみたら。ちょっと長いスパンで考えてみたら。別の時代だったら。どの視点でその対象を捉えるかによって、しあわせは変わるものだと考えました。
(上記リンクの受賞者のコメントより引用)
僕はこのコピーを見たときに、芥川龍之介の小説「桃太郎」が思い浮かんだ。この小説桃太郎は一般的な昔話桃太郎のパロディである。大まかな話の流れは同じなのだが、登場人物の特徴が全く異なる。彼が書いた桃太郎に登場するのは「極悪非道の桃太郎」と「心優しい鬼」である。 

彼が伝えたかったことは、正義と悪は表裏一体の関係にあり、見方を変えると正義と悪は入れ替わるということだろう。桃太郎というTHE正義の味方は、見方を変えるとTHE極悪非道の悪魔に変わる。とすれば、同じくTHE正義の味方であるボランティアも、THE極悪非道の悪魔に変わる可能性がある。 
上の物語に出てきたボランティアとは、僕のことである。 
僕がやっていることは、満ち足りた幸せな暮らしをしている山奥の村人に「不幸な人生を送っている」という劣等感を植えつけ、彼らの食文化や伝統的な暮らしをぶっ壊すことではないか、と悩んでいる。 

さらに言うと、国際協力とは「小さな親切、大きなお世話」だとも思っている。国際協力活動を行うボランティアは「途上国の幸せのために」という正義を振りかざしているが、その活動は本当に途上国の幸せのためになる行為なのか。正義という言葉は、恐ろしく危険な凶器かもしれない。そんなことを、モヤモヤと悩んでいる。 
モヤモヤと悩んでいると、タンザニアに住んでいた先輩から、協力隊に参加する前にもらった言葉をふと思い出した。 
「協力隊に参加すると国際協力の意義について悩むだろうが、そんな時は焦って答えを求めずに悩み続けたらいい。実は、俺もまだ答えが出せずに悩み続けている」 
僕の悩みを予想しているとは、さすが先輩は偉大だなと思う。先輩とは数え切れないほど一緒にお酒を飲んで、数え切れないほど一緒にカラオケでAKB48を踊りながら歌い、数え切れないほど一緒に語り合ったから、僕のことを深く理解してくれていたのだろう。 
おかげで最近は真剣に悩めることに「幸せ」も感じている。青年海外協力隊は国際協力について考える最高の舞台だろう。そして2年間真剣に悩みながら活動すれば、自然と次に進むべき道も見えてくる気がする。 
*** 
ついにボクは決心し、おとうさんとボランティアに言いました。 
「この村にボランティアは必要ない。これからはボクがこの村を守る!」 
ようやくボランティアはニホンに帰りました。 
めでたし、めでたし  …?


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