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十八代中村勘三郎襲名披露五月大歌舞伎 5/24夜の部
演目
第一 義経千本桜 川連法眼館の場
第二 鷺娘
第三 野田版研辰の討たれ

 初めて歌舞伎の舞台を観に行きました。
感想は歌舞伎ってもう”伝統芸能”では無いのかって事でした。
 比較すべき以前の状態など知らない自分ですが、
昔からの技や演目や蓄積は素材として活かしながらも
それを我々のような現代の一般人に受ける娯楽として
生きたものにするのに成功している気がしました。

 第一の「義経千本桜」を観れば
歌舞伎にはやはりある確固たる型が存在して居る事は判ります。
これを演目のバラエティーの一つのパターンとして
座りよく位置づけるようになるには
相当の努力が関係者の中であったような気がします。
ありがとうございました。

 あるものを楽しむには二つの途があると思います。
一つはそのものが与えようとする感覚への刺激をそのまま楽しむという途。
ワインの甘さや喉越し、酸味の爽やかさを楽しむ事、
文章の綾に登場人物の気持ちを想像し感動する事、
バレイダンサーの華やかな手脚の動きに幻惑される事などは
感覚に依存しますので誰でも楽しむ事が出来ます。

 もう一つはその物を成り立たせている条件や知識の
集積の微妙な違いを楽しむという途。
ブルゴーニュのヴィンテージの評価の違いに
エマニエル・ルジェのワインは従うのか?
それとも意外性を見せてくれるのか?
あるいは最近再び流行しだしたファンタジー小説群について
トールキンとルイスどちらの影響が強いのか?
シルヴィ・ギエムの表現の違いを
プティパとベジャールで比較するとどうなるのか?
この様に楽しむにはその分野や背景について
受け手にある程度の知識がないと
難しい事は言うまでもありません。

 ところで自分は二つに途を分けて
単純に極端な例をあげて説明しましたが、
勿論事態はそんなに簡単じゃありません。
感覚で楽しむ事も経験という知識の集積の上に成り立っている場合が多いからです。
笑いがいい例ですが、
笑いは経験で予想される対象の行動と実際の行動のずれによって起こります。
奇妙な動きで笑いを取る芸人も
そうするのが当たり前の国に行ったら唯の通行人です。
これは物語におけるセンス・オブ・ワンダーも全く同様です。
地球は丸いと知っているからこそ宇宙空間に存在する
スペースコロニーの円筒形の大地に感動を覚えるのです。
もっと単純にファンタジーや民話においてドラゴンや鬼について
誰かに聞いてイメージした事がなかったら
その物語を理解することは難しいでしょう。

 何か古い歴史を持つ物を楽しむには
その前提となす経験を教養として受け入れなくてはならない為、
それを感覚として楽しむのにも知識が必要となります。
たまたま面白い事に出会ってもそれはその感覚を及ぼす経験の元が
たまたま続いていたというのに過ぎません。
演劇は特に笑いや物語、そしてしぐさに依存する割合が高い為に
必要な教養が他のものより多くなると思います。
相撲は人が争う姿に興奮を覚えれば楽しめますし、
古い造りの酒精強化酒も嗜好が合えば美味しいだけです。
(複雑な風味を味わうのにも訓練が必要ですがそれは今風の酒でも同じです)

 ただ、それも繰り返し観るなら
それは経験として感覚の中へと組み込まれてゆくと思います。
しかし、その過程が楽しいかどうかは判りません。
一見でおこごましいですが、
歌舞伎が元々大衆演劇だった事が幸いしているんじゃないでしょうか?
判りやすい大げさな動作、派手な衣装という要素は
物語として了解が一旦取られたら単純に面白いと思います。 
研辰のうたれは野田秀樹による現代風の演出による喜劇的な演目ですが、
伝統的な演目にも同じ様な要素がある為孤立した試みには見えませんでした。
玉三郎の舞踊そのものの魅力で見せる二本目と併せて
現代的な演劇としての面白さに
歌舞伎の”経験”を織り込んでゆくやり方はすごく良いと思いました。

 えー、免なさい。本当の事言って「討たれ」死ぬほど笑いました。
感動しすぎると理屈つけたくなるんです。
内容はともかく文章量が気持ちを表してるって事で(笑)。

閉じる コメント(10)

理屈(失礼!)をこねるのっておもいしろいですよ。嫌いじゃないです。しかも,初見の歌舞伎でこんなに語れるって単純にすごいなぁと思いました。ようこそ歌舞伎ワールドへ(フッフッフ)。次回は傾城(遊女)ものをお勧めします。

2005/5/25(水) 午後 6:48 tkc**

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>「現代的な演劇としての面白さに歌舞伎の”経験”を織り込んでゆくやり方はすごく良い」ってこと、私も諸手を上げて共感です!貪欲に「感情の導火線に火をつけよう」としてくれる様々な行為や工夫は観客としてこの上なく嬉しいものでしたし、その手段が横文字&ギャグをちりばめた疾走感だったのだもの。こういう表面的なことをあげつらっての「歌舞伎らしからぬもの」っていう批評はもちろんナンセンスでしょ!本質はそこではないのですから。感想、ものすごい感動と野田歌舞伎への傾斜っぷりが伝わってきますね〜(^^)

2005/5/25(水) 午後 8:34 [ 雪柳 ]

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実は、歌舞伎って興味があるものの、一度も行った事がないんです・・・。私にも楽しめるでしょうか??

2005/5/25(水) 午後 11:12 le_*u*a

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>tkcimさん。はひ、やって参りました(笑)。傾城ものですか?女形も色んな見せ場あるんでしょうね。楽しみっす。取り合えず効率的なチケット取得法を見付けねば・・・

2005/5/26(木) 午前 8:25 [ saltydog ]

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>hanaさん。歌舞伎を見慣れていない自分にとっては正直言って、あの演目が歌舞伎としてどのような位置づけにあるのかわかりません。詳しい人から見れば約束の破り方が見てられないって考えても納得できるパワーでしたしね。おっしゃるように演劇として捕らえるのか歌舞伎として捕らえるのかで評価変わってくるんでしょうね。その分野の”言葉”を知った上でその世界で遊ぶ方がより深い喜びをもたらしてくれるのも事実ですし。色々見てきたいと思います。

2005/5/26(木) 午前 8:43 [ saltydog ]

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>le fudaさん。いやぁ、全く予備知識の無い自分が楽しめたぐらいですから全然全く大丈夫だと思いますよ。解説のイヤフォンも借りられるし・・・ただ、あの値段がちょっと恐怖ですが。

2005/5/26(木) 午前 8:48 [ saltydog ]

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歌舞伎に詳しい友人がいるので、解釈など、とても助かっています。オペラでもそうですが、手ほどきをしてくれる人が居るというのは有り難い事です。(^^)

2005/5/26(木) 午後 2:21 [ sabrina ]

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う〜ん、やっぱり師匠が居ないと厳しいですかね(汗)。でも、まあここのブログにも詳しい人沢山いらっしゃるから何とか乗り切れるかな?<依存症人間

2005/5/26(木) 午後 3:41 [ saltydog ]

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確かに高い席は高いですもんね。最初は安い席からいってみようかな・・・。

2005/5/28(土) 午前 0:00 le_*u*a

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そうっすね。普通のミュージカルの倍ですもんね。

2005/5/29(日) 午後 10:52 [ saltydog ]

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