彷徨える法の支配

司法改革過渡期における軋轢の考察録

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 以下、法曹養成フォーラム第3回会議に関する情報の補足です。適宜画像を添付しています。今回のテーマは、世界的にも悪名高い、日本の弁護士達が登録(所属)する単位弁護士会に納入を義務付けられている「会費」の問題です。
 
 まず、日本の単位弁護士会による所属弁護士に対する懲戒処分の傾向に目を向けると、会費を滞納した場合には、事件放置や依頼人への裏切り行為といった非行事案よりも、退会命令が出されるリスクが極めて高くなると理解されています。ここでも弁護士業界の価値観もしくは遵法精神(コンプライアンス意識)は世間の良識から大きく乖離しています。
 
 そして、日本では弁護士法の規定により、法曹資格保持者が弁護士となる前提条件として必ず日本弁護士連合会(日弁連)および単位弁護士会の一つに登録することが義務付けられるという「強制加入制」が採用されているので、退会命令によって弁護士会に登録できなくなると、弁護士業務ができなくなります。つまり、会費を滞納した弁護士は失業者になりかねません。
 
 したがって、どんなに会費が他国の弁護士会や日本の隣接法律専門職の業界団体と比較して異常に高額であり、その使い道や日弁連・単位弁護士会の方針などが理不尽で納得がいかないとしても、事実上、会費の納入は強制的な性質を帯びることになるわけです。いつ引退しても構わないという意向を有するベテラン弁護士(特にボス弁=法律事務所の経営者である弁護士)などは別としても、収入が不安定な低所得層の新人・若手の弁護士達からすれば文字通りの死活問題となります。
 
 かかる問題点の解決策(おそらくは司法過疎地域に赴任したり、公益弁護活動に従事する弁護士を対象とした会費の減免制度創設や、さらには強制加入制廃止のための弁護士法改正)を探るべく宮脇淳委員(北海道大学公共政策大学院長)が会費に関する資料を日弁連に要求したところ、なぜか日弁連は誤ったデータの修正と称して遅れて資料を提出するという失態を演じました。
 
 ところで、宮脇氏が当該資料要求書で指摘した、いわゆる「上納金・隠れ会費」は本当に存在するのでしょうか。どこぞの将軍家の「埋蔵金」ではありませんが興味深い話です。
 
**********
 

法曹の養成に関するフォーラム第3回会議(平成23年7月13日開催)

資料

 
(中略)
 
 
イメージ 1

【資料6】「資料の要求について」(宮脇委員提出資料)に対する回答

    ※会議後に,作成者(日本弁護士連合会)から修正箇所があると連絡があったため,後日,修正版を掲載
 
(中略)
 

会議後に提出された資料

【資料6】修正版(平成23年7月14日)
    
「資料の要求について」(宮脇委員提出資料)に対する回答 [PDF]
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【出典】
 
**********
 
 
【参照ウェブサイト】
○「懲戒の種類」(『弁護士懲戒処分検索センター』より)
○「単位弁護士会の一覧」(ウィキペディア内『弁護士会』の項目より)
○「全国の弁護士会・弁護士会連合会」(日本弁護士連合会ウェブサイト内)
【参照法令:弁護士法の関連条文】
 
(弁護士の登録)
第八条  弁護士となるには、日本弁護士連合会に備えた弁護士名簿に登録されなければならない。
 
(登録の請求)
第九条  弁護士となるには、入会しようとする弁護士会を経て、日本弁護士連合会に登録の請求をしなければならない。
 
(入会及び退会)
第三十六条  弁護士名簿に登録又は登録換を受けた者は、当然、入会しようとする弁護士会の会員となり、登録換を受けた場合には、これによつて旧所属弁護士会を退会するものとする。
 第十一条に規定する請求により登録取消を受けた者は、当然、所属弁護士会を退会するものとする。
 
(弁護士法人の入会及び退会)
第三十六条の二  弁護士法人は、その成立の時に、主たる法律事務所の所在する地域の弁護士会(二個以上の弁護士会があるときは、当該弁護士法人が定款に記載した弁護士会)の会員となる。
 弁護士法人は、所属弁護士会の地域外に法律事務所を設け、又は移転したときは、法律事務所の新所在地においてその旨の登記をした時に、当該法律事務所の所在する地域の弁護士会(二個以上の弁護士会があるときは、当該弁護士法人が定款に記載した弁護士会)の会員となる。
 弁護士法人は、その法律事務所の移転又は廃止により、所属弁護士会の地域内に法律事務所を有しないこととなつたときは、旧所在地においてその旨の登記をした時に、当該弁護士会を退会するものとする。
 弁護士法人は、その法律事務所の所在地に二個以上の弁護士会がある場合に限り、定款を変更することにより、所属弁護士会を変更することができる。
 弁護士法人は、同一の地域にある複数の弁護士会に所属することはできない。
 弁護士法人は、第二項又は第四項の規定により、新たに弁護士会に入会したときは、入会の日から二週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を当該弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。
 弁護士法人は、第三項又は第四項の規定により、所属弁護士会を退会したときは、退会の日から二週間以内に、その旨を当該弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。
 
(会員)
第四十七条  弁護士、弁護士法人及び弁護士会は、当然、日本弁護士連合会の会員となる。
 
(最高裁判所の権限)
第四十九条  最高裁判所は、必要と認める場合には、日本弁護士連合会に、その行う事務について報告を求め、又は弁護士、弁護士法人及び弁護士会に関する調査を依頼することができる。
 
(懲戒事由及び懲戒権者)
第五十六条  弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。
 懲戒は、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会が、これを行う。
 弁護士会がその地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して行う懲戒の事由は、その地域内にある従たる法律事務所に係るものに限る。
 
(懲戒の種類)
第五十七条  弁護士に対する懲戒は、次の四種とする。
 戒告 
 二年以内の業務の停止
 退会命令
 除名 
 弁護士法人に対する懲戒は、次の四種とする。
 戒告 
 二年以内の弁護士法人の業務の停止又はその法律事務所の業務の停止
 退会命令(当該弁護士会の地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対するものに限る。)
 除名(当該弁護士会の地域内に主たる法律事務所を有する弁護士法人に対するものに限る。)
 弁護士会は、その地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して、前項第二号の懲戒を行う場合にあつては、その地域内にある法律事務所の業務の停止のみを行うことができる。
 第二項又は前項の規定の適用に当たつては、日本弁護士連合会は、その地域内に当該弁護士法人の主たる法律事務所がある弁護士会とみなす。
 
【補遺】 日弁連が主張する財政版・弁護士自由自治
 

日弁連の財政

日弁連の弁護士制度の最大の特色が弁護士自治にあることは言うまでもありませんが、このことは日弁連の財政面においても確立されています。
 
日弁連が自主的に会活動を行うためには財政的に独立していなければなりません。そのため、日弁連の経費は会費、登録料、寄付その他の収入をもって支弁することになっており(日弁連会則91条)、使途について外部から制約を受けることはありません。
 
なお、日弁連の年間予算は、2011年(平成23)年度の一般会計で約62億円ですが、繰越金を除く日弁連の諸収入のうち会費(月額14,000円)の占める割合が90%程度です。
 
【出典】
 
【2011年8月31日付:再補遺】
「日弁連と弁護士会の会費のために働く弁護士」(『弁護士と闘う』より)
http://blogs.yahoo.co.jp/nb_ichii/32824813.html
 

閉じる コメント(10)

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上納金・隠れ会費の資料は日弁連なにも出していませんね。宿題再提出です!

2011/7/16(土) 午前 10:50 [ shiho ]

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富山県はずば抜けていますね☆

2011/7/16(土) 午後 5:11 [ 冷静に新潟県を見つめる会 ]

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こんばんは。

極めて高額な会費ですね。
なので、弁護士会は、会員の不正を必死に守る。
そんなストーリーですね。
会費未納が一番重い 処分ですもんね。☆

2011/7/16(土) 午後 8:47 きぼう

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内緒さん、コメントとポチありがとうございます。
いつも御高覧いただき感謝申し上げます。

2011/7/17(日) 午前 2:52 [ フットマン@LAW ]

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shihoさん、コメントありがとうございます。
ついでに集めた会費の使途を公開してもらいたいですね。
弁護士会の役員達の給与を払う余裕があるなら(以下略)。

2011/7/17(日) 午前 2:55 [ フットマン@LAW ]

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改革さん、コメントとポチありがとうございます。

そうなんですよね。確かに富山県すごいことになってます。要は、東京弁護士会のように会員弁護士が多いところは分母が大きいので、会員1人当たりの会費を比較的安くできるそうですが、会員数(弁護士人口)が少ない富山や島根や釧路などの単位弁護士会だと分母が小さいので会員弁護士一人当たりの会費が高く跳ね上がるという理屈のようです。

2011/7/17(日) 午前 3:03 [ フットマン@LAW ]

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きぼうさん、コメントとポチありがとうございます。

まったくもって御指摘の通りで、会費を払っている弁護士は事件放置しようが預かり金をネコババ(業務上横領)しようが依頼者を裏切って秘密を相手方にばらす守秘義務違反を故意に犯そうが戒告で済ますくせに、会費を滞納している弁護士にはいきなり退会命令を喰らわすなど極めて厳しくなります。公正らしさの確保や比例原則の遵守など微塵も見られません。

2011/7/17(日) 午前 5:39 [ フットマン@LAW ]

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日弁連はフォーラム当日も資料は出しており、隠れ会費とか触れていないということで批判されていたらしいので、それを修正するのかと思ったら結局修正は数字の間違い部分だけで、隠れ会費には触れずじまいですね。なので、やっぱり宿題はまた出し直しを求められるわけです。

あと富山は地方代表で日弁連が恣意的に選んで出しただけでトップではありません。

会費の使途については批判対策のためのカラーパンフが日弁連から出ています。会務やらなんやかも含めて公益活動とみなし、「大半は公益のために使っています」的な言い訳満載。会館と会館にいる職員経費が高くついているんですけどね。

2011/7/17(日) 午後 3:37 [ shiho ]

Shiho さん、コメントありがとうございます。いつも貴重な情報を提供して頂き感謝申し上げます。

一般人からすれば、日弁連はサボタージュしてるようにしか見えませんね。使途も人件費や新会館建設費が大半で、プロボノや司法過疎対策がおろそかになっているのに、弁護士の公共性が高いから給費制維持のために税金を出せと主張するのは、あたかも金持ちが生活保護を要求するがごとしですね。

新会館建設等の贅沢をする余裕があるなら、法科大学院生や司法修習生のための奨学金に回せと、未だに老朽化した庁舎で仕事をしている財務省関係者の方々は日弁連に言いたくなるでしょうね。

2011/7/17(日) 午後 9:25 [ フットマン@LAW ]

内緒さん、コメントありがとうございます。

まあ、あくまでも想像の話ですが、あながち的外れではなさそうなので日弁連への風刺として書いてみたコメントでした。やはり、自分たちは後回しでないと示しがつかないのでしょうね。

2011/7/18(月) 午後 8:54 [ フットマン@LAW ]


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