彷徨える法の支配

司法改革過渡期における軋轢の考察録

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 今回の記事は、約3か月前の菅政権によるハーグ条約加盟方針の閣議了解以降の動静の一部を備忘録代わりに投稿したものです。
 
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ハーグ条約加盟国間における子の返還スキーム
 
【出典】
 
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<ハーグ条約>加盟方針を閣議了解 DV、虐待児返還は拒否
 
毎日新聞 520()1151分配信
 
 政府は20日午前、国際結婚が破綻した夫婦間の16歳未満の子どもの扱いを定めたハーグ条約に加盟する方針を閣議了解した。菅直人首相が26、27日にフランスで開かれる主要8カ国(G8)首脳会議で加盟方針を表明する。配偶者への暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)や児童虐待が疑われるケースでは返還を拒否できる規定を法案に盛り込むことも決めた。

 
1月時点の条約加盟国は84カ国。G8では日本とロシアが未加盟で、欧米各国から早期加盟を求められていた。江田五月法相は20日の会見で、近く法制審議会(法相の諮問機関)に法整備を諮問する考えを表明。来年の通常国会への条約承認案と関連法案の提出を目指すが、政府内には年内の国会提出を求める意見もある。

 親からの返還申請を受け、子どもの所在調査や裁判所への返還申し立て手続きに当たる「中央当局」は、外務省に設置する。子どもが元の居住国に戻ることで身体的・精神的な害を受ける恐れがあると裁判所が認めれば、返還を拒否できる規定も法案に明記する。

 条約は子どもの利益を最優先としており、離婚後も子が父母双方と面会、交流できる権利を保障している。ただ、日本の民法は、離婚後の親権を片方の親のみに認める「単独親権制度」をとっており、親権を持たない親と面会する権利は必ずしも保障されていない。そのため、市民団体などから、共同親権制度に改めるべきだとの声も出ているが、政府は「(共同親権は)条約加盟への必要条件ではない」として、民法改正は見送る

 また、加盟前の連れ去り行為は対象外となるため、中央当局で面会、交流の実現をあっせんすることも検討する。
【石川淳一、犬飼直幸】

 ◇ハーグ条約

 国際的な子の奪取の民事面に関する条約(1983年に発効)
。離婚などによる国境を越えた移動自体が子の利益に反し、養育する監護権の手続きは移動前の国で行われるべきだとの考えに基づき定められた国際協力のルール。子を連れ出された親が返還を申し立てた場合、相手方の国の政府は元の国に帰す協力をする。
【出典】
 
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ハーグ条約:子の利益、十分検討を 返還拒否は限定的
 ハーグ条約への加盟方針が20日に閣議了解され、政府は必要な国内法整備に着手する。外務省によると、外国から子供を連れ去ったとして日本政府に寄せられた事例は今月現在で米英など4カ国で209件。条約に加盟していない現状では、連れ去った親は元の国に戻れば、誘拐罪などで訴追されるリスクを負う。世界では年約1300件が条約に沿って処理されているといい、国際結婚の増加を背景に、国際ルールへの参加は時代の要請とも言えるだろう。
 だが、日本人母が子を日本に連れ帰るケースが目立ち、中には子供や母が父から虐待を受ける例も多いという。条約は、子供を肉体的・精神的危険にさらす場合には返還を拒否できると定めるが、世界的には裁判所による返還拒否決定は20%。拒否決定は限定的だと言わざるを得ない。
 こうした実態から「条約加盟は子の利益につながらない」(ある法律家団体)との声がある。一方で、法務省幹部は「日本だけ例外規定を甘くすれば、国際世論の批判を浴びる」と懸念するこの間にも日米では、離婚後に日本に連れ帰られた子供を取り戻そうとした米国人夫が日本の警察に逮捕され、逆に米国の裁判所で日本人の元妻に5億円弱の支払いを命じる判決を得た例も出ている。
 今回の加盟方針は、米欧主要国からの「外圧」を受けて、菅直人首相がG8(主要8カ国)首脳会議の「手みやげ」として準備を急がせたとの指摘が政府内で出ている。早期の立法化と条約加盟を楽観する見方もあるが、法整備に当たっては親の切実な声にも耳を傾け、子の利益を真に追求するための十分な検討が必要だ。【石川淳一】
毎日新聞 2011520日 1151分(最終更新 520日 1323分)
 
【出典】
 
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ハーグ条約に加盟するのであれば関連法の整備を厳密に行うべきでは?
 
ニューズウィーク日本版 520()1510分配信
冷泉彰彦(作家・ジャーナリスト)

 ハーグ条約加盟に政府は動き始めました。

 この問題は、離婚裁判を経ないで、あるいは離婚裁判をしたが共同親権という判決を無視して、子供を連れて日本に帰国した女性たちが、アメリカから「刑事被告人」として国際指名手配を受けている(少なくとも125件はあるそうです)件が背景
にあります。アメリカに加えて、カナダ、フランスなどから日本は「拉致犯罪国」と指摘され「拉致をやっている国が北朝鮮を告発する資格なし」という暴言まで浴びているのです。

 ハーグ条約というのは、こうした国際離婚における親権争奪事例に関しては、基本的に元の居住国に子どもを戻すというもので、日本政府はここ数年間「渋々ながら」加盟を検討してきました。それが今回、本日5月20日、菅内閣による加盟への閣議決定と関係法の整備へという事態に至ったわけです。

 ちなみに、日米関係との関連で言えば、「トモダチ作戦」との関係でアメリカがバーター取引を要求してきたのではない思います。ですが、日本の世論向けに「何かお土産を」ということで出す「モノ」としては比較的抵抗がなさそうだ、そんな判断は菅政権の政治感覚にはあるのではないか、そう見ておくべきでしょう。
(中略)
 まず政府案では、DV被害者の場合は子供の送致は行わないというのですが、ハーグ条約の主旨からすると厳密に言えば「子どもが虐待の被害にあっている」ケースは考慮されるのですが、「母親はDVの被害があるが、子どもと父親の関係には危険性は証明できない」ケースでは、子どもは取られてしまう可能性があるのです。この点に関して言えば、DVの被害を背負った母親が、子どもまで取られてしまうという常識的には考えられないケースが発生する可能性があるわけです。

 こうしたDV被害のケースに関しては、日本政府としては米国で発生したDV被害なら堂々と米国で告発し、慰謝料を取り、離婚裁判も有利に運べば100%の親権も取れる、そう考えているかもしれません。ですが、仮に犯罪が立証されて相手を刑事罰に服させ、民事も勝って慰謝料も親権も取っても、日本女性は親子で日本に帰国できない可能性がある
のです。というのは、日本の民法では、離婚後に「親権のない方の親の面会権」が保障されていないのです。この点をタテに取って、親権を取れないようなDV夫でありながら、元妻と子どもが「米国領土内にとどまる命令」を裁判所から引き出すことが可能になっているのです。

 そこで今回の加盟と同時並行で「面会保障法」という法案が検討されているようです。国際的な常識に基づいて「面会権」を保障すれば、100%親権を取った親は子どもを連れて日本に帰国できる
、理屈からはそういうことになります。ただ、その場合は、元DV夫が、元妻に対してこれ以上の精神的な危害を与えないという保障が必要です。

 また、この面会保障法と並行して、共同親権を認めるような法改正の動きもあるようです。結果的に「面会保障」「共同親権」更には「養育費の強制差し押さえ」という3点セットが揃えば、実質的に民法などの離婚法規が国際標準に限りなく近いものになり、国際間の離婚裁判を日本の法廷で行う場合に、相手が忌避できなくなるかもしれません
実は2009年に私が展開した議論は、こうした方向を目指すものであり、その点では政府や議員有志などによる努力には一定の評価を与えることはできます。

(中略)
 ハーグ条約と整合性を取るために、離婚法制を形式的に国際標準に合わせるだけでは十分ではありませんそれによって今後発生するであろう、子どもと離婚後の両親の関係、子どもと離婚後の両親の新しい配偶者との関係などにおいて、心身共に子どもが保護されるように、カウンセリングや強制力を持った子どもの保護体制などを総合的に整備すべきと思います。国際的な事例も日本で処理できるようにするとしたら、こうした子どものケアという意味でも国際的な対応が必要になってきます。

 いずれにしても、この件は、問題が日本の社会全体へ与えるインパクトの割には、十分に議論が成熟しているとは思えません。ガイアツに端を発したものではありますが、改革の方向性としては避けて通れない議論
と思います。その意味では、夫婦別姓だけでも高齢の有権者の意識を斟酌しすぎて停滞していた日本の与野党ですが、今回こそは迅速な行動が求められます。その一方で、様々な問題を抱えた現在の日本の社会においては、幅広いケースに対応してキメ細かい対応を詰めてゆかなくてはならないのも事実です。広範な議論の広がりを期待したいと思います。
【出典】
 
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「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」第一回会合

平成23727
  1. 27日(水曜日)16時から18時まで,外務省において,「ハーグ条約の中央当局の在り方に関する懇談会」第一回会合が開催されました。
  2. この懇談会は,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)に関する関係閣僚会議における了解事項等を踏まえた同条約締結のための国内担保法案の作成に向け,外部の有識者等から広く意見を聴く場として立ち上げられました。本日の会合には,座長を務めることとなった小早川光郎・成蹊大学法科大学院教授のほか,棚村政行・早稲田大学法科大学院教授,藤原靜雄・中央大学法科大学院教授,日弁連から大谷美紀子弁護士及び杉田明子弁護士,関係府省庁(法務省,内閣府,厚生労働省,総務省,文部科学省,警察庁)等の関係者が出席しました。
  3. 本日の懇談会では,冒頭,山花郁夫外務大臣政務官から,本年5月にハーグ条約の締結に向けた準備を進めることが閣議了解されたことを受け,外務省は法務省とともに国内担保法の作成作業を進めている,法務省が司法手続部分につき法制審議会を開始したのに続き,外務省としても中央当局のあり方につき透明性を確保した議論を行うために本日懇談会を設置することとした,子の福祉に資するような良い制度の策定に向け政府一体となり議論を進めていきたい旨挨拶を行いました。
  4. その後の意見交換では,中央当局として必要な権限や体制整備,諸外国の法制等の調査,子の所在特定の方法や問題点,個人情報保護との関係,任意の解決の促進等について,出席者間で活発な意見交換が行われました。
【参考】
懇談会の議事概要及び会議資料は,外務省ウェブサイトにて掲載される予定です。
 
 
【出典】
 
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