彷徨える法の支配

司法改革過渡期における軋轢の考察録

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法曹の養成に関するフォーラム第3回会議(平成23年7月13日開催)
 
【出典】
 

議事録

 
(前略)
 
○佐々木座長 ありがとうございました。ほかに何かこの統計調査等につきまして御質問あるいはコメントはございませんでしょうか。よろしゅうございましょうか。
 では,先ほど来の説明を踏まえまして,これからの制度をどうしたらいいのかということにつきまして,これから皆様から忌憚のない御意見を伺わせていただきたいと思います。今日はお昼までということでございますので,これから1時間20分ぐらいは時間がございますので,御発言をよろしくお願いしたいと思います。どなたからでももちろん結構でございますが,それでは最高裁判所からどうぞ。
 
○菅野審議官 関係機関として発言させていただきます。
 
 まず,先ほど日弁連の川上オブザーバーからこの問題についての考え方及び新たな提案ですか,そのようなものをいただいたところでございますけれども,提案いただいた一部減額の上での給費制の復活の当否ということにつきましては,正に立法政策の問題であると私ども最高裁判所は考えております。ただ,司法修習を所管し,また法律で定められているとおり,貸与制の実施に向けて必要な最高裁判所規則の制定あるいは予算の要求等を行ってきた私どもといたしますと,率直に申し上げて,新提案の根拠についての説明は不十分であり,今回の経済調査の結果との関係も不明であって,そのような意味では非常に困惑していると申し上げるしかございません。
 
 司法修習生全員に対し給費制を維持することにつき,どのような実証的な根拠があるのかという点につきまして,昨年秋以来,私どもは日弁連にお尋ねしているところでございますが,今回このフォーラムの事務局が経済調査を行って,その結果についてただいま御報告をいただいたところです。その結果に照らして,給費制を従来どおりの形で,あるいは一部減額した上で復活することを基礎付けるようなデータがあるのかどうかという点につきまして,十分な御議論をしていただきたいと考えております。国民的な視点に立てば,給費制を行うことについての合理性が検証されなければならないのではないかと考えておりますが,先ほど事務局から説明をいただいたように,相当高額の収入を得ている弁護士が多いという経済調査の結果のもとで,将来高額収入が得られることが見込まれる司法修習生についてまで一律に給費を行うということには疑問が生じないのであろうかという感じがいたします。このような疑問に合理的な説明がないまま給費を行うということになりますと,いわゆるばらまきを行っているのではないかという批判を招かないのかという心配があるようにも思います。
 
 最高裁判所では,昨年秋にも,本日御出席の翁委員や鎌田委員にもメンバーになっていただいている司法修習委員会におきましてこの点について議論していただいているわけですが,その際にも貸与制実施に支障を生じるような事態は存在していないのではないかという趣旨の御意見を多くいただいているところです。今回の経済調査の結果はこのような司法修習委員会の指摘を裏付けているのではないかという感想を抱くものでありますし,今年に入ってからの社会経済情勢の悪化というものを頭に思い浮かべますと,給費制の維持にこだわるようなことになれば,他の一般の国民の方々と比べて法律家になる人間が特別扱いを受けて負い目を感じるようなことにならないかという心配も,法律家の一員として率直に感じるところでございます。
 
 早いもので,既に次期第65期の修習生が11月には修習を開始するという状況になっております。昨年は,貸与制がいったん施行された後に,私どもがよく分からない状況のもとで,議員立法によりこれを遡及的に延期するという正に異例の事態が起こり,現場には大きな影響が生じて,その対応に苦慮することになりました。今回は昨年とは異なり,正にこういうお忙しい委員の先生方をお迎えしてこのようなフォーラムで議論していただくという大変貴重な機会が設けられているわけですので,私どもとしてもそういう意味では安心しているところでございます。是非このフォーラムで早期にきちんとした結論を出していただけるようにお願いしたいと申し上げます。
 
○佐々木座長 ありがとうございました。
 
 それでは,委員からどうぞ。
 
○宮脇委員 今のお話の点の延長なんですけれども,先ほど川上オブザーバーのほうからいろいろと教えていただきまして,東日本大震災の非日常的なことに余りバイアスをかけて日常的な司法制度を考えてはいけない,その点からはもっと慎重にやるべきだと,この点については私もそのとおりだと思います。そこを踏まえても,先ほど一つの案として出されたこの減額ということですけれども,私は,これについて議論するかどうかの前にもっときちんと整理していくべき事項があって,司法修習に対して財政負担をする必要性の有無,それから必要性があるとすれば,それをどういう対象でどういう方法でやるのか,貸与制も含めて,そこの部分をきちんと議論する。貸与制については,そこから外してしまうというのではなくて,重要な選択肢として議論するべきだと思います。といいますのは,先ほど経済的弱者というところについてという御説明があったわけですけれども,今,最高裁判所さんのほうからもありましたけれども,画一的に行う,ほぼ均一に給付を行うというやり方というのが,むしろ経済的弱者にとって考えてみると,そこに厚く措置してあげる方法を選択肢の一つとして考えていくことも必要ではないか。逆に,経済情勢が大きく違う中で画一的に扱ってしまうことは,表面的には平等であったとしても,不公平ではないかといった点は強く感じるところでございます。
 
 それから2点目といたしましては,先ほどの修習生の皆さんの負担の問題でございます。この点に関しても,確かに債務とかを抱えていらっしゃる,あるいは抱えていない方でも,それは親の財産とか,そういうところから移転しているということがあると思います。そこからさらに弁護士になられて,6年目までの所得というのが明らかになったわけです。こういったものについて,それでは当事者というのが修習生の皆さんとか弁護士さんだけなのかというのがすごく疑問に思います。結局,先ほどもありましたように,納税者の方というのも明らかに当事者であるということから言えば,最近所得が落ちてきているというのは恐らく大多数といいますか,ほとんどの人であるわけで,その中で所得が落ちてきているということについてどこまで重きを置かれるのか。そのように,当事者という範囲のことについてもきちんと認識していきませんと,いい結論を得ても,それに対する信頼感がなくなると思います。
 
 意見ということでしたので,まずこの2点については申し上げたいと思います。
 
○井上委員 今,宮脇委員がおっしゃられたことは,まさにこの制度をつくるときにかなり突っ込んで議論した点なのです。制度改革の全体を見て議論し,しかも,法科大学院への援助とか奨学金の充実という法曹養成制度の改革に伴う経費のみにとどまらず,先ほど司法法制部長から御説明がありました,司法ネットないし法テラスの整備や裁判員制度等々,他の新たな制度の整備にも相当のお金が掛かる当時もそれほど余裕のある財政状況ではなかったわけで,その下で国民に御負担をお願いするのに理解が得られるかどうか,理解が得られると思われる合理性のあるものからプライオリティーを付けていくべきだという考え方で全体の配分を考えていった結果なのです。ただ,もちろん,法曹志望者の中には資力の十分でない方もおられるので,公平性の観点からそういった事情の方たちにも法曹になる機会を十分担保しなければならない。その方策として貸与制という制度にすることにしたわけです。この貸与制というのは,修習を受ける実費は全額無料というか国庫負担であることを前提として,その上で個々の修習生の生活費としてどれだけのものを援助するかという観点から組み立てられており,一般の資金貸与などに比べて相当に有利な条件で貸与する制度とした。私はこの制度設計の作業の過程に参与していたのですが,そこまで十分考えてつくり,それで軟着陸のために周知期間を5年置いて実施することにより,ようやく制度として全体が完結するというところになって,いきなり,ここの部分だけ問題だから先延ばしあるいは取りやめにすべきだという議論が出てきたというのは,財務副大臣が第1回の冒頭におっしゃったとおり,非常に不可解で納得がいかないところがあるのです。
 
 もう一つ,志願者減の話を川上オブザーバーはされたのですが,御発言の中でいみじくも言っておられたように,志願者が減っている最大の原因は,司法試験合格者の数が低迷というか伸び悩んでおり,合格率が下がっているということにある。社会人については特にリスクが高いわけで,そこに主因があるのに,日弁連では,他方で,合格者数を更に削減すべきだということをおっしゃっており,言っておられることが矛盾しているとしか思えません。
 
 また,法科大学院から司法試験,司法修習を経て法曹資格を得るまでに全体として5年間という長期間を要するという御指摘も,それはそのとおりなのですけれども,制度改革以前の状況を考えてみますと,大学在学中から司法試験に挑戦して受かるとしても,30歳前後になってようやく受かる。しかも,合格率は3%くらいでしかありませんでしたので,多くの人はそれでも受からなかった。その何年もの間どうやって受験勉強をしていたのかというと,多くの人は予備校に行っており,その費用だけでも当時の額で数十万円から100万円を超えるという状態で,これ以外に生活費等が当然かかっていた。例外的な人はいましたけれど,多くの人はそれくらいの状況におかれていたのです。それに比べて今の制度の方が,もちろん万全とは言えないですけれども,相当に整備され改善されていると私などは思っています。
 
 実際に学生たちと話して,なぜ法科大学院を選ぶ人が減ってきているのかと聞くと,司法試験に受かった後の給費制・貸与制の問題ではなく,それより前のほうのハイコスト・ハイリスクにあるという答えが返ってきます。ロースクールにお金が掛かるのに,司法試験に受かるかどうか分からない。こういった状況がコストに比べて非常にハイリスクだということなのです。ですから,そこのところをどうやって手当てしていくかということが,むしろ肝要なのではないかと私は考えます。
 
 
 
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【構成員名簿】
 
【第3回会議の議事録の出典】

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