国際社会におけるアメリカ司法制度の高い権威に基づく影響力を維持する秘訣はこんなところにもあるのではないでしょうか。
日本の非行裁判官に対する刑事裁判では、ほとんどの場合、執行猶予がつきます。今回のアメリカ非行裁判官のケースは、司法作用そのものに関する不祥事・犯罪(汚職)であり、賄賂の見返りにインチキ裁判をずっと続けてきたので、日本の非行裁判官のケースと単純に比較はできませんが、一般の日本人の感覚でいえば、やはり非常に厳しい対処でしょう。同時に、普通の日本人の目には、こうした不祥事に対する、かかる厳しい懲罰は、おそらく望ましいものと映るようにも思われます。
「コンプライアンスとは、つまるところ、信賞必罰を必ず人事制度において遵守ないし断行することである」というのが私の持論ですが、やはりこういう報道を見ると再確認させられます。「そこまでしないといけないのか!?」と思われるかもしれませんが、そこまでやって初めて、不祥事・非行によって喪失した司法制度・司法権ないし裁判所・裁判官といった「制度・組織・構成員」に対する国民・住民や顧客・依頼者といった「ステークホルダー」(利害関係者)の信頼・信用を回復できるのです。
従って、日本の弁護士懲戒処分制度など、お話になりません。一刻も早く、現行弁護士法を改正して、日本人の良識に適った新制度へと移行させる必要があります。
以下、報道からの転載です。私が一部編集しています。
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【アメリカの事件報道】
米の元判事に禁錮28年
送致見返りに鑑別所から現金
2011年8月13日11時19分配信
米国東部ペンシルベニア州の連邦地裁は11日、同州の少年審判所の元判事マーク・シャバレラ被告(61)に、禁錮28年を言い渡した。元判事は、少年を私営の少年鑑別所に送致する見返りに、知人の運営業者などから約100万ドル(約7700万円)を受け取っていた。
AP通信などが伝えた。元判事は、知人が運営する鑑別所が州や郡からより多くの予算を受け取れるよう、無理やり少年の送致件数を増やし、鑑別所側から謝礼の金銭を受けていたとされる。不正利得や資金洗浄など12件の罪について有罪の評決を受けていた。
12年間にわたり、少年審判を仕切ってきた元判事は厳しい決定で知られ、ナツメグの瓶を盗んだだけの少年も送致していた。管轄内で拘置される少年の比率は州平均の倍以上にのぼり、問題となっていた少年鑑別所の収容人数は常に一定の水準で推移していた。
【出典】
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更正施設の運営企業から金を受け取った元判事、起訴事実認める
- 2009年02月17日 12:11 発信地:ワシントンD.C./米国
【2月17日 AFP】
多数の未成年者の被告を民間企業が運営する更生施設に送る判決を出す見返りに、これらの民間企業から260万ドル(約2億4000万円)以上の金を受け取っていたとして訴えられていた米ペンシルベニア(Pennsylvania)州ルサーン(Luzerne)郡の元判事2人が12日、連邦裁判所で司法取引に応じ、起訴事実を認めた。2人に審理を担当された未成年者の家族は怒りをあらわにしている。
マーク・シャバレラ(Mark Ciavarella)、マイケル・コナハン(Michael Conahan)両元判事はPA Child Careなど複数の民間企業との間で、未成年犯罪者を少年更正施設に送る判決を出すことを保証するとともに、未成年犯罪者用の更正施設建設を後押しすることを約束していたことを認めた。
法律問題をかかえる青少年や家族を支援する「Juvenile Law Center」(未成年法律センター)によると、ルサーン郡では、両判事が在任中の2002年から2007年にかけて有罪判決を受けた13-18歳の未成年者は5000人以上にのぼり、うち2000人以上が更正施設に送られたという。
4ドル(約360円)の瓶入り香辛料を万引きしたとして9か月間更正施設に入れられた例や、廃屋となったビルに侵入した少年が数週間にわたり週末を更生施設で過ごさせられたなどの例があったという。ほとんどの場合、保護観察官の意見に反して子どもたちは自宅から遠く離れた施設に送られていた。
同団体のマリー・ローダ(Marie Roda)氏は、こうした未成年の多くが低所得で教育水準が低い家庭の出身で、両元判事による不正行為の「格好の餌食」にされたと話す。数十件の相談が寄せられており、集団訴訟を起こす方針だという。すでに個別に裁判を起こした家庭もある。
司法取引をした両元判事には7年以上の禁固刑が科されるが、連邦裁判所は最高25年の厳しい判決を言い渡す可能性もある。判決が出るまでには数か月かかる見通し。
(c)AFP/Virginie Montet
【出典】
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【日本の事件報道】
2001年11月28日 朝日夕刊
国会弾劾裁判所 村木高裁判事を罷免
国会の裁判官弾劾裁判所(裁判長・葉梨信行衆院議員)は28日、村木保裕・東京高裁判事(43)を罷免する判決を言い渡した。14〜16歳の少女3人を相手に買春した行為が「裁判官としての威信を著しく失う非行」にあたると判断。「国民が裁判官に期待する良心が一片でもあれば到底行い得ない行為を重ね、司法に対する信頼を揺るがした」と述べた。判決は宣告と同時に確定した。
裁判官が罷免されるのは、担当する破産事件の破産管財人からゴルフ道具や背広を受け取ったとして東京地裁の判事補が81年に弾劾裁判を受けて以来、20年ぶり。47年の弾劾裁判制度発足後、罷免された裁判官は計5人となった。
罷免判決により、村木氏に退職金は支給されない。検察官や弁護士になるための法曹資格も失ったが、5年たてば弾劾裁判所に資格回復の検討を求めることができる。
村木氏は5月に児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で逮捕され、直後に退官願を提出した。しかし最高裁は退官手続きを進めず、国会の裁判官訴追委員会に罷免の訴追を請求。8月に弾劾裁判所に訴追されていた。その手続きが進んでいたために身分は判事のままだった。
刑事裁判では、すでに8月、東京地裁で懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受け、確定している。
【出典】
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【参照文献】
○「裁判官の不祥事について考える」(サイト『ゴマのひとりごと』内ページ)
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内緒さん、コメントとポチありがとうございます。
確かに他国のこととはいえ絶句ものですよね。聖職者しかも判事閣下がこれでは示しがつきませんね。
もっとも、事後に厳罰に処したアメリカ連邦地裁は流石だとも思いました。キチンと司法制度の自浄作用が機能してますから、日本の弁護士懲戒処分制度よりはずっとマシですね。
2011/8/15(月) 午後 0:33 [ フットマン@LAW ]