彷徨える法の支配

司法改革過渡期における軋轢の考察録

法律学

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法律学の解釈論や用語の説明です。

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 このへんで、備忘録の意味も兼ねて、学校での体罰および児童虐待に関する法律条文と判例・裁判例について記録しておこうと思います。といっても、学校教育法と民法の条文を2つだけ紹介したうえで、これらに関する判例・裁判例に言及するに留めます。いわば、「基礎・土台の初歩」みたいなものです。
 
 まずは、学校での体罰についての根拠条文と判例(裁判例)です。
 
【根拠条文】
 
学校教育法
第十一条
 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。
 
 
【判例・裁判例】
 
 
事件番号
平成20()981
事件名
損害賠償請求事件
裁判年月日
平成210428
法廷名
最高裁判所第三小法廷
裁判種別
判決
結果
破棄自判
判例集等巻・号・頁
民集 第634904
 
原審裁判所名
福岡高等裁判所  
原審事件番号
平成19()547
原審裁判年月日
平成200226
 
判示事項
公立小学校の教員が,女子数人を蹴るなどの悪ふざけをした2年生の男子を追い掛けて捕まえ,胸元をつかんで壁に押し当て大声で叱った行為が,国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
裁判要旨
公立小学校の教員が,悪ふざけをした2年生の男子を追い掛けて捕まえ,その胸元を右手でつかんで壁に押し当て,大声で「もう,すんなよ。」と叱った行為は,上記男子が,休み時間に,通り掛かった女子数人を蹴った上,これを注意した上記教員のでん部付近を2回にわたって蹴って逃げ出したことから,このような悪ふざけをしないように指導するために行われたものであり,悪ふざけの罰として肉体的苦痛を与えるために行われたものではないなど判示の事情の下においては,その目的,態様,継続時間等から判断して,教員が児童に対して行うことが許される教育的指導の範囲を逸脱するものではなく,学校教育法11条ただし書にいう体罰に該当せず,国家賠償法上違法とはいえない。
参照法条
国家賠償法11項,学校教育法11
全文
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【出典】
 
 
 次は、児童虐待についての根拠条文と判例(裁判例)です。
 
【根拠条文】
 
民法
(懲戒)第八百二十二条
 親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。
2 子を懲戒場に入れる期間は、六箇月以下の範囲内で、家庭裁判所が定める。ただし、この期間は、親権を行う者の請求によって、いつでも短縮することができる。
 
 
【判例・裁判例】
 
 
事件番号
昭和27()116
事件名
加重的遺棄被告事件
裁判年月日
昭和280218
裁判所名・部
札幌高等裁判所     
結果
棄却
高裁判例集登載巻・号・頁
61128
 
原審裁判所名
  
原審事件番号
 
判示事項
一 、親権を行う者の懲戒権の範囲
二 、懲戒権の濫用と暴行罪の成否
裁判要旨
一、 親権を行う者は必要な範囲内でみずからその子を懲戒することができるし、懲戒のためにはそれが適宜な手段である場合には打擲することも是認さるべきであるけれども、それにはおのずから一般社会観念上の制約もあり、殊にそれが子の監護、教育に必要な範囲内でなければならない。
二、 いまだ満二才余にすぎず歩行もできない病弱児に対し、しつけのためとか矯正のためとかで打擲を加えることは一般社会観念の許さない殊に監護教育に必要な範囲を越脱した残酷な行為で懲戒権の濫用であつて、暴行罪として刑事上の責任を負わなければならない。
全文
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【出典】
 
 
 すこし、法律について素人の方々が、素朴に疑問を抱くであろう言葉について、解説をしてみようと思います。動機は、単なる思い付きにすぎませんが、もしかしたら「役に立った」と思って下さる方も現れるやもしれませんので、恥を恐れず、自分がかつて学んだり見聞きした、わかる範囲でやってみる次第です。
 
 よく、法律学の議論において「解釈」という言葉が出てきますが、これは「理解」や「見解」という意味です。「解する」とは、「解釈する」とか「理解する」という意味です。 
 
 次に、学説について説明します。「学説」とは、法律学者(法律学の学者・研究者)の法令に対する説明、解釈、見解、理論または理解の仕方のことです。「通説」とは、ある争点について、法律学の世界=法律学会(実態としては法律学者業界における世間)でほぼ争いがない学説のことです。「多数説」とは、ある争点について、法律学会で多数派に属する学説であり、「少数説」とは、ある争点について、法律学会で少数派に属する学説のことです。また、【異端説】という表現もあって、これは、ある争点について、法律学会において正統派とは認められない、要は「村八分」にされるような学説のことです。
 
 以上に述べたような学説における法律理論(=法理)のほか、下級裁判所(最高裁判所以外の裁判所)を事実上拘束する(狭義の)「判例」、すなわち最高裁判例(最高裁の判決・決定。ただし、たまに判例としての拘束力・先例性を認められない英国の【エクイティ】のような最高裁の判決・決定もあったりします)の法理たる「判例法理」や、下級裁判所の判決・決定である(狭義の)「裁判例」、すなわち下級審裁判例の法理のように、法曹などの法律実務家の間で重要視される法理もあります。特に、最高裁の判例法理は、司法研修所などでは「サイコウ」と呼ばれており、法曹界・法律の実務家がデファクト・スタンダード(事実上の支配的な基準)として、これに従って案件を処理する指針・メルクマール(判断基準)となっております。
 
 そして、「判例」とか、「判例法理」というのは、最高裁判所が判決・決定によって示した先例・前例としての、同種の事件を解決するに際してのメルクマール、すなわち判断基準たる法理(=法律理論)のことです。また、同種の事件であるか否かを、「判例の射程範囲」の「内外」と表現したりもしますし、「射程範囲外」ゆえに判例適用の余地が無いケース(事件・事例)の場合には、「事案を異(こと)にする」と表現したりもします。
 
 また、弁護人や検察官の主張する解釈論・法律理論に対して、しばしば裁判所が判決文(判決書)等において「独自の見解を述べたに過ぎず理由がない」というような文言(もんごん)を用いたりしますが、これは「それは法とは認められないロジックである」という意味合いで使われる言い回しのため、そういう解釈論・法律理論は、裁判所から一蹴されたことになります。だから、このようなロジック(法理・解釈)は、「法ではない」と裁判所によって判示されたがゆえに、他者に強制することは許されないということになります。なお、「判示する」とは、「判断を示す」とか「判決で示す」という意味合いです。
 
 従って、「判例・通説」と表記される法理のような、実務の世界においては判例法理でもあり、かつ、法学会では通説でもあるという法理は、あたかも天下御免がごとき権威を有した法理と言っても過言ではないわけです。
 
 もっとも、判例や通説も、時代の趨勢とともに新しい見解が登場したり、従来の判例や通説では対処できない事態が生じること等により、いわば「時代の要請に応える」かたちで、変化することも当然あって、そういう実例も沢山存在します。しかし、「法の支配」を追究する本ブログとしては、我が国(日本)では、最高裁判所の大法廷においてのみ判例変更がなしうることを指摘するに留めておきたいと思います。
 
 ちなみに、イギリスでは、去年の10月1日に新しく発足した最高裁判所ではどうなっているかは知りませんが、それ以前の実質的に最高裁の機能を果たしてきた貴族院上訴委員会においては、自ら判示した判例法理といえども、自ら変更はできませんでした。つまり、イギリスの司法制度は、最も権威がある法理が現時点において社会運営上支障をきたす場合、議会(立法府)が立法措置(法の新制定・改正・廃止)によって対処しなければならないというシステムを採用していたわけです。
 
【参照サイト】
○法の解釈(執筆者:長尾龍一)
○判例 - Wikipedia
○判決例、裁判例、判例  OKWave
英国法 - Wikipedia

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