WTCのあった場所、グラウンド・ゼロです。
9.11以降、世界は大きく変わったといわれます。
ロウアーマンハッタンに2本の角のように屹立していたワールドトレードセンター。
そこに2機の航空機が突っ込み、炎上して崩れ去る映像はまさに衝撃そのものでした。
あれから5年。アメリカ、そして、世界はますます混迷の度を深めているようにも思えます。
もう、あれから5年になるんですね。
4年ほど前、小雨の降る夕方、私はこのグラウンド・ゼロ、ワールド・トレード・センター跡地を訪れました。
ガランとして何もないコンクリートの更地。
この時既に、瓦礫の山は撤去され、あの当時の様子を窺うことはできませんでした。
金網の外からは建物の土台や工事用の機械、そして、十字架の形をした慰霊碑が置いてあるのが見えます。かつて400メートルを越す高層ビルが2本建っていたとは思えない景観です。
私は上空を眺め、2つのビルが屹立している姿を想像してみました。そして、それに飛行機がぶつかり崩れ落ちる光景も想像してみました。。。
バラバラと降り注ぐ書類の山、逃げ惑う人々、辺りは火山が噴火した時のように灰色の煙に包まれている……。
テレビのニュースで見ていた当時、最初それが現実だとはとても思えませんでした。
本当に信じられないようなことが起こったものです。
跡地の周りには、たくさんのビルが建ち並んでいます。
興味深かったのは、どのビルもその跡地側の面がまるでラッピングされたかのように布で覆われていたことです。
2本のビルを崩壊させた爆風により、周りのビルも崩れはしなかったものの窓ガラスを割られ壁に穴を開けられるなど、少なからず被害を受けたのでしょう。
雨が上がり、雲の隙間から赤々とした夕陽が差し込んできます。
ビルの谷間に沈みかけた夕陽が、跡地にビルの長い影をいくつも落としていました。
私は夕陽の眩しさに目を細めながら、軽く手を合わせ、犠牲者に対して黙祷し世界の平和を祈りました。
ビルの影に沈んでゆく太陽、ポツポツと灯り始める都会の灯り……。
人々のざわめきや、とめどない車のクラクションといったマンハッタンの音が、広大な更地の周りから地鳴りのように聴こえてきます。
私は頭を上げ、もう一度跡地の姿を目に焼き付けると、暗くなった街を再び歩き始めました。
この事件の後、世界はどんどん悪い方向へと進んできているような気がします。
確かにあの事件を起こしたテロリストは許せませんし、断罪されるべきです。
何の罪の無い3000人以上の人々を亡くしたこんな事件は二度と起こしてはならないと思います。
しかし、このテロに対して起こしたブッシュ大統領の「テロとの戦い」は、到底納得できるものではありません。
アフガニスタンに潜伏しているとされたビンラディンとタリバンを討伐するために、アメリカは彼の地を焦土と化してしまいました。
核兵器並みの威力を持つバンカーバスター爆弾などを使って、テロリストだけでなく、アフガンの罪の無い人々を皆殺しにしたのです。
そして、それが終わるとアメリカはイラクに矛先を向けました。
フセイン政権は倒されて然るべき政権でしたが、アメリカに介入される筋合いのものではありません。
そもそもあの戦争でどれだけの民間人が亡くなったのか……。
先日、フセインとアルカイダになんの関係もなかったということが米上院で報告されましたが、アメリカは、まるで戦争する相手を無理矢理探しているようにさえ思えてきてしまいます。
軍産複合体が力を持っているアメリカ、戦争で兵器を使えば使うだけ儲かる仕組みになっている……。
そして、国民に対しては「テロの脅威がある」「これは戦争だ」などと危機の意識を煽っていきます。
あたかも、戦争に反対する人はテロリストの見方であるとでも言わんばかりに、あの当時のアメリカは政府の思惑通りに戦争支持一色になってしまいました。
だけど、そもそもテロが起こった原因はなんなのかと、考えて欲しいです。
イスラエルが周辺国を爆撃してもだんまりを決め込むアメリカ、その一方でイスラム諸国が核技術を持とうものなら徹底的に叩きのめすアメリカ……。
イスラム圏だけではありません。
中米や南米の国々に於いても、アメリカの意向に沿わない政権ができると、アメリカは裏で糸を引いて政府を転覆させたり(民衆に支持された政権を転覆させ、アメリカの意向に沿う軍事政権を誕生させたりもしている)、パナマのノリエガの事件の時のように軍を侵攻させたりしてきました。
彼らはそれをわかってやっているのかもしれませんが、自分たちが災いの種を撒いているということをもう少し受け止めて欲しいです。
国中が戦争支持、反イスラムになってしまったかのような当時のアメリカ。
しかし、アメリカはさすがに真の民主主義の国です。
政府の姿勢は変わりませんが、人々やメディアは、テロ後の戦争支持一色ではなくなってきました。
この5年間の間に多様な意見が現れ「テロとの戦い」に疑問を呈する動きも少なからず出てきたのです。
ブッシュらネオコンのやり口に真っ向から反対する、ノーム・チョムスキー氏などの発言も次第に支持を集めるようになってきているようです。
ベトナム戦争の時もそうでした。
政府の、共産主義からベトナムを守れという号令の元、当初はメディアも民衆も戦争支持一色でした。
しかし、心ある幾人かのアメリカ人ジャーナリストが、「この戦争は本当にベトナム人のためになっているのか」と考え、反戦の記事や報道を始めます。
政府はそれに圧力をかけるのですが、それに怯まなかった彼らの主張は次第に人々の心を捉えるようになっていきます。
こうして巻き起こった「反戦」は大きなうねりとなり、政府も撤退を余儀なくされることとなりました。
翻って日本はどうでしょうか。
小泉首相はいち早く「テロとの戦い」でアメリカ支持を打ち出しました。
他国に先駆けてイラク侵攻の支持を表明したのです。
あの戦争の誤りが指摘され、アメリカ国内では、テレビ、書籍や映画など様々な形でブッシュ批判が展開されているようですが、アメリカ支持を表明した小泉首相の批判を日本のテレビで聞くことはあまりありません。
本ではそういう意見を書いている人は何人もいるのですが、みんなが見るテレビでは、そういう意見があまり出てきません。
メディアには第4の権力として政府の暴走を止めたり、誤りを指摘したりするというと役割があります。
日本のメディアも、小さな個々の不正や失政を糾弾するだけでなく、ベトナム戦争の頃のアメリカのように、政府に真っ向から対決できる、政府に主導されている世の中の風潮に一石を投じられるメディアであって欲しいものです。
小泉首相については、最近では靖国参拝の問題で中国や韓国などとの関係を悪化させたと言われていますが、私はイラク戦争の支持こそ、小泉首相にとって外交上の最大の失政ではないか、と思っています。
外交上のルールも国連の主張も無視して、自国の国益を優先するアメリカのやり口を支持してしまったわけですから。
イスラム諸国の人々に与えた不信感は取り返しのつかないほど大きなものであるような気がします。
長々と長文失礼しました。
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最近は、「戦争反対」という意見が真剣に受け止められないような雰囲気が日本全体に広まっていることについて、非常に恐怖感を感じます。民衆の不満を、対外強行路線・軍備強化・戦争などによって国の外へとそのはけ口を見出そうとするのは、歴史的にも支配者の常套手段ですが、現在の日本がそういう方向に向かっているのではないかという気がします。
2006/9/10(日) 午後 11:33
虎箱さん、本当にそうですね。政権が安部氏になったらその流れがさらに強まっていくような気がしてなりません。ナショナリズムを前面に押し出すとろくなことにならない気がします。
2006/9/11(月) 午前 6:42
9.11だってアメリカのイスラム圏への政策などへの報復ですものね・・・報復のし合いはキリがないですよね。どんどんエスカレートしているように思います。小泉首相は国の代表なのに、国益よりも自分の考えを優先させすぎているように思います。
[ mou*a*ue ]
2006/9/11(月) 午後 10:25
ピノコさん、本当に報復はキリがないです。国が危機意識を煽ることには警戒しなくてはなりません。危機意識が増幅されると人は思考停止に陥ってしまいます。そうならないために、ひとつの意見だけでなく、様々な意見を知り、当然のように思っていたことが本当に正しいことなのか考えていく必要があると思います。
2006/9/11(月) 午後 11:23
世界もそうですが、日本の方向性に疑問を感じざるをえません。テロはよくないと思いますが、その前のアメリカの傲慢な対応は今もかわらず。いつの世も犠牲になるのは罪のない民間人。憤りを感じます。
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2006/9/11(月) 午後 11:30
クリスマスツリーをあまり店頭に飾らないようにする意識はテロ後に高まった気がします。イラクに他に隠された大掛かりな武器庫や基地があるはずと最初に宣言した英国の学者は後に自殺しましたね、彼の見解が発端になったとは言えないけど、戦争も悪い偶然が積み重なった複雑な問題と思っています。相手国に対する不信が問題ですね。
2006/9/12(火) 午前 3:17
たかさん、テロの後、指紋を取って入国をチェックしたり、監視カメラがたくさん作られたり、警察が自由に盗聴できるようになったり、世の中がどんどん不自由な世界になってゆく気がします。近頃は突出した意見を言ったりするとネットやメディアで吊るし上げられてしまう。発言の自由さえなくなってきているような気もします。
2006/9/12(火) 午前 6:50
豆鯛さん、相手に対する不信が問題、ほんとそうですね。国レベルでものを考えるよりも個人レベルで。結局世の中理屈よりも感情の方が勝ってしまいがちです。やられてカーッとなったアメリカは国際ルールを無視して戦争へと傾いていきました。逆に、もし相手の国に親密な友人や恋人がいたら、攻撃しろなんていえない、感情によるセーブがかかる筈です。日本はアメリカよりも異文化の人と接することがないので、なんだか心配でなりません。
2006/9/12(火) 午前 7:13
私はつくづく思います、そろそろ戦争という手段自体をやめにしませんか?と、このIT革命の世の中にあってどうして今だ前時代的な暴力による解決をしようとするのか?と思います。そして戦争という手段によってこの歴史上うまいこといったためしがどれほどあるのでしょうか?私はつゆぞそれを知りません。そして私はいわゆる正戦論というものを一切受け入れられません。
[ ジェルオ ]
2006/9/12(火) 午後 5:29
ジェルオさん、お久しぶりです。おっしゃる通り、これだけ人類が進歩してもまだ、戦争がなくならない、しかも少しもなくなる方向へと進んでいないことにガッカリします。あのテロの後、その方面に対する進歩は後退してしまったようです。
2006/9/12(火) 午後 10:08
さるみみさん、自分で実際に世界を回っていらっしゃるだけあって言葉に重みがありますね。アメリカのブッシュが今一番世界の平和を壊しているような気がします。人間が人間でなくなる限界状況下の戦争にはやはりあってはならない。外交の手段と言う人はいますが、私は異を唱えたいです。
[ jyo**ou42 ]
2006/10/10(火) 午前 9:32
上等さん、いえいえ、私はただの旅行者なので外国へ行っても表層しかわかりません。だけど、実際イスラム圏の人の親切を受けたりすると(中国や韓国も)、決して攻撃してもいいなんて思えなくなるだけです。上等さんのおっしゃる通り、「人間が人間でなくなる限界状況下の戦争はやはりあってはならない」ほんとそう思います。
2006/10/10(火) 午後 9:05