ガンジスの河口に広がるデルタの国、バングラデシュを旅しました。
ビーマンバングラデシュ航空の小さな機体は着陸態勢に入っていました。
窓の外の暗闇には不安を掻き立てるようなオレンジ色の灯りがぽつんぽつんと見えます。
時刻は既に10時過ぎ。町はもう眠りについてしまっているのでしょうか。
バンコクから約1時間、私はバングラデシュの首都ダッカ、ジア国際空港に到着したのです。
バングラデシュ人民共和国の国旗です。
バングラデシュとはベンガル人の国の意。カルカッタ(コルカタ)のあるインドの西ベンガル州と民族や文化は同じです。
古くから文明が栄えていたバングラデシュですが、紀元前4世紀にはインドのマウリヤ朝の支配下に入ります。アショカ王の統治の下、仏教が大いに栄えました。
その後、グプタ朝の支配を経た後の8世紀、ベンガル地方独自の王朝、パーラ朝が誕生します。
11世紀にはヒンドゥー王朝のセーナー朝が地域を支配しました。ヒンドゥー教はグプタ時代から栄えており、かなりの信者がいたそうです。
13世紀、ベンガルについにイスラムが入ります。
デリーを支配したデリー・スルタン王朝がここベンガルの統治権も獲得したのです。
その後、デリー・スルタン朝が衰退すると、ベンガルには独自のイスラム王朝が生まれます。
イリヤ―ス・シャヒ―朝です。
16世紀にはインドのムガール帝国の支配下に入ります。この時代にベンガルのイスラム化が進行したといいます。ムガル時代、ダッカはこの地域の首都となり、商業の拠点として、芸術文化の中心として大いに栄えたそうです。
イギリスがベンガルの支配を確立したのは18世紀後半。ヨーロッパ人は15世紀末からこの地にやってきていましたが、1757年のプラッシーの戦いにおいて、ついにイギリス東インド会社が勝利を収め植民地支配がはじまることとなったのです。この時代イギリスの植民地政策により現地の産業は壊滅的な打撃を受け、多くの伝統技術が失われたといいます。
1905年、反英独立運動の高まりに手を焼いたイギリスは、ヒンドゥー教徒の多い西ベンガルとイスラム教徒の多い東ベンガルを分割する「ベンガル分割令」を施行しました。宗教の対立を利用し、独立運動の力を削ぐという作戦でした。ところが、これは逆効果となり独立運動の激しさはさらに過熱さを増していくこととなります。
しかし、イギリスの政策によって生まれたヒンドゥー・イスラム不信の芽はその後次第に育っていき、マハトマ・ガンディーらの努力も空しく、1947年、英国統治が終わりを告げた際、インドはヒンドゥーのインドとイスラムのパキスタン(バングラデシュは当時、東パキスタン)という二つの国として出発することとなってしまったのです。
インドを間に挟んだ東西パキスタン。文化や民族も言語、人口、経済レベルも違う東と西が一緒にい続けることは最初から無理がありました。
東パキスタンは西からの支配から脱するために再び独立運動を起こします。
そして、インドは東パキスタンを支持し、それは第3次印パ戦争にまで発展しました。
東パキスタン(現在のバングラデシュ)が独立したのは1971年のこと、この戦争で300万人もの命が失われたのだといいます。
バングラデシュの地図です。
バングラデシュは川の国。ガンジス川の河口デルタに形成されたこの国は国中に川が網の目のように張り巡らされています。山はほとんどなく、一番高い山でも1230mしかありません。
人口は約1億4千万人。なんと日本よりも多い!面積は日本の半分以下ですからかなりの人口密度です。
国民のほとんどがベンガル人でベンガル語話者。宗教はイスラムが83%、ヒンドゥーが16%です。
バングラデシュは世界の最貧国のひとつとしても知られています。
先日ノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行総裁ムハマド・ユヌス氏やアジア最初のノーベル文学賞受賞者、タゴールもベンガルの人です。
政治は一院制で元首は大統領ですが、実権は首相にあります。
現在、バングラデシュでは政治的混乱が起こっていますね。
ハシナ党首率いるアワミ連盟をはじめとした野党10党が国会議員選挙のボイコットを表明。首都ダッカを中心に数万人規模のデモが展開され、これまで死者40人以上、300人以上の負傷者が出ているそうです。
ハシナ党首は、選挙を取り仕切るイアジュディン・アハメド大統領兼首相顧問が与党カレダ・ジア党首率いるバングラデシュ民族主義党(BNP)寄りであり、選挙に於ける不正が行われる可能性が高いことを問題にしているようですね。
しかし、この状況を重く見たアハメド大統領が11日、全土に非常事態を宣言、首席顧問を辞任し、ファクルディン・アハメド前バングラデシュ中央銀行総裁が次期首相顧問に就任することとなりました。
22日に予定されていた選挙は延期され、野党も選挙に参加する見通しとなったようです。
とりあえず一安心といったところでしょうかね。
そんな国、バングラデシュに私は夜中に到着しました。
写真はバングラデシュの首都、ダッカの風景(昼)です。
空港へと降りると様々な香辛料を混ぜ合わせたような濃厚で暑苦しいインド世界特有の匂いが漂ってきました。ぎっとりとした濃い顔の人々、笑わない係員。。。
微笑みの東南アジアから来た者にはかなり不気味に見えます。
税関を抜けると正面に両替屋のカウンターが三つ並んでいました。
大げさな身振りで手招きする両替屋の胡散臭い顔。別に怪しい連中というわけではないのでしょうが、彼らの発する猛烈なパワーに思わず躊躇してしまいます。私はここでは両替せずホテルに着いてからすることにしようと決めました。
両替屋の横を見ると鉄柵越しに黒い顔の群れがずらりと並んでいます。そのぎらぎらとした無数の目が私をじ〜っと見つめているのに気付きました。
皆一様に押し黙り、私を睨みつけている(ように見える)。その様子に内心圧倒されながらも平然とした素振りを装い、私は空港の外に出たのです。
よく喋る陽気な運ちゃんの車で暗闇のダッカを走り、街の中心、モティジールに辿り着きました。
ホテルにチェック・インした時は既に0時を回っていました。
情報があまりなく、どんな所なのかもわからないこの国。明日は何が待ち受けているのか、ドキドキしながら寝床に就きました。
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バングラディシュでも政治的な混乱が起こっていたとは知りませんでした。それにしても、写真でもすごい人口密度ですよね〜。ドキドキ、ワクワク感があります☆
[ aurora ]
2007/1/14(日) 午後 3:00
何もわからない国での旅がドキドキして楽しいのですね!!かっこいいです(´▽`)さるみみさんの記事を読んでいると、中東やアジアでの旅を特に楽しんでらっしゃるように感じます♪
[ mou*a*ue ]
2007/1/14(日) 午後 3:05
ほとんど知識のなかった国・・・何が起こるんだろうヽ(^∀^*)ノ
2007/1/14(日) 午後 6:07
auroraさん、なかなかバングラデシュの情報は目に止まらないですよね。現地ではかなり大変な騒ぎになっていたようなんですが。
2007/1/14(日) 午後 8:34
ピノコさん、取り澄ました雰囲気が苦手なので、こういった猥雑な土地の方が性に合っているみたいです。
2007/1/14(日) 午後 8:37
oyakさん、それほど大した事件は起こりませんでしたが、2週間ばかりの滞在中、外国人旅行者とは、ただの一度も出会いませんでした。たまたま雨季の頃だったからかもしれませんけど。
2007/1/14(日) 午後 8:40
ユヌス氏のお話は、ニュースで知りました。「世界の平和のためには、貧困の撲滅は欠かせない」という信念のもとに、貧困にあえぐ人々が自立できるような社会システムを構築したことには、大きな意義がありますよね。素晴らしいと思いました。↑の写真からも、貧困の雰囲気が感じられました。私もそこに行って、現地の人々の生活を体感してみたいです。
2007/1/14(日) 午後 10:29
写真からもなんともいえないエネルギーがあふれてますね〜。 空港からの移動はタクシーですか? いろんな場所であやしい乗り物に乗らないコツとかありましたら、 よろしくお願いします。
[ cap*_*f_goo**hope ]
2007/1/14(日) 午後 10:55
大杉さん、ユヌス氏のマイクロクレジットは素晴らしいシステムですよね。色々問題や批判もあるようだけど、数多くの人の生活を向上させ、人生に希望を与えたことは賞に値することだと思います。
2007/1/14(日) 午後 11:32
cape OF good hopeさん、空港からの移動はタクシーでした。街によってはタクシーが危ないところもあるので、事前に情報は調べていきます。あとはもう勘しかないですね。絶対安全だと言い切ることはできません。
2007/1/14(日) 午後 11:45
色は違いますが,日本の国旗とデザインが似ているので,子どものころ,かなり早い時期に覚えた国です。緑や赤はどんんあ意味があるのでしょうか?
2007/1/16(火) 午後 9:16
しんさん、緑は豊かな大地とイスラム、赤は太陽と独立戦争で流された人々の血だそうです。実は赤い円は中心よりも少し左にあるのだそうです。
2007/1/16(火) 午後 11:05
知らない国へ入っていく心情が伝わります☆両替屋のシーンは眼に浮かぶようでした*それしてもデモで40人も死者を出して政治を変えるなんて、貧しくても、デモを殆んどしない日本より政治意識は高いように思います☆
2007/2/4(日) 午前 1:02
まさおさん、かなり政治意識は高いみたいですね。ほんと政治が生活と直結しているので国民も必死なのだと思います。
2007/2/4(日) 午前 1:11
リンクさせていただきました。
ありがとうございます。
http://blogs.yahoo.co.jp/tatsuya11147/54643656.html
2013/9/21(土) 午前 3:10