ダッカの人々は親切でした。
私はこのダッカでしなくてはならない仕事がありました。
それはインドのビザを取ること、パキスタンのビザを取ること。そして、次の目的地、クルナへの船の切符を手配すること。その3つでした。
異国での、それも発展途上国でのその類の作業はしばしば困難を極めます。その場所を見つけるのが難しいし、アクセスも容易じゃありません。
けれどもここダッカでは、しばしば市井の人々が不案内な私を助けてくれました。
ダッカの北、外国人が多く居住するグルシャン地区にインド大使館はあります。
私はある朝、早起きすると宿の近くにあるグリスタン・バスターミナルへと向かいました。
路線バスでグルシャンへ行くつもりだったのです。
しかし、ターミナルとは言っても、ここには停留所やプラットホームなどはありません。ただ、数え切れないくらいのボロバスが路上に停まっているだけです。
バスの正面にはベンガル語しか書かれておらず、それだけで行き先を判別することは不可能です。
けれども、どのバスにも大声で行き先を連呼する客引きの姿がありました。
グルシャンと叫ぶ客引きはおりませんでしたが、グルシャンに隣接するボナニ地区を経由するバスならあると言われました。私はそれに乗ることにしました。
周りのバングラ人に、「ボナニ地区に着いたら教えてくれ」と言っておきます。
大勢の人でごった返しているボロバスの車内。もちろん窓の外の通りも人と乗り物で大混乱しています。
そして、しばらくサスペンションの効かない車体に前後左右に揺すられ続けていると、ふいに隣の男が肩を叩いてきました。
「ボナニ!」と言います。周りの人々も口々に「ボナニ、ボナニ」と言い出しました。
ボナニに着いたのです!
「ありがとう!」
バングラデシュの人間は親切でした。ヽ(´∇`)ノ
ボナニで降りてからも、旅行会社のビジネスマンが大使館の住所やそこまでの地図を紙に書いて教えてくれたり、道行く人に聞いても口々に道順を教えてくれたりしました。
けれども困りものなのが、ダッカの人々は尋ねるととても親切に教えてくれるのですが、その説明が間違っていることが多いということ。。。
私、街中をうろうろうろうろとしてしまいましたよ。。。
ようやくインド国旗のはためく大使館に辿り着いた時には窓口が閉まる直前でした。
申請書を記入し、写真、ビザ代金220TK(458円)を提出します。受け取りは6日後と言われました。
とりあえず一仕事終えたことにほっと一安心です。
こんな感じで翌日はパキスタンのビザ、その次は舟のチケットと、同じように街中を迷い歩き、周りの人々に尋ね回り、そして、その都度人々は親切に教えてくれたのです。
宿への帰りも大変でした。
やって来たバスの客引きに「グリスタン(宿の近くの交差点)に行くか?」と訊くと、軽く首を傾げました。「行く」という意味です。私はバスに乗り込みました。
しかし、いつまで経っても辿り着きません。薄暗くなってきた街路はどこも同じ場所のように見え、どこを走っているのか見当もつきません。
私は、街中を複雑にぐるぐる回っているのだろうと思っていたのですが、実はそうではありませんでした。
そのうちバスは真っ暗な田園地帯に入り込み始めたのです。。。
これは完全に乗るバスを間違えてます。しかも夜。言葉も通じないし、外国人などひとりもいない。。。
不安になった私は周りに座っている人々に「グリスタンに行きたいんだけど」と聞いてみました。
すると途端に人々が慌て始めました!
口々に「このバスはグリスタンには行かない!」と言い始め、そして、私にグリスタンへの行き方を説明し始めたのです(でも何を言っているのかわからない)。
そのうち言葉があまり通じないのがわかると、あるおじさんが次の停留所で私と一緒に降りてくれるということで人々の話はまとまりました。
おじさんと一緒に停留所で降りると、彼はグリスタン行きのバスを見つけてくれ、その運転手に私をグリスタンで降ろすように言ってくれました。ヽ(´∇`)ノ
「ありがとう」と私が言うと、彼は「困っている者を助けるのは当然だ」とでもいうように無表情に首を傾げました。そして、暗闇の中にあっさりと去っていってしまいました。
格好いい!
イスラムには「旅人には親切にするように」という教えがあるのだといいます。
だけど、たとえその教えのため、神様に忠実であるためであったとしても、バスの中にいた人々の親切は本当に無私であり、そして、温かいものでした。
ダッカでは何事も不便だったり非効率だったり問題があることが多いです。しかし、それを補って余りある人々のホスピタリティーがあります。
人と人との利害を越えた支え合い。それはこの過酷で問題の多い国で生きるための知恵なのかもしれません。そして、それは日本を始めとする先進国の社会が失いかけているものの一つであるような気もします。
写真はバングラデシュの国会議事堂。アメリカ人建築家ルイス・カーンの作品です。
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うわーっすごい大冒険ですね!でも現地の方が皆親切で読んでて涙が出そうになりましたよ!
[ BARRY ]
2007/2/15(木) 午後 7:35
ほんと 言葉もままならない旅って・・・きっと私なら不安に陥りますねw 猿耳さんのダイナミックさがうかがえるたびのないようですねヾ(>▽<)
[ MIY ]
2007/2/15(木) 午後 7:38
もし私だったら言葉が通じない国でそんなことになったらパニックになっちゃうかも。海外旅行で起こって欲しくないハプニングのWorst3に入るかも〜でも!みなさん本当に親切で良かったですね♪
2007/2/15(木) 午後 11:07
バリーさん、何でこんなに親切なんだと思うほど親切でした。イスラム圏はこういう国が多いですね。
2007/2/16(金) 午後 10:01
せぴさん、ダイナミックというよりも無頓着なだけですけどね。何とかなると思ってしまいます。
2007/2/16(金) 午後 10:03
zryumyumpotatoさん、女性だったらもっと皆さん親切にしてくれますよ。こういうハプニングこそ、現地の人と触れ合えるいい機会です。
2007/2/16(金) 午後 10:05
すごい建物ですね びっくり イスラムの人は親切なんですね〜 色々TVで通じるイメージでイスラムについて植えつけられている固定観念 いけないですよね〜 その土地に住む一人一人はほんと暖かいんですね〜
2007/2/17(土) 午前 7:37
猿耳さん絵文字ヽ(´∇`)ノ入ってるくらいだから余程親切で感激されたのね!おじさんが当然のように振舞われたのが素晴らしい。そういう時何か見返り?と邪推してしまう私恥の極みです><
[ hig*ma7*p ]
2007/2/17(土) 午前 9:04
現地で親切な人と出会うと、本当にうれしいし、感動しますよね。私達ももっとそうしないといけませんね。 ^ ^
[ aurora ]
2007/2/17(土) 午後 8:13
もんの介さん、イスラムの市井の人は親切な人が多いです。あの国会議事堂は芸術的にも価値が高いみたいですよ。
2007/2/17(土) 午後 9:50
ひぐまさん、ヽ(´∇`)ノでしたよ(笑)。優しすぎますよね。向こうの人はそれが当然なのかも。。。私も警戒感いっぱいで旅してましたが、こんな人々に遭遇すると涙が出そうになります。でも、こうして人を信用しようと思って旅しだすと、今度は別の機会で人に騙される。。。その繰り返しです。
2007/2/17(土) 午後 9:54
オーロラさん、日本で困っている外国人がいたら積極的に助けたいなと思いますよね。
2007/2/17(土) 午後 9:55
確かに日本人が、寄ってたかって困っている外国人を助けるところなどお目にかかったことは無いし、聞いたこともありませんね^^;
2007/2/23(金) 午前 0:20
私は外国人に道や電車の行き先を訊かれたらなるべく丁寧に教えるようにしています。だけど、彼らはみんなで助けようとしますからね。自分が訊かれたわけでもないのに率先して助けようとする。脱帽です。
2007/2/23(金) 午前 0:31
バングラディッシュ人は本当に親切ですね!私も今回のスペイン旅行でもたくさん助けてもらいましたw
[ mou*a*ue ]
2007/2/27(火) 午後 8:26
ピノコさん、おかえりなさい!スペインは素晴らしかったでしょう?記事楽しみにしていますね。
2007/2/27(火) 午後 11:25
ダッカ、心の底から行ってみたい地の一つです。本当に困ったとき、旅人に優しい人が居るのは有難いことです。
しかし、バングラデシュとルイス・カーンの建築物。少しシュール?!
[ 高橋美香 ]
2007/9/7(金) 午後 10:42
MESTさん、ダッカは見所は少ないですけど、かなり思い出に残る土地だと思いますよ。
だけど、バングラの真髄はやっぱり川のある風景です。
ルイス・カーンの建物、なかなか面白いでしょう。
他にも病院や大学も造ったらしいですよ。
2007/9/7(金) 午後 11:25
私も世界一周とは言わないまでも、イスラム圏一周はしたいです、せめて。その時はさるみみさんお勧めのバングラの川も堪能します!
[ 高橋美香 ]
2007/9/8(土) 午前 0:09
MESTさん、イスラム圏1周、憧れますね。
私も行きたいイスラムの国がまだたくさんあります。
サウジ、アラブ首長国連邦、ウズベキスタン、モロッコ、スーダン、アフガニスタン、イラク、ブルネイ、トルクメニスタン……。
紛争地が多いですね。
バングラはロケットスチーマーという船旅がいいですよ。
http://blogs.yahoo.co.jp/samberasam51/28798442.html
http://blogs.yahoo.co.jp/samberasam51/29438893.html
http://blogs.yahoo.co.jp/samberasam51/29656885.html
2007/9/8(土) 午前 11:01