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中国政府が熱心に推し進めている「孔子学院」プロジェクトについて

現在中国政府は、全世界に中国語と中国文化を広めるための語学教育・国際交流プロジェクトである「孔子学院」プロジェクトを推し進めています。
ここ数年で急速に発展しているこのプロジェクト。同様のプロジェクトはドイツの「ゲーテ・インスティチュート」やスペインの「セルバンテス」などがありますが、さすが中国。プロジェクトのスケールが違います。
今回はこの「孔子学院」プロジェクトについてご紹介したいと思います。


2500年前、春秋時代の中国で生まれた儒学の思想は、現在に於いても中国人や日本人をはじめとした東アジア人の生き方の規範となっています。
けれども、「孔子学院」はその祖である孔子の名を借りているだけであって、孔子の思想を広めるプロジェクトというわけではありません。

孔子学院は国家対外漢語教学指導小組弁公室(国家漢弁)の設立のもと、現地の大学や教育機関と提携して運営されています。学院では中国から派遣された講師による中国語の授業を中心に、中国文化の紹介、交流活動、フォーラムやシンポジウムの主催、「漢語水平考試」(HSK、中国語能力認定試験)の実施などが行われています。学生は現地の中国語学習者が中心となっており、教材の提供や奨学金の支給については国家漢弁が協力・支援しています。

中国語学習への熱は現在、世界で急速に高まりつつあります。海外における中国語学習者は、2500万人とも3000万人とも言われ、日本でも200万人余りが中国語を学習していると言われています。孔子学院はそのニーズに応えるのはもちろんのこと、中国文化の紹介や交流活動などによって、各国との友好・親善関係を構築するということも期待されているのです。

孔子学院がはじめて創られたのは2004年11月。韓国のソウルに第1校が設立されました。設立当初は世界各国で100校を創設するという政府の計画でしたが、予想を大きく上回り、2007年5月現在で、既に世界約50ヶ国130校の孔子学院が設立されています。日本でも現在6校が運営しており、活発な教育・交流活動がなされています。
【日本の孔子学院6校】
立命館孔子学院
桜美林大学孔子学院
北陸大学孔子学院
愛知大学孔子学院
札幌大学孔子学院
立命館アジア太平洋大学孔子学院
「21世紀は中国の世紀になる」
ここ数年、世界中のメディアが喧伝してきた言葉です。

約13億という世界最大の人口を擁し、急速に経済成長しつつある大国の動向に今、世界の注目が集まっています。もちろんそれに付随して中国語の学習熱が高まっていることは言うまでもありません。そんなニーズに応え、国家漢弁は世界各国での孔子学院の設立を加速させています。

現在、設立されている孔子学院はアジア・アフリカ・アメリカ・オセアニア・ヨーロッパと、5大陸全てに及ぶ約50ヶ国130校。2007年度中には学院は200ヵ所にまで増設され、派遣する中国語教師も大幅に増員される予定です。
2006年7月には、はじめての「孔子学院大会」が北京で開かれました。2日間の会議には世界各国から80校の代表が参加し、活発な交流や意見が交わされました。

中国語や中国文化をより広くPRするための新たな取り組みも次々と計画されています。ロンドンの金融の中心シティに設立される「ビジネス孔子学院」、メディアを活用した「ラジオ孔子学院」や「テレビ孔子学院」。2006年7月には北京師範大学の主催による「ネット孔子学院」が北京にオープンしました。また、同年には米国ニューヨークの中国語教師を対象にした「ニューヨーク孔子学院修士課程」も上海の華東師範大学で開講しています。
孔子学院は、世界中の「中国語を学びたい」と考えている人々に中国語を教え、文化の紹介や人的交流などを行っています。語学教育を通して中国という国を理解してもらおうと活動しているのです。

中国政府が推し進める「孔子学院プロジェクト」。これは数百年、いや一千年先を見据えた中国らしい国家戦略であるともいえます。
今後中国が世界をリードしていくためには、世界に於ける中国語話者の増加、世界からの中国文化への理解は欠かすことのできないものです。
急速に発展する中国を見越して世界中で高まっている中国語習得のニーズを満たしつつ、中国文化を世界中に広めていく。
何とも見事なプロジェクトだと感心することしきりです。

それに比べて日本は……。
数百年先を見据えた国家戦略ということを考えると日本と中国の歴然たる差を思わずにはいられません。

最近では中国脅威論を唱える識者を多く見かけます。
彼らは、このままでいくと日本は中国に圧倒され、かつてのように極東の小さな島国へと逆戻りしてしまうのではないかと危惧しているのです。
もちろん、その懸念もわからないではありません。

しかし、日本と中国は長い交流の歴史を持った隣人です。
日本最初の成文法典を創った聖徳太子の言葉「和を以って貴しとなす」は日本文化を象徴するような言葉として知られていますが、これは本来、孔子の「論語」の中の一節にある言葉です。この事実だけ見ても日本人と中国人の考え方の根底にはどこか通じるものがあると言えるでしょう。

今年は「日本中華年」という記念の年ということで、両国に雪解けの気運が高まり、先日は温家宝首相も来日を果たしました。
歴史問題などを含め、日本と中国は様々な問題を抱えていることは事実ですが、隣国である中国と日本がさらに親密になる余地は大いにある筈。

日本と中国が共に発展し、これまで欧米中心だった世界を一緒になってリードしていければいい。
私はそんなことを期待しています。
【孔子とは?】
釈迦やソクラテス、キリストと並び世界四聖の一人と呼ばれている孔子。彼は中国・春秋時代の紀元前551年、魯(現在の山東省曲阜)に生まれました。
幼くして両親を失った孔子でしたが苦学して学問を修め、その後、政治家として魯に仕えました。しかし、理想と現実のギャップに失望した孔子は魯の大臣を辞します。そして、自分の政治理念を実現させるため、弟子と共に諸国を巡ることとなるのです。その巡遊の際に弟子と語った言葉が後に纏められ「論語」となったといいます。
孔子は「君子」による「徳治政治」を理想として掲げていました。まず自己を修め、その「徳」を以って家族を、そして国家を治めていくという考え方です。「徳」の中心には「仁」と「礼」があります。人を愛し思いやる「仁」という心。それを外面的に形として表す「礼」という行為。その二つを孔子は最も大切なものと考えていました。
人々の思いやりの心が失われ国家間の争いが絶えない現代文明社会。孔子の説く「仁」と「礼」は、人間性の復権を目指す思想として世界中で再評価されつつあります。

この記事に

  • 日本と中国が本当の意味で一緒になるのはきっとまだまだ先になるでしょうね〜。島国根性その場しのぎの日本が先を見据えるのは国民性として難しいかもしれませんね。

    ちび太

    2007/5/13(日) 午前 0:03

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    ちび太さん、同じアジアの大国同士、日本と中国は共存していかなければいけませんよね。フランスとドイツだって今や一緒になっているんですから。

    さるみみの見た世界

    2007/5/13(日) 午前 0:13

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  • 中国人と日本人、個人個人だと仲良くなれるけど、国同士はなかなかお互い近寄れてないですよね。それは中国大好きな私としてはとても悲しい事です。

    minemine

    2007/5/13(日) 午前 2:20

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  • 日本と中国が本当に仲良くなれたらもっともっと良い世の中になるのかなと思います♪♪

    [ モチコ ]

    2007/5/13(日) 午後 0:01

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  • 中国の方々で、日本のことをよく思ってない方もたくさんいるんでしょうね…仲良くやっていければいいなぁ。何年かかっても良いから(*´∀`)

    さとこ

    2007/5/13(日) 午後 0:12

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    みねさん、中国と日本がうまくやっていかないとアジアの発展はないですよね。

    さるみみの見た世界

    2007/5/13(日) 午後 0:56

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    ピノコさん、そろそろあの戦争を経験した世代が世の中から引退していくという時期に、双方とも対立を蒸し返している気がしてなりません。阿倍首相は靖国参拝は自粛して欲しいです。

    さるみみの見た世界

    2007/5/13(日) 午後 0:58

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    さとこさん、お互い過去の問題や対立を変に煽らないようにしたいものですね。中国の成長がある程度落ち着いた時、お互いにしこりが残っていない状態であって欲しいです。

    さるみみの見た世界

    2007/5/13(日) 午後 1:01

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  • 先日観たTVで観ましたが、中国では、ある若手日本人俳優が大人気だそうです。彼は中国で数多く製作される抗日戦争映画で定番の悪役日本軍人専門だったのですが、従来のステレオタイプな日本人から脱皮して、人間としての日本人を演じることで、中国での日本人観に影響を与えているそうです。彼は今は軍人役だけでなく、様々なドラマ、バラエティ番組にも進出して日中相互理解の為に大いに貢献していると言うことです。こういう相互理解はどんどん進めるべきだし、誰が何を言わなくてもお互いの交わりは進むと思います。しかし、こと国同士の問題となると今のところ、僕はあまり期待していません。本当に仲良くなるということはどちらかが上下でもなくお互いに言いたいことを言えると言う関係だと思います。中国は共産党の一党独裁が終わり、民主化が進むことを期待しています。

    [ BARRY ]

    2007/5/13(日) 午後 5:00

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    中国 凄いですね♪ 日本も素敵に進んでもらいたいなぁ♡ ♡

    [ MIY ]

    2007/5/13(日) 午後 10:46

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    バリーさん、中国は千年の展望を持った国ですから、国がある程度発展するまでは一党独裁でやっていこうと考えているのかもしれません。今民主化したらチベットやウイグルなどが独立してしまいますからね。国内を引き締めるためにはある程度の強行な態度もしなければならないのでしょう。日本はそれに振り回されないようにしないといけないです。両国の理解については、江沢民によって教育を受けた反日世代がやっかいですが、文化や経済交流を活発化することで相互理解が高まってくることでしょう。

    さるみみの見た世界

    2007/5/14(月) 午後 8:30

    返信する
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    せぴさん、日本もきっと素敵に進みますよ。そう信じてます。

    さるみみの見た世界

    2007/5/14(月) 午後 8:31

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    両国の人が積極的相手国のことを知ろうとすれば、きっと理解が深めることができると思います。

    [ emi*yga*73*p ]

    2007/5/14(月) 午後 9:32

    返信する
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    emilyganさん、ほんとそうですね。お互いを知らないと不信感だけが募ってしまいますもんね。

    さるみみの見た世界

    2007/5/14(月) 午後 10:39

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    孔子学院のことは以前TVで見ました。授業では一切日本語を使わないので、短期間で上達するカリキュラムです。国対国はまだ遠くても、人対人は近づきつつあると私は思っています。

    fanzi

    2007/5/15(火) 午後 11:40

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    fanziさん、人と人との交流が大事ですよね。北京オリンピックと上海万博に期待したいと思います。

    さるみみの見た世界

    2007/5/16(水) 午前 6:32

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    さるみみの見た世界が言うには、孔子の説く「仁」と「礼」は、人間性の復権を目指す思想として世界中で再評価されつつあります……、しかしそれを口にして滅茶クチャにした小泉さんが政治家を次男に世襲させるという塩梅で、仁も礼も汚れ放題です。となると日本は日本になるのでは、
    ☆☆ 独立と虚偽、∈ 痩蛙まけるな 一茶是にあり ∋ 泣け無しの叡知‘一過性’を乗り越え、寂しさが果てる明朗なクニへ ☆☆ 一茶さんが漢語を脱し、温もる意識を、日々に流れる細やかな生や喜びや涙に映し、豊かな感情をひらがなの世界に素直に正直に写しとって広げ、しばしば身に運ぶ餓えや死の寒い冬を、豊かな四季の色取りや祭りの中で慰め、励まし……、読み応えがあるでしょう。バッティング先から、一年前からの道草です。お寄りの折りはメッセージ寺を残してください……丈司ユマ

    [ georgeyuma ]

    2008/9/26(金) 午前 10:01

    返信する
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    georgeyumaさん、ご訪問&コメントありがとうございます。
    古い記事を見つけていただきありがとうございます。
    何やら難しげですが、ご訪問致しますね。

    さるみみの見た世界

    2008/9/27(土) 午前 11:16

    返信する

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